あっという間に再就職先を決めた夫
私が転職活動をした時には、決まるまでに長い期間を要した。大袈裟ではなく本当に30社以上に書類を送ったので、応募するだけでへとへとだった。
その中から面接に進むことができたのはごく僅か。
数少ないチャンスをものにしようと、いつも必死だった。
それなのに、夫が活動し始めたら本当にすぐに決まってしまった。
技術職だからかな。
ブランクもあったので、これほどまでにスムーズに決まるとは思ってもみなかった。
もっとも、夫の方は受ければ採用されるという感じで自信満々だったのだが。
結果、その通りになった訳だ。
この成功により、夫の考え方に変化が起きた。
それまでは心のどこかで『仕事してないから親権を取られても仕方がない』という気持ちがあったのだと思う。
それが、急に収入面でも強気になって、
「資金的に余裕のある方が子どもを育てるべきだ」
と言い始めた。
ずっと仕事をしてきた私と、長いブランクを経て再就職した夫と。
どちらの方が収入が多いかって?
・・・夫だったのだ。
世の中ってそういうものだ。
それは仕方がないとしても、収入で攻められる状況になるのは想定外だった。
再就職だって想定外だったんだけど。
養育費をもらうにはその方が良いと思ってしまった私が馬鹿だった。
夫の方が収入が多く、離婚したら実家に戻るから家賃もかからない。
しかも、義両親のサポートも受けられる。
それに対し私は一般職で、習い事をしたいなんて言われたらそれこそ家計簿とにらめっこになってしまう。
その上毎月家賃を支払いながら、残りで生活しなければならない。
お金の面だけを見ると圧倒的に夫の方が有利だった。
だけど、親権てお金のことだけではない。
虐待していた夫に親権なんて渡せるわけがないと思った。
やっと話し合いが再開
仕事を決めた夫は、以前にも増して自信に満ち溢れていた。
普通に働いていた頃は『完璧な俺、すごい』って感じだったんだけど。
それに近い雰囲気を醸し出していた。
それが交渉にどう影響してくるのか。
正直なところ、とても怖かった。
夫は元々弁の立つ人だ。
議論になったら負けない自信がある、といつも言っていた。
通常モードがそれなんだから、少し弱っているくらいの方がちょうど良いのだ。
そうでないと、話し合いの場がただのお説教タイムになってしまう。
そもそも私のことを物凄く下に見ていて、対等な立場での話し合いなんて不可能だった。
でも、不可能なんて言ってはいられない。
離婚の取り決めをする大事な場なのだから負けられないと思った。
警戒しつつ次回の話し合いの日程を決めたその日。
子どもが実家から帰ってきた。
久々におじいちゃんやおばあちゃんと過ごして楽しかったのか、物凄いハイテンションだった。
戻って早々、
「また行きたい!次はいつ?」
と言うくらいだから、よほど充実していたに違いない。
『次はママと一緒に行こうね』と話しながら私も自然と笑顔に・・・。
そういう楽しい計画があれば、これからの夫との対決も乗り切れる気がした。