夫の回復を待つ日々
体調不良の夫が回復するのを待つ間、全く動くことができなかった。まさか無理やり追い出す訳にもいかず・・・。
いたずらに時間だけが過ぎて行った。
下手に動いたら、また非難されるかもしれない。
夫の態度が更に硬化するかも。
そんな不安があったことも確かだ。
夫はよく、
「どうせ俺だけが悪いんだろ!」
と言った。
こんな風に言うこと自体、他責の気持ちがある証拠だ。
『自分は悪くない』と言っているようなものだと常々思っていた。
体調不良の件も、彼の脳内ではきっと私が悪いことになっているんだろう。
それが分かっていたから、ただひたすら嵐が過ぎるのを待った。
それまでも、状況が酷く荒れている時にはそうやってやり過ごしてきた。
だから、いつも通り。
待つだけ。
そう思っていたのだが、2週間が過ぎた頃にお義父さんから連絡があった。
「こんなことになっても、まだ気持ちは変わらないの?」
最初の言葉がそれだった。
唐突にこんなことを言われ、すぐには何を言っているのか理解できなかった。
いや、本当は分かっていたけれど理解したくなかったと言うべきか・・・。
まさか、ここに来てまた振り出しに戻されそうになるなんて夢にも思わなかった。
だから、戸惑い、怒りがわいてきた。
夫のことは可哀そうだとは思うけれど、元はと言えば自分が蒔いた種だ。
体調不良に陥ったからと言って私たちの離婚が覆ることはないし、考え直すこともない。
何度もそう伝えたはずなのに。
「この状況で『離婚』を選択することは人としてどうなのか」
と非難された。
お義父さんの発言の真意
どちらかと言えば、
「こんなことになっちゃって、悪いね~」
と言っていたお義父さん。
それが急に離婚を取りやめるように言うなんて、何か裏があるんじゃないかと思った。
だから、話しながらそれを聞き出そうとした。
始めは頑なに『人として~』と言っていたのだが、段々と口調が変わり・・・。
10分後くらいにはとうとう本音を漏らした。
お義兄さんが義実家に戻ってきているとは聞いていたが。
どうやら本格的に離婚の話が進んでいるらしかった。
そうなったら義実家で暮らしたいと言っているので、夫の方を何とかしなければと考えたようだ。
まだそっちの家庭は何とかなるかもしれないから、と。
それを聞いて『何でそうなるの?!』と耳を疑った。
何とかなるなんていう発想が出てくること自体が驚きだった。
結論はもう決まっていて、それに向けて動いているとばかり思っていたのに。
もしこれに夫が同意しているとしたら、尚更厄介だ。
それで夫の意向を確認しようとお義父さんに聞いてみたのだが、明確な返事はもらえずのらりくらり。
結局最後まではぐらかされたまま、電話を終えた。
まさか先に動いていた私たちよりも早くお義兄さんたちの状況が動くかもしれないなんて。
そんなこと考えもしなかった。
うちは夫の機嫌をうかがいつつ慎重に進めるから時間がかかる。
たけど、お義兄さんのところは奥さんも非常に強い人なので、いざとなったら簡単に話がまとまるのかもしれない。
やはりアンバランスな夫婦って何をしても上手くいかないものだ。
この時はもう焦りというよりも落胆の方が大きくて、一つ一つ積み上げてきたものを一気に崩されたような気がした。