2026年9月15日火曜日

癒しを求めて

動物園にプラネタリウム・・・

心が疲れていた。


ただでさえ、

二人ぼっちの生活は

心許ないのに……。


そこに夫や義両親からの、

様々な要求。


何とか交わすことはできても、

心は常に落ち着かなかった。


私がもっと、

どっしりと構えていたら。


そうしたら、

違っていたのかもしれない。


でも、

元々の臆病な性格は

なかなか消えない。


それが子どもを不安にさせ、

二人とも震えるような思いで、

日々を過ごした。


お休みの日に、

家でじっとしているなんて、

気持ちがもたない。


そう思って、

朝、突然思い立って

出かけることもあった。


その中でも、

思い出に残っている場所がある。


それは、

動物園とプラネタリウム。


もう動物園は、

楽しめないかな?


そう思っていたけれど、

想像以上に楽しんでいた。


特に、

動物たちとふれあえる場所では、

自分の順番が終わっても、

名残惜しそうにしていた。


触れると温かくて、

気持ちも和らいだみたい。


私も、

肩に入っていた力が

スーッと抜けるような、

そんな感じがした。


日常を忘れて

普段の私たちなら、

動物園に行ったら、

その日はそれで終了だ。


掛け持ちなんて、

もったいない。


また別の日に、

残しておこう。


そう言って、

次のお出かけを楽しみに待つ。


でも、あの頃は、

癒されても癒されても、

足りなかった。


だから、

朝からおやつ頃まで

動物園を楽しんだ後、


そのまま、

はしごをした。


何という贅沢。


心の中では、

電卓をたたく。


だけど、

子どもの笑顔を見てしまったら、

もうどうでも良くなった。


思いきり楽しもう。


ただ、

それだけだった。


暗い中で、

輝く星々。


今にも、

吸い込まれそう。


ナレーションも、

最初は聞いていたのだけれど、


心地良くて、

心地良過ぎて、


だんだんと、

まどろんでくる。


心配事ばかりで、

あまり眠れない日が続いたから。


それも、

影響したのだろう。


気づいたら、

爆睡していた(笑)


終わった後、

子どもに肩を叩かれて、

そこでようやく目が覚めた。


「ママ、寝てたの?!

