2025年3月19日水曜日

夜の街を子どもと彷徨い、辿り着いた場所

怒りに任せて子どもの傘を破壊した夫

家から追い出されて途方に暮れたあの日  の続き

実家の両親には電話できなかった

どこにも行く当てはなかったが、とにかく歩いた。

少しでも歩いて、夫の居る場所から離れたかった。

途中で何度か後ろを振り返ったのは、ふいに怖くなったからだ。

夫が着いてきているのではないか、と。

でも、時計を見たら夫はもう寝る準備をしている頃だった。

実際の就寝は12時近くでも、1時間半以上前から寝る準備を始める。

あの夫が、わざわざいつものルーティンを崩してまで追いかけて来ることはないと思った。

所詮、私たちはその程度の扱いということだ。

普段ならそういう所に悲しくなったりするが、その時はかえって都合が良かった。

私たちは少しだけ安心し、歩く速度を落とした。

早く駅に着きたいような、着いてしまったらもう後戻りできないような・・・。

何だかとても複雑な心境だった。

そうこうしているうちに最寄りの駅に到着。

とりあえず駅の構内に入ったのだが、そこでもどうすべきか決めることができなかった。

地元の駅近くに宿泊できる所はない。

私一人ならファミレスでも良いが、まだ6歳の子どもが一緒なのだからそういうわけにもいかない。

普通ならそんな時間に連れまわすこと自体が非常識なんだけど。

その時は非常事態だったので申し訳なく思いながらも付き合わせてしまった。

早く休める場所を見つけなければ。

そう考えれば考えるほど焦り、ひしひしと自分の置かれた状況を実感した。

これまで夫の目が怖くてどんどん周りの人との関係を切っていった。

家族にさえほとんど連絡を取らなかった。

だから、頼る人が居なくて当然だ。

これも自分がしてきたことへの報いなのかな、と思ったら余計に悲しくなった。


電車に乗って大きな駅に

地元の駅に居ても打つ手が無いような気がした。

それで電車に乗って大きめの駅に移動した。

そこなら宿泊できるところもあるし、深夜でも空いているお店がある。

普段は人混みが苦手なのだが、その時は人が居ることでほっとした。

たくさんの人々に紛れていると、何となく迷いや不安が薄らいでいくような気がするから不思議だ。

駅前にはファミレスがあり、まだチラホラと人が座っているのが見えた。

まずは一休みしようかな?と思って入ったのだが、そこでお腹が空いていることに気づいた。

なーんだ。

こんな時でもお腹が空くなんて。

私、案外元気なんだ。

思っていたよりも逞しい自分にほっとして、子どももそんな私を見たら急に元気になった。

メニューを見ながら、あれも食べたいこれも食べたいと始まり、結局パンケーキやジュースを注文した。

本来はこんな時間に食べちゃダメなんだけど特別だよ。

そう言ったら、子どもは満面の笑みで

「とくべつだね!」

と嬉しそうに言った。

私たちにはこういう時間が無かった。

だから、夫から逃げてきているというのにふと幸せを感じてしまった。

食べ終えて少し休んでいたら、子どもはウトウトし始めた。

そりゃーそうだ。

疲れたよね。

私も横になりたかったけれど、まだ泊る場所を探せていなかった。

実は食べながら探してはいたのだが、どこも高くて・・・。

払えないわけではないのに躊躇してしまった。

だけど、ずっとそこに居るわけにもいかないし、と迷っていたら急に電話が鳴った。

夫かと思って身構えたら姉からだった。

こんな時間に?と驚きながら電話に出ると、心配そうな姉の声が聞こえてきた。

「良かった、出てくれて!ねぇ、今どこに居るの?」

唐突にそう聞かれても、何て説明したら良いのかが分からない。

それで言葉に詰まっていたら、

「さっき、うちの旦那が(私)ちゃんのこと見かけたって言うからさ」

と言われ、

「何かあったの?うちに来る?」

と言ってくれた。

気づかないうちに見られていたのか。

こんな偶然があるんだな、と驚きつつも即答できなかった。

夜遅くにお邪魔するなんて迷惑過ぎるし、姉だって家族の手前気を使うだろう。

そういうのを表に出さない人だから、余計に申し訳ないと思った。

でも姉は、

「今から旦那と一緒に迎えに行くから。場所教えて」

と言ってくれて、結局姉の家に行くことになった。

弁護士への依頼は断念

『交渉をプロに任せる』という選択 離婚するためには夫と話し合いをしなければならない。 でも、直接会って話すことに恐怖を感じていた。 夫は家を出て戻らなくなった妻を寛大な心で許せるような人ではない。 自分がヤキモキしたりイライラしたら絶対にその気持ちをぶつけてくるはずだ。 そうなっ...