小学校に入ってからできた友達
子どもが小学生になり、新しい友達ができた。保育園から小学校に上がる頃って環境の変化に適応するだけでも大変だと思う。
だけど、我が子はどんどん自分の世界を広げていった。
引っ込み思案だと思っていたのに結構やるな、と頼もしく感じた。
放課後になると、仲良くなった子たちが『遊びに行こう』と誘いに来る。
うちの子はどちらかと言うと大らかで行動もゆっくり。
だから、迎えに来てもらうことが多かった。
のんびり帰っていたら既に一度家に帰った友だちが迎えに来ていて驚いたこともあったようだ。
「ちょっと待っててね~」
と家に入り、急いで遊びに行く準備をする子ども。
普通に考えたら微笑ましい光景だと思うのだが・・・。
夫は快く思っていなかったようだ。
わざと外で待っている友達に聞こえるような声で、
「お前、どこに行くつもりだよ!」
と怒鳴り、子どもが答えようとするのを遮って、
「遊びになんて行ってる暇あるのかよ!」
と言ったそうだ。
これが一度や二度ではない。
私が仕事から帰ると『今日ね・・・』といつも子どもが教えてくれた。
私の居ない間にこんなことが頻繁に起きていた。
時にはわざわざ外に出て、
「ごめんね。今日(子ども)は遊べないから」
と言ったそうだ。
時間はたっぷりあるはずなのに。
夫は子どもが楽しく過ごすのを許さなかった。
多分、そう言われた友達も驚いたと思う。
次の日に学校で、
「昨日何で遊べなかったの?約束したのに」
と言われたと、子どもはしょんぼりしていた。
子どもが外に出て遊ばなくなった
何度も友達との約束を反故にしているうちに、いつしか誘われなくなった。
子どもは外に出なくなり、放課後は家に引きこもるように・・・。
家に居たって虐待する父親が居るから地獄だ。
でも、外に行きたくても邪魔されてしまうから行けない。
こういうことを考えるたびに、結局夫は何をしたかったんだろうと思う。
その後も時々は誘われることがあったようだが、いつも自分から断っていた。
「どうせダメって言うもん」
とすっかり諦めてしまった子ども。
そう言いつつも表情は寂しそうだった。
家の外から楽しく遊んでいる声が聞こえてくるのもストレスになったようだ。
本当は遊びたいのに遊べない。
段々と塞ぎこむようになった。
なぜ自分だけがこんな目にあわなければならないのか。
きっとそう思ったに違いない。
「ママがおうちに居てくれたら遊びに行けるのに」
と言われたこともあったが、それは不可能だった。
私が働かなければ一家で無職になってしまう。
そういう時こそ義両親に活躍して欲しいのに、肝心な時に夫の言いなりだった。
これが目の前で起きている時でも意見することもなく、子どもの気持ちをくんで動くことも無い。
私が夫と話すのを見ても、よく分からない反応を示した。
『話し合うのは良いことだ』
『どちらの意見にも良い点、悪い点がある』
・・・いやいや、そういう話ではない。
こんな感じで全くあてにならなかったので、一人で闘った。
でも、私の言うことなんて聞き入れてはもらえなかった。
そういうのを見て、きっと失望したんだろうな。
元気がなくなっていった子どもに対し、夫は『勉強さえすれば上手くいく』と勉強させた。
『勉強しない奴はろくな大人にならない』と言うのが夫の持論。
まるでその他のことは疎かにしても良いような物言いだった。
義両親もそれに同調していた。
次第に孤立していった子ども。
学校の話もしなくなり、心配でよく先生に相談した。
相談しても良い解決法など浮かばないのだけれど相談せずに居られなかった。
きっと寂しかったと思う。
あの頃、子どもに何もしてあげられなかったことを今も悔やんでいる。