もったいない!」


子どもは、

笑顔だった。


私も、

笑顔になった。


こういう時間が、

ずっと続けばいい。


そう願った。

2026年9月14日月曜日

嫌なことがあった日、子どもと外に出た

外に癒しを求めて……

こういう時、

ずっと家にいたら

余計に滅入ってしまう。


私たちは、

急いで支度をして

出かけた。


いつも外に出る時は、

夫がいないことを確認する。


まだ外にいるかもしれない。


少し離れた場所から、

見張っているかもしれない。


万が一のことを考えて、

行動していた。


怯えながらでも、

一歩外に出ると、

やはり胸がスカッとする。


部屋の中にはまだ、

先ほどの激しいやり取りの

印象が残っていた。


でも、

外の空気を吸ったら、

それだけで

気持ちがスッとした。


家を出て、

最初の曲がり角までは、

何となく気が抜けなくて。


夫を警戒してしまう。


そこを過ぎれば、

人もチラホラいて、

少し安心できる。


子どもと二人、

並んで歩いていたら、

いつの間にか

二人とも笑顔になっていた。


映画、雑貨、美味しい食事

最初に行ったのは、

雑貨屋さん。


私は可愛い雑貨が大好きで、

よく見に行く。


もちろん、

気に入ったものがあっても、

ほとんどは見ているだけ。


でも、

見ているだけでも、

幸せな気分になる。


そうやって、

大好きなものたちに触れて、

少しずつ気持ちを落ち着かせた。


「これ、良いね~」

「〇〇のところに合いそう!」


子どもと

そんな会話を繰り返しながら、

気づけば1時間ほどが経っていた。


お腹が空いてきたなと思ったら、

もうお昼だ。


二人で相談して、

「今日は定食屋さんにしよう」

と決めた。


美味しいご飯は、

心も体も満たしてくれる。


ゆっくりと、

ゆっくりと。


一口一口を

噛みしめるように、

いただいた。


午後は、

またお店をブラブラして、

時間をつぶす。


帰る時間を

気にし始めた頃、


「まだ帰りたくないな」


と子どもが言った。


嫌なこともあった。


怖い思いもした。


よし。


今日はもう一つ、

特別なことをしよう。


その日、

久々に映画を観た。


私たちにとっては、

とても特別なことだった。


映画館の座席に座るだけで、

なんだかドキドキした。


物語に集中すると、

他のことまで

頭が回らなくなる。


その瞬間だけは、

嫌な記憶が薄れた。


正直なところ、

映画代は痛い出費だ。


それでも、

私たちは満たされていた。

2026年9月12日土曜日

『帰ってください』が通じない夫

粘る夫

「帰ってください」

とお願いしても、

一向に動く気配がない。


それも当然か。


だって夫は、

子どもと過ごすことが

自分の当たり前の権利だと

思っているんだから。


虐待したことも認めていない。


だから、

子どもから拒絶される理由も

理解しようとしない。


本当は、

分かっているのだろう。


でも、

気づかないフリを

し続けている。


声を掛けられても、

子どもは何も言えずに

固まるばかり。


代わりに私が、

「今日は無理」

と何度も伝えた。


そんなやり取りを

繰り返した後、

夫は急に

語気を強めた。


「お前には聞いてねーよ!」


その声にビクッとなり、

咄嗟に身構える。


子どもの方に目をやると、

怯えた表情で

こちらを見ていた。


まるで、

助けを求めているようだった。


玄関で押し問答

らちが明かないと思った夫は、

部屋に入ろうとした。


靴を脱ごうとするのを見て、

慌てて止める。


「本当に無理だから」


そう言って、

体を押し返す。


すると夫は、

私の両手首を握り、

玄関の隅へ

押しやった。


体の大きさ。


腕の長さ。


力の強さ。


何一つ、

私には叶わない。


でも、

必死だった。


その時、

ふと目に入ったのが

玄関の隙間だった。


少しだけ開いていて、

外の音が聞こえてきた。


このままでは、

夫が無理やり

入ってくる。


そのまま、

子どもを連れて

行ってしまいそうだった。


恐ろしさのあまり、

私は叫んだ。


「すいません!

誰か警察を呼んでください!」


多分、

誰もいなかった。


見に来る人もいなかったし、

実際に通報されたわけでもない。


ただ、

夫は世間体を

何より気にする人。


私の言葉を聞くと、

慌てて体を引いた。


そして、

何やらブツブツ言いながら

靴を履き直した。


「本当に警察を呼ぶよ」


もう一度、

念を押すように言った。


目的を達成できなかった夫の

帰り際の形相は、

凄かった。


本当に、

鬼のような表情だった。


私を睨みつけたまま、

微動だにしない。


その時間は、

1分もなかったと思う。


それでも、

身震いするほどの

恐怖を覚えた。


その後、

渋々ながら帰っていった。


こうして、

どんよりとした

春休みの一日が始まった。

2026年9月11日金曜日

私を居ないことにする夫

突然の子どもへの誘い

夫は、

それ以上何も言わなかった。


その代わりに、

首を伸ばし、

部屋の奥にいる子どもに

猫なで声で話しかける。


「おはよう!

