電車に揺られながら
冬晴れの朝、私たちは電車に乗って
義実家へと向かった。
凛とした空気が、
より一層、
緊張感を増していく。
子どもと二人、並んで座り、
窓の外を眺めていると、
色んなことが思い出された。
何度も通った、
この道のり。
良い思い出は、
ほとんどない。
次にここへ来る時は、
離婚届を出す時だ。
あるいは、
全てが綺麗さっぱり
片付いた後だ。
そう思っていたのに、
相変わらず、
籍は入ったまま。
傍から見れば、
何の変化もない
私たちだった。
それでも──
目に見えない部分では、
確かに変わりつつあった。
以前の私なら、
あれだけ言われたら、
押し切られていたと思う。
なし崩し的に義実家へ連れて行かれ、
そのまま同居し、
再びあの生活に戻っていただろう。
でも、
そうはならなかった。
この頃の私は、
自信がないながらも、
自分自身の変化を
少しずつ実感し始めていた。
小さなお饅頭
電車に揺られ、
小一時間ほどすると、
見慣れた街並みが見えてきた。
夫が生まれ育った町。
結婚した後も、
何かあるたびに、
そこへ戻ろうとした。
義実家は比較的立地が良く、
少し歩けばすぐに着く。
けれど、
約束の時間までは
少し余裕があった。
カフェへ送る前に、
スーパーに立ち寄り、
何かちょっとした手土産を
買うことにした。
ただ……。
よく考えてみると、
今の私が出せる金額で
買えるものはなかった。
結局、
購入したのは、
小さなお饅頭を4つ。
子どもだましだと、
笑われるだろうか。
でも、
これ以上出してしまったら、
お給料日まで、
どうやって乗り切ればいいのか。
そんなことを考えながら、
子どもをカフェへと送った。
ジュースを注文し、
「なるべく、すぐに戻るからね」
そう伝える。
そして私は、
ひとり、
義実家に向かった。






