心を抉る言葉
中間試験が終わり、結果が出始めた頃に、
夫から連絡があった。
何と言うタイミング……。
まるで、
全てのスケジュールを
把握しているみたい。
驚きつつも、
平静を装いながら答えた。
「がんばったよ」
他は何も言わず、
結果にも触れなかった。
何か一つでも言えば、
綻びが出ると思った。
ただ、
こんな答えで
納得するような人ではない。
科目ごとの点数、
平均点を教えろと
要求された。
私はただ、
淡々と結果を告げる。
後から考えると、
嘘をつくこともできた。
でも、
バレた時のことを考えたら、
身がすくんだ。
そのままの事実を、
言うしかなかった。
その間、
黙って聞いていた夫から、
時折聞こえてくる
「チッ」という音。
舌打ちをしていたのだ。
その音を聞くだけで、
手が震え、
鼓動が早くなる。
「俺は怒っている」
そう知らせるための
合図だった。
現実逃避
ああ、
また夫が怒っている。
チクチクと責めるその声を、
ぼんやりと聞いていた。
目の前にいたら、
もっと必死に取り繕ったと思う。
でも、
電話だったから。
離れた場所からなじる夫の声が、
どこか他人事のように感じた。
これも一種の
現実逃避なのかもしれない。
「子どもに代われ」
と命令されて、
「今、手が離せません」
と即答。
実際、
テスト後のやり直しをしていて、
忙しかった。
勉強をしていると言うと、
大抵、夫はトーンダウンする。
ただ、
この時は
試験の結果に
納得がいかなかったようで、
吐き捨てるように
こんなことを言った。
「あいつは、人の何倍も
何十倍もやらなきゃ、駄目だ」
「それくらい、やって
初めて人並みになれるんだ」
一緒に暮らしていた頃、
散々言われた言葉だ。
そのたびに傷ついて、
自己肯定感も下がった。
極限まで下げられた、
自己肯定感。
それを取り戻すのが、
どれほど大変なことか。
夫は何も理解しておらず、
離れてもなお、
子どもを傷つけ続けた。