これからパパとお出かけしよう」


突然誘われた子どもは、

何も言えずに固まった。


それまで、

大人でも耐えるのが困難なほどの

虐待を受けてきた子ども。


急に優しくされても、

受け入れられるはずがなかった。


ここは私が何とかしなければ。

そう思い、


「急には困るってば」


と、やんわりと断った。


でも、

返事はなかった。


聞こえていないはずがないのに。

こちらを見ようともしない。


そして、

何事もなかったかのように、

もう一度子どもに声をかける。


「ほら、出かけるよ。

支度して」


先ほどよりも、

やや強い口調になっていた。


私を無視する夫

「今日は無理だよ」


はっきりと、

そう伝えた。


まさか、

そこまで言えば

これ以上は誘ってこない。


そう思った。


でも、

違った。


夫は無反応で、

子どもに誘いの言葉を掛け続ける。


私がいくら止めても、

何も聞こえないかのように

スルーされる。


まるで、

空気になったみたい。


どうしたら良いのか分からなくなり、

とにかく『止めなければ』と

声をかけ続ける。


それでも、

反応はなく――


そこでようやく分かった。


ああ。

この人は、

私を居ないことにしたいんだ。


存在を無視しているのだ。


空しさと同時に、

沸き上がる怒り。


今度は、

先ほどよりも強い口調で、


「今日は帰ってください」


と言った。

2026年9月10日木曜日

春休みの心配事

会社の人たちの優しさ

ようやく卒業式を終え、

子どもは春休みに突入した。


小学生としての

最後の春休みだ。


何となく、

心がそわそわする。


あんなに小さかった子が、

もう中学生になるなんて。


そんな感慨が半分。


そして、

もう半分は、

まったく別のことを考えていた。


春休みは、

子どもが一人で

お留守番することになる。


多分、

夫や義両親は

そのタイミングを狙って

来るだろう。


それが心配で、

いつもは取らない有給を取った。


ありがたいことに、

会社の人たちにも


「大丈夫だよ。

お子さんと過ごしてあげて」


と言ってもらい、

一安心。


結局、

5日ほど有給をいただき、

子どもと過ごすことができた。


私を貶めるトゲトゲの言葉

有給は、

続けてではなく

バラバラに取った。


2回目の休みの日。


朝ごはんを食べて、

片づけをしていた時、

ふいにインターホンが鳴った。


多分、

夫だ。


直感で分かってしまい、

心臓がバクバクと

音を立てる。


出たくない。


でも、

出ないわけにもいかない。


恐怖と脱力と、

一言では言い表せない

ごちゃまぜの感情に支配されながら、

洗っていたお皿を置いた。


気を付けないと、

お皿を落としてしまいそうになる。


それくらい、

ドアの外の気配が

重苦しかった。


あまり時間が経つと、

また怒られてしまう。


ハッと我に返り、

慌てて玄関に行く。


そして、

ドアを開ける。


やはり、

夫だった。


確認した瞬間、

暑くもないのに、

背中にひんやりとした汗が流れた。


夫は、

子どもが出てくると

思っていたのだと思う。


だけど、

私が出た。


そして、

開口一番に発せられた言葉が、

これだった。


「あれ?

