2025年6月30日月曜日

家賃の支払いが難しいことを示すための策

先輩の叱責

突然、私の携帯の通話終了をタップした先輩。

私は驚いて思わず

「えっ?!」

という声を出した。

子どもはホッとしたのか、私から離れてソファに座った。

「何であんな奴の相手をするの?!」

そう言う先輩の表情は明らかに怒っていた。

何でと言われても、夫と交渉しようと思っていたら『元に戻りたい』という意思表示をされ・・・。

あれっ?

それから私はどうしたんだっけ?

この頃の私は衝撃的なことが起きると一時的に物忘れが酷くなっていた。

だから、夫とのやり取りも数分前のことなのに思い出すことができなかった。

スピーカーにしていたので先輩の方が把握していたらしく、

「あれ以上話していたら、また相手の言いなりになってたんじゃないの?!」

と叱られた。

そう言われて初めて夫とのやり取りをぼんやりと思い出すことができ、自分でもゾッとしてしまった。

ああ、危なかった・・・。

また夫のとんでも理論に飲み込まれそうになったんだ・・・。

夫と話をする時、最初はハッキリとした拒絶の意思を表すことができる。

でも、長時間話していると段々と頭がぼんやりとしてきて、上手く気持ちを伝えることができなくなった。

それを分かって居たから短時間で切らずに粘ったのかもしれない。

もしこの時先輩が居なかったら。

あるいは私たちのやり取りに気づかずにあのまま進んでいたら。

もしかしたら今の生活は無かったかもしれない。

それくらい夫との交渉は難しくて、ギリギリの駆け引きが続いていた。


「無期限に居座るつもりじゃないの?」

現状では夫が出て行く気配はない。

それを伝えたところ、

「このまま無期限に居座るつもりなんじゃないの?」

と先輩から指摘された。

確かにのらりくらりと出て行く話を避けている気もするし、お義兄さんのことがあったと言っても一時的に一緒に暮らせば良いだけのこと。

それを、『無理』の一点張りで通そうとするなんておかしいと思い始めた。

いくら私が金銭的に厳しいと言っても本気で受け止めてくれないのは、

「離婚したくて、そういうポーズを取っているだけと思われているのかも」

と言われた。

それなら辻褄が合う。

焦って交渉しても上手くいかないのは当然か。

今のまま正攻法で攻めても解決しない可能性が高いことを理解したので、もっと具体的に厳しい現状をアピールすることにした。

その一つが、銀行口座の動きを見てもらうことだった。

毎月給与が入るまでのやりくりが本当にギリギリで、余裕が無いことはすぐに分かる履歴だった。

更には生活費として別にかかっている状態で。

先輩にも家賃を払うこともできず、本当に申し訳なく思っていた。

居候していることは夫には秘密にしていたから、この事は言えなかったが。

間もなく家賃の支払いもできなくなるよ、というのを示す物として通帳を活用することに決めた。

はっきり言って、それを見せたところですぐに解決するとは思っていなかった。

それでも何もやらないよりはマシ。

私は通帳をコピーした紙を書留で自宅に送付した。

居所不明の別居状態が続く・・・

「そろそろ居場所を教えろ」と言われたけれど 家を出て以来、夫とは携帯一つでつながっていた。 連絡手段を絶つと離婚の交渉ができなくなる。 そう思って、完全に関係を絶つことを避けた。 連絡を取り続けていると、相手も望みを持つものだ。 『元に戻れるのではないか』というのが言葉の端々から...