連なる電話メモ
会議から戻ると、机の上に何枚ものメモが置かれていた。
電話メモだった。
その枚数を見れば分かる。
何度も電話してきたのだ。
私は対応してくれた人たちにお礼を言い、
電話メモを持って
ロビーへ向かった。
正直、迷惑だった。
仕事中に何度も連絡されても、
対応なんてできない。
なのに、
こちらの事情もお構いなしに
何度も電話をかけてくる。
自分たちの要求を押し通すことしか
頭にない。
そういうところが、
実に彼ららしいと思った。
電話をかけると、
待ち構えていたかのように
すぐにお義父さんが出た。
本当は、
お義母さんの方へかけようかとも思った。
でも、やめた。
どうせ途中でお義父さんが電話を取り、
話し始めるに決まっている。
私は用件も聞かずに言った。
「仕事中は、本当に困るんです」
どうせ言いたいことは分かっていた。
『子どもに会わせろ』
それしかない。
だけど、これ以上
子どもの心に負担をかけたくなかった。
でも、
夫や義両親と真正面から対決する勇気もない。
策を持たない私は、
ずっと逃げ続けてきた。
そのツケが回ってきたのだと、
この時思った。
「これからもかける」という宣言
「困ります」
そう伝えたところで、
「分かりました」
と引き下がる相手ではなかった。
お義父さんは、
怒鳴るような声でまくしたてた。
耳の奥がジンジンして、
心臓がバクバクした。
思わず携帯を耳から離した。
でも、お義父さんは気づかない。
いや、気づいていても
お構いなしだったのかもしれない。
その怒鳴り声に重なるように、
後ろでは夫も何か叫んでいた。
頭が痛い。
うずくまりながら、
もう全部投げ出して逃げたくなった。
だけど、
また逃げたら
きっと同じことが繰り返される。
そうなれば、
会社にも迷惑をかける。
ここにも居づらくなる。
どうしたらいいのか分からなくて、
思わず大きなため息が漏れた。
その音がお義父さんにも聞こえたらしく、
また怒鳴られた。
その日は、
5分ほどで戻るつもりだったのに、
結局、15分以上も拘束された。
席へ戻る頃には、
もうぐったり・・・。
それでも、
やり残した仕事を終わらせなければいけない。
そう思ってパソコンに向かったけれど、
全然集中できなかった。
怖かった。
この先どうなるのか、
不安でたまらなかった。
気づけば、
じわっと涙が浮かんでいた。
そんな私の異変に気づき、
声をかけてくれたのは、
ずっと話を聞いてくれていた同僚だった。