お前、仕事クビになったの?」


本当に、

バカにしてる。


そう怒れたら、

どんなに良かったか。


でも私は、


「そんなわけ、ないでしょ」


と曖昧に笑って、

やり過ごした。


夫は、

さらに言う。


「お前のことを使う会社って

何考えてるんだろうな」


私のような能無しを

雇うなんて。


そういう意味らしい。


そんなことを言われても、

怒ることすらできない。


否定もできず、

ただ、

こう言った。


「ありがたいと思ってるよ」


夫は、

面白くなさそうに

鼻で笑った。

2026年9月8日火曜日

嘘をついてでも、離れたかった

息苦しい時間を終えるための嘘

校門に近い場所で写真を撮った。


子どもと夫を

義両親が挟むような形で。


2枚ほど撮ったところで

お義母さんが言う。


「そろそろ帰りましょうか」


どちらの意味なのか

分からない。


夫と義両親が帰る。


私たちも一緒に帰る。


そのどちらなのかによって、

私たちの状況は大きく変わる。


もちろん、

一緒に帰りたくなどなかった。


だから、

もう一つの意味の方には

気づかないふりをして、


「そうですか。

今日はありがとうございました」


とお礼を伝えた。


すると、案の定、

お昼ご飯の誘いが……。


何とかしなければ。


『行きたくない』と心が叫ぶ。


子どもは、聞いた瞬間に

後ずさりした。


「まだ、これから

先生やお友だちとも

写真を撮るから」


咄嗟についた嘘だった。


そんな約束はない。


いや、子どもはもしかしたら

していたかもしれないが。


私には何の予定も無かった。


それでも、

嘘をつくしかなかった。


彼らと一緒に居る時間を、

1分でも1秒でも早く

終えるために。


やっと、笑顔が戻った

ちょうどそこへ、

子どもの友達がやってきた。


お母さんと一緒に。


「あっちで一緒に

写真を撮ろうよ」


そう言いながら手を引き、

校舎の方に行こうと促す。


子どもの表情が一気にやわらぎ、

かすかに笑顔を見せた。


私は、

このタイミングを逃してはいけないと、


「記念になるし、良いね!」


と賛同し、

その場から立ち去る間際に

もう一度お礼を言った。


「今日は本当に

ありがとうございました」


この言葉の裏には、


『もう帰って』


という意味が隠されている。


そのまま移動して、

子どもはみんなと写真撮影。


途中で保護者も入り、

先生もやってきた。


色んな事があったけど、

本当にお世話になりました。


パパ以外のことでは、

本当に楽しかったね。


写真を見ていたら

色んな思いがこみ上げてきて、

思わず涙があふれた。

2026年9月7日月曜日

私たちだけが、別世界にいた

受け入れられない

お義父さんから携帯を受け取り、

カメラモードにして声をかける。


「撮りますよ~」


懸命に明るく振舞ったが、

実のところ、

心は沈んでいた。


素晴らしい式だった。

感動に浸ったまま、

終えられると思っていたのに。


夫や義両親の登場により、

それも叶わなくなった。


私たちの大事な場所に

いつも土足で踏み込む夫。


それを、正当な権利だと

主張するお義父さん。


全方位に気を使い、

丸く収めようとする

お義母さん。


彼らが、

何事もなかったかのように

大事な行事に参加することが

信じられなかった。


子どもは

すっかり意気消沈。


式の時に見た、

あの輝くような笑顔も

この場では見られない。


それどころか、

顔色が悪くなって

今にも泣き出しそうだった。


早く終えなければ。


そんな気持ちもあり、

自分から率先して

カメラマン役を買って出た。


まるで遠い世界のように

周りにもたくさんの人が居て、

写真を撮ったり、

おしゃべりをしたり。


楽しそうな姿を目の当たりにし、

どこか遠い世界を

見ているようだった。


心が停止する。


自分たちの状況と比べると、

恐ろしく現実味が無かった。


まるで、遠い世界の人たちみたい。


そう思ったけれど、

違う。


私たちだけが

別世界に居るのだ。


撮った写真を確認したら、

子どもの顔は

どれも引きつっていた。


笑顔を作ろうとしても、

上手く笑えていない。


それが余計に

痛々しかった。


何枚も何枚も撮り、

そのたびに確認してもらう。


10枚ほど撮っただろうか。

流石に満足してくれるかな?

と思ったが……。


「今度はあっちの方で撮ろう」


と連れて行かれた。


どんどん校門に近くなる。


もしかして、

このまま一緒に

帰ることになるの?


段々と不安になり、

足が重くなった。

癒しを求めて

動物園にプラネタリウム・・・ 心が疲れていた。 ただでさえ、 二人ぼっちの生活は 心許ないのに……。 そこに夫や義両親からの、 様々な要求。 何とか交わすことはできても、 心は常に落ち着かなかった。 私がもっと、 どっしりと構えていたら。 そうしたら、 違っていたのかもしれない。...