孫に執着する義両親
産まれるまでは、それほど興味を持っている様子は無かった。だけど、産まれた瞬間に物凄い孫フィーバーが起きた。
人間ここまで変わるのか、という位に孫命になった義両親。
最初は驚いたけど、これはわりとどこのご家庭でも起こることだと思う。
ただ、うちの場合にはその執着の仕方が結構凄かった。
夫の実家から見ても私の実家から見ても孫という点は変わらない。
だから、どちらの比重を重くしてもいけないと思って平等になるように心がけた。
お祝い事だって両家に声を掛けて皆で集まれるように段取りを整えたのに。
上手くいかなくなってしまった。
最初は良かったんだけど、段々とバランスが崩れた。
こういうのって、お互いへの気遣いにより絶妙なバランスで成り立っているのだと思う。
だから、どちらか一方がエゴを出し始めると途端におかしくなってしまう。
そのきっかけとなったのが、義両親の『この子は〇〇家の孫だから』という姿勢だった。
そう思っていたとしても心の中だけにしておいてくれたら良かったんだけど、黙っていられない人たちなのだ。
皆で集まる時もそれを前面に出すものだから不穏な空気が流れた。
うちの母も、実は結構気が強い。
顔では笑っていても言葉の端々から戦闘態勢が見て取れた。
『これはマズイ!』
焦った私はこの場を何とかしなければと余計なことをペラペラとしゃべりまくった。
だけど、そういう時って誰も聞いていない。
お互いの出方を探っているような状況なので、相槌を打つ人は居ても話の内容など全く耳に入っていなかったと思う。
これが1度や2度ならまだ良かった。
うちの場合には集まるたびにそうなるのだから嫌になってしまった。
せっかく良かれと思ってやっているのに裏目に出るなんて・・・。
母がもう少し気の弱い人だったら上手くいったのかもしれない。
でも、それだと言われっ放しでストレスが溜まったかな。
うちの父は穏やかな人だから、一人和やかな空気をまとっていた。
他の3人が父のような人なら良かったのにね。
集まるたびに不穏な空気に包まれていた我が家。
お祝いや行事のたびにそんな状態だったので、私の胃は毎回キリキリと痛んだ。
それで段々と集まることを止めた。
それと同時に両親を呼ぶ機会も失ってしまった。
可愛がりはするけど虐待からは守ってくれない
義両親の溺愛ぶりは凄かった。
うちの両親には嫉妬もしていて、
「そちらの家は良いわね~。お孫さんが他にも居て」
と事あるごとに言っていた。
姉の所にも子どもが居たので羨ましく思ったのだろう。
その次に続くのは、
「うちは一人だけだから」
という言葉だった。
最初はピンと来なかったんだけど、ある時母から耳打ちされた。
「あれって、そっちは他にも孫が居るから良いでしょって意味よ」
と言われとても驚いた。
そんなこと考える人居るんだ・・・。
いや、母がうがった見方をしているだけかもしれないけど。
世の中は言葉の表面だけを見ていても上手くいかないんだなと痛感した。
裏を読まない私は常に言われたままの意味で受け取った。
だから、時々お義母さんに『天然ね』と言われた。
もしかしたら、あれは嫌味だったのかもしれない。
そこまで溺愛しているのだから虐待からも守ってくれそうなものだが、それは期待できなかった。
孫が可愛いと言っても、しょせん息子には負けるのか。
目の前で夫から虐められていても、子どもに
「早く謝っちゃいなさい」
と言う始末。
何も悪いことをしていなくても、だ。
そんなことを言われたら、子どもだって納得できない。
だから、会っても嬉しそうにすることも無く真顔で接していた。
我が家にやってきて義実家に連れて帰ろうとした時などは泣いて嫌がった(笑)
目の前で叩かれていても助けず、
「そういうことするな」
と軽く注意するだけ。
裸足で外に出されそうになった時には、
「靴をはかないと汚れちゃうだろ」
という謎のフォロー。
その程度じゃ何の意味もないことを義両親が一番分かっていたはずだ。
少しでも守ってくれていたら、また違った見方ができていたのかもしれない。
結局面倒なことには目をつぶってスルーするだけだった。