塾に通うことを提案
「俺が家庭教師をやる」そう言って、夫は勝手に
スケジュールを組み始めた。
子どもの予定や気持ちなんて、
どうでも良いのだ。
いつも通りと言えば、
そうなんだけど。
この件に関しては、
絶対に譲れなかった。
私はすぐに代替案を用意した。
それは、塾に通わせること。
元々、子どもは
塾に通いたがっていた。
でも、反対していたのは夫だ。
それを今さら
蒸し返さなければならないことに、
憤りを覚えた。
いつだって、
勝手なことばかり。
振り回されてばかりで、
怒って拒絶しても良いくらいだ。
それなのに、強く言えない自分にも
イライラした。
早速提案し、
夫に家計状況を示す。
大体の収支を知っているはずの夫は、
見た途端、大げさな声をあげた。
「改めて見ると、
よくこんな金額でやってるよな」
まるでバカにしているような、
蔑んでいるような。
決して、
心配しているという
温かい言葉ではなかった。
夫の家計チェック
いつも以上に細かく記された
家計状況をチェックする。
夫は、人の粗探しが大好きだ。
案の定、
すぐに指摘が入った。
外出費だった。
雑費として計上したそれは、
私たちの生きる源。
大げさな話などではなく、
文字通り、
「明日を生きるために」
必要なものだった。
それを、
「無駄だ」
とばっさり切った。
「具体的には?」
と聞かれて、正直に
「二人で週末に出かける時のお金」
と答える。
すると、
「余裕がないのに、
そんなことに金をかけるな」
と一蹴された。
私たちの息抜きなど、
夫にとっては無駄なものらしい。
それもこれも、
夫のせいなのに。
夫からのストレスを
発散しなければ、
やっていられない。
そんな言葉が喉まで出かかり、
その後の荒れ狂う展開を想像して
飲み込んだ。
「まあ、この無駄な雑費とやらを
塾代にすれば良いのか」
そんな言い方をした。
いつだって自分が正しい。
言う通りにしないお前らは
間違っている。
そう言われ続け、
お出かけにお金を使うことも
最初はためらいがあった。
次第に自由の味を覚え、
楽しむことを思い出した私たちにとって、
辛い現実だった。
「金がないなら、
家で楽しむ方法を探せよ」
そう命令されたって、
家に居たら、
あなたが来るではないか。
あなたが来たら、
私たちにとっては
地獄の時間が始まるのだ。
逃げるように外へと向かった
私たちのことを、
夫は想像すらできないらしい。






