仲間内では親切だが・・・
モラハラ夫は身内にはとても親切だ。義両親には献身的に色んなことをしてあげるし、義兄に対しても文句を言いながらも尽くしている。
友達に対してもそう。
『親切なんだね』と言われるくらいには働く。
相手が求めていなくても自分が良かれと思えば率先して動いている。
それを考えると、『あ~、私たちは友達以下なんだな』というのを実感する。
奥さんの優先順位が低くてないがしろにする話は時々聞くが。
子どもにも同じというのはどうなんだろう。
自分の子どもなのに愛着がないのかな?
もしそうなら虐待をしたことにも納得がいく。
とにかく、モラハラ夫は周りに対してとても優しくてみんなから有難がられていた。
あまりに親切なので、少しはこちらにもその気持ちを分けて欲しいと思ったくらい。
でもそれと言うと、なぜか私が悪いかのように『自分の行いを見直してみて?』と言われてしまうので、結局不満を持ちつつもその状況を受け入れていた。
断っておくが、私が夫に対して酷いことをしたという事実はない。
むしろ、機嫌が悪くならないようにいつも気を遣っていた。
何かあれば先回りして問題を取り除いたりして。
そういう努力があってこそ成り立っていた私たちの生活も、夫にしてみたら不満だらけだったようだ。
ないがしろにされるたびに心は傷ついたけれど。
傷ついていることを悟られると鬱陶しそうにされるから。
表面上はいつも明るく振舞っていた。
ただ、私たちに対しての言動も友だちの前ではとても紳士的だった。
いつもはやってくれないことを率先してやってくれたり。
何かあれば気遣う素振りを見せた。
それを見た友だちが、
「お前は本当に気が利くよな」
と言うたびに心の中には嵐が吹き荒れた。
いつもは違うんですけどね。
友だちの前でだけ良い人ってどうなのよ。
ごくまれに訪れる穏やかな時間は友だちがいることが前提だったので、誰かうちに一緒に住んでくれないかなと冗談半分で思ったりもした。
お店でもモラハラを遺憾なく発揮
近しい人の中での優先順位は断トツの最下位だった私。
子どもは辛うじて最下位を免れたというレベルの扱い。
近しい人というくくりならそうなんだけど、外では私たち以上に横柄な態度を取られる人たちもいた。
その良い例が定員さんたちだ。
今カスタマーハラスメントというのが問題になっているが・・・。
夫はその先駆け的な存在といっても過言ではないと思う。
レストランに入って食事をした時も、ほんの少しのことですぐキレる。
自分よりも後から来た人たちの食事が先に到着したとか。
ソーサーに数滴こぼれていたとか。
気に入らない席に通されたとか。
店員の声が聞き取りにくいとか。
料理が熱々じゃなかったとか。
そういうことで逐一キレた。
そして料理の作り直しを要求したり店員さんに説教をした。
周りの人たちはそんな夫のことをチラチラ見ながらヒソヒソと何か話していた。
分かるよ。
こんなクレームはおかしいよね。
それなのに、夫は自分のやっていることが正しいと信じて疑わない。
ほんの少しでも気になることがあれば、それを正そうとしてしまう。
本当に周りには多大な迷惑をかけたと思う。
一緒に出掛ける時には常にハラハラしていて、問題になりそうなことを排除して回った。
これを努力と呼ばずして何と呼ぶのか・・・。
だけど、夫はそんな努力になど目もくれず、ひたすら私をバカにし続けた。
スイッチが入ると目が据わり口調まで変わる
モラハラ夫の怖いところは、スイッチが入ると豹変する所だ。
元々態度が良い方ではないのに。
スイッチが入った後は比にならないくらいの恐ろしさを纏う。
目が据わったという表現がこれほどしっくりくる人を私は他に知らない。
口調に至っては、気の弱い人なら縮み上がって涙ぐむレベル。
実際に夫に詰め寄られて涙を流した店員さんは一人や二人ではない。
女性だけに限らず、男性でも薄っすらと涙がにじんでいる人もいた。
直前まで機嫌が良かったのに、急に豹変することもあった。
その落差があまりにも激しいので、一緒にいると一瞬たりとも気を抜けなかった。
今笑っていたとしても、次の瞬間どうなるか分からない。
張り詰めた空気の中で嘘の笑顔を浮かべながら過ごすのって本当にしんどいものだ。
これが家族や身内でなかったら、まだ良かったのに。
近くにいたら、やっぱり無視はできないから。
毎日どうやって対処しようかということばかり考えていた。
だから、今となっては結婚生活には苦しいイメージしか残ってない。