何度計算しても足りなかった
夫から要求されたお金を、どうにか工面して払おうとしていた。
同居を迫られるくらいなら、
お金で済ませた方がまだマシ。
そう思っても、
現実は甘くない。
ただでさえ、
実質母子家庭のような生活。
普段から、
切り詰めて、切り詰めて、
やっと回している状態だった。
そこにさらに、
“ペナルティ”のようなお金。
どうしてここまでしなければならないのか。
そんな思いも頭をよぎる。
けれど、
他に選択肢は無かった。
あの頃の私は、
とにかく波風を立てず、
丸く収めることばかり考えていた。
ただ――。
指定された期日までには、
どうしても用意できない。
足りない。
やっぱり間に合わない。
何度計算しても、
答えは同じ。
それも、
最初から分かっていたことだった。
けれど、
「無理です」と言う勇気が無い。
途方に暮れて、
思わずお義母さんに連絡した。
あの中なら、
まだお義母さんが一番話しやすい。
相談すれば、
何か助け舟を出してくれるかもしれない。
そんな期待までしてしまうほど、
追い詰められていた。
相談したことまで伝わっていた
こっそりお義母さんに相談した――
そのはずだった。
けれど、
なぜか夫にはすぐ伝わっていた。
メッセージだと証拠が残る。
だから、
通話を選ぶくらいには警戒していたのに。
それでも、
あっさりバレた。
後から、
お義母さんに何度も謝られた。
「ごめんなさいね」
申し訳なさそうに、
何度も繰り返す声。
いや、
裏でコソコソ相談した私が悪い。
そう思おうとした。
でも同時に、
誰にも逃げ場が無いようで苦しかった。
この時は本当に後悔した。
相談なんて、しなければ良かった。
どうせ怒られるなら、
「無理でした」と
言ってしまえば良かった。
でも、
後悔しても、もう遅い。
夫は烈火のごとく怒り、
また同じ話を突きつけてくる。
同居か。
今すぐお金を払うか。
もちろん、払えない。
二つの選択肢を与えられているようで、
実際に選べるのは一つだけ。
最初から、
『同居』しか道は無かったのだ。
それでも私は、
まだ認めきれない。
頭の中にあるのは、
どうにかお金を工面する方法ばかりだった。






