不安の中にいた頃
家を出たばかりの頃、私はとても不安だった。
夫と上手くいかなかったような
不出来な人間だもの。
育児だって、きっと上手くいかない。
そんなふうに思い込んでいた。
結婚生活で思い出すのは、
怒られた時のことばかり。
私が至らないせいで夫を怒らせ、
夫婦関係もおかしくなった。
そう思っていたのに、
最終的には、
夫から逃げる形になった。
そんな私に育てられたら、
子どもはどうなってしまうんだろう。
当初は思い悩み、
夜な夜な将来を憂いた。
だけど、
それを打ち明けられる相手もいない。
お世話になった先輩にさえ、
本心はうまく話せなかった。
夫の意向で、
周囲とは距離ができていた。
連絡先も消した。
番号ももう覚えていない。
家事を終え、
少しだけ自由な時間ができても、
テレビの内容は頭に入ってこなかった。
そして夜、
電気を消して横になると、
ふと、思う。
二人ぼっちだなぁ。
カーテンの向こうには
家々の灯りがあった。
それでも、
その光が遠く感じられた。
家にいた頃よりも
温かな環境のはずなのに、
心は沈んでいた。
少しずつ戻ってきた日常
いつ頃からだっただろうか。
気づけば私は、
子どもの話を聞いたり、
お笑い番組を見て
笑うようになっていた。
安心できる場所があるというのは、
それだけで大きいことだ。
「ごめんなさい」と
無意識に口にすることも減り、
「ありがとう」と言う回数の方が増えていった。
そんな時間を過ごしたあと、
再び家に戻った。
今度は本当に二人きり。
でも、
あの時間があったから、
私は少しずつ立て直せていた。
夫の要求にも流されない。
情にも引きずられない。
義両親の話を出されても、
嫌なことは「No」と言えるようになっていた。
当たり前のことなのに、
以前の私にはそれができなかった。
少しだけ強くなった私と、
成長した子ども。
その変化は、
周囲にも伝わっていたのかもしれない。
ある日、
義両親が突然訪ねてきた。
休日の午後だった。
玄関を開けると、
お義父さんが頭を下げていた。
深くではないが、
明らかに何かを伝えようとする姿勢だった。
お義母さんも横で
言葉を探すように立っていた。
私は少し驚いたが、
すぐに玄関先で話を聞いた。






