2025年6月9日月曜日

『離婚したい』と最後まで言い続けた私

言いくるめようとする夫を警戒

強く主張すれば私が言いなりになると思っていることが、言葉の端々から感じられた。

いつも自分の思い通りにしてきたから当然なのかもしれない。

でも、私は絶対に引かないと強く決意して話し合いに臨んでいた。

言いくるめようとしてくる夫に対し最初から警戒していたし、安易に提案に乗らないように注意深く本心を探ろうとした。

だから、何を言われてもいつものようにすぐに受け入れることは無かった。

自分の意図する方向に行かなくて夫は段々とイライラしてきたけど・・・。

その様子に恐怖を覚えても平気なフリをした。

たとえポーズだけでもそうしておかないと、もっと強く出てきて一気に決められてしまうから。

夫との話し合いには途轍もない怖さがあった。

気を抜いたら全て持って行かれてしまう。

たとえ、そこに友人という緩衝材となるような人がいても結果は同じだ。

上手く誘導して相手を自分の思い通りにコントロールしようとする。

それが夫なのだ。

案の定、夫は強引にやり直す方向で話を進めようとした。

でも、私がそれにストップをかけた。

こうやって書いていると冷静そうに見えるかもしれないが・・・。

実際には心臓がバクバクして、途中で思考が停止してしまった。

追いつめられた私は逃げ出したくなり、それを止められて咄嗟に出たのが

「どうしたら離婚を承諾してくれるの?」

という言葉だった。

この言葉には夫も衝撃を受けたようで、

「お前、それ本気で言ってるの?」

と呟くように言った。

その後立て続けに、

「お前さあ、自分が何でも正しいと思ってるの?」

とか

「こっちの話も聞けよ」

と怒りを隠せない様子でまくし立てた。

それでも私が折れずにいると、

「離婚を認めて欲しかったら、まずはきちんと話し合いをしようよ」

と何故かまた振り出しに戻され、自分がいかに譲歩してきたかを語った。

最終的には

「お前がそのつもりなら、俺もやっぱり親権を諦めない」

と言い始め、

「引っ越しも当分しないから」

と宣言されてしまった。

そう言われても、感情を表すことなく、

「そう。分かった」

と答えたのだが、本当は『どうしよう・・・』と途方に暮れた。


どうしたら分かってくれるの・・・

何を言っても分かってくれない。

そもそも最初から離婚するつもりなんてあるのか。

態度を二転三転させる夫に困り果てて、この話し合いは上手くいかないんじゃないかと弱気になった。

『もう離婚さえ応じてくれれば何でも良い』という気持ちになり、それを正直に伝えた。

嘘偽りのない心からの願いだった。

夫から解放されて自由になりたい。

そんな思いから、

「離婚してもらえるのなら、できる限り(夫)の要望を受け入れるから」

と伝えた。

そこまでして別れたいと言い続ける妻に対し夫は何を思っただろうか。

祈るような気持ちで真正面から夫を見つめ、

「別れてください」

と頭を下げた後、二人とも無言になった。

その間、お互いが相手の出方を窺がっているような感じだったんだけど。

その空気に耐えられなくなったのがNだった。

「ちょっと整理させて」

と言い出した。

「(夫)は別れたくないんだよね?もし別れるなら親権を要求し、引っ越しも自分のタイミングでしたい、と」

そう言われた夫は頷いた。

「(私)ちゃんは別れたいんだよね。別れるという選択肢以外はあるの?例えば条件つきで戻る可能性もあるのかな」

と聞かれ、きっぱりと

「どんな条件をつけられても戻れない。別れたい」

と答えた。

それを聞いたNは腕組みをして『う~ん』と言いながら考え込み、

「これだと『別れる』という道しか無いよ」

と夫に言った。

「あとはお前がどういう条件なら納得できるかだよ?」

と返事を促したが、夫は終始無言だった。

この話、実はかなり端折られている。

途中でかなり激しいバトルが繰り広げられた。

と言っても私は防戦一方でひたすら夫が強い口調で責め立てていただけなのだが。

暴言とも言えるような口調で責め立てるものだから一緒に居たNの方が慌ててしまって、

「お前、そんな言い方はダメだろ」

と必死でその場を落ち着かせようとしていた。

これがいつものことなんだということを少し分かってもらえたかな。

この時は割と言いたいことを言えたと思う。

そこは良かったのだが、最後に夫が

「お前の気持ちは分かった。でもこっちは納得できてないから」

と言い放った。

私たちの話し合いは、このように揉めに揉めてかなり大変だった。

夫が暴れないで済んだのは、家の中ではなくお店で話し合ったからだと思う。

周りを気にする夫のような人は、人目のある場所を選んだ方が良いだろうと考えた。

それに加え、Nの存在も大きかった。

居てくれたお陰で、言いたいことを言えたと思えるような場面もたくさんあった。

だから今でもNにはとても感謝している。

居所不明の別居状態が続く・・・

「そろそろ居場所を教えろ」と言われたけれど 家を出て以来、夫とは携帯一つでつながっていた。 連絡手段を絶つと離婚の交渉ができなくなる。 そう思って、完全に関係を絶つことを避けた。 連絡を取り続けていると、相手も望みを持つものだ。 『元に戻れるのではないか』というのが言葉の端々から...