次は何をされるのか
遊園地に行くと決まった後、一気に気持ちが沈んだ。
せっかくの夏休みだもの、
残りも思いきり楽しみたい。
それなのに、
状況がそれを許さない。
以前、みんなで食事に行った時は、
夫が子どもに携帯を買おうとした。
断っても聞いてくれない。
連絡手段を確保するのに
必死だったのだとは思う。
でも、子ども自身が望んでいない。
当たり前だと思う。
夫は虐待をしていた。
毎日酷い暴言を吐き、
叩いたり、襟首をつかんで
放り投げたりもした。
そんな相手と、
誰が喜んで連絡を取り合うというのか。
携帯の件は、
結局慌ててその場を離れたことで
間一髪、難を逃れた。
逃げる勇気もなく、
あの場に留まっていたら――
どうなっていたことか。
あれ以来、
『次は何をされるのか』
そう考えてしまう。
以前にも増して、
警戒するようになった。
試練の日
私が暗い顔をしていたら、
子どもはもっと沈んでしまう。
早く日常を取り戻したくて、
気にしていないフリをした。
いつも通りに過ごしているうちに、
少しでも忘れられる時間ができれば。
そんな思いだった。
夫との予定があると、
思考がそこへ引っ張られる。
『気にしないように』
そう思うほど、
かえって意識が向いてしまう。
本当は気になって仕方がないことを
思考から遠ざけるのは、
とても難しい。
子どもも、
どこか気もそぞろで落ち着かない。
パパとの恐怖の時間がやって来る。
そんな気持ちだったのかもしれない。
どんなに不安に苛まれても、
時間は過ぎていく。
そして、
あっという間にその日が来た。
私たちは当日、
出かける準備をしていた。
彼らは約束の時間よりも
だいぶ早く到着するだろう。
私たちが時間通りに着いても、
夫は不満を見せるに違いない。
それでも、
一緒にいる時間が長くなるよりはいい。
ギリギリに着いて、
少しでも接触時間を減らしたかった。
そんな細かな計算をしているうちに、
出発の時間になった。
慌てて玄関を出る。
無言のまま、
駅へと急ぐ私たち。
いよいよ、
試練の一日が始まる。






