残ったのは借金だけ
お義兄さんたちとの連絡を絶った。元々直接つながっていたわけではないのだが。
義両親からの連絡も、それ関連の時はだんまりを決め込んだ。
関わってもろくなことが無いというのは既に分かっていたこと。
それでも、夫との未来を考えている時にはできるだけ寄り添おうとした。
その結果がアレだ。
もう呆れるというか何というか。
どんな気持ちで接すれば良いのかが分からなくなった。
ふんわりと流れてきた情報によると・・・。
お義兄さんは結局離婚して、家も失ったそうだ。
いつ離婚したのかは分からないが、最後は奥さんの方がゴネたらしい。
その事自体も『奥さんの方から離婚したいと言ったのに何で???』という感じだけど。
よくよく聞いたらお金が絡んでいた。
少しでも多くお金を受け取ってから別れたい。
そう考えて、金目の物やちょっぴり残っていた財産を整理していたようだ。
と言っても、借金が残るくらいだからほとんど無いのだとは思う。
それで整理してみたら予想以上に少なかったのか、
「こんな額じゃ新生活を始められない!」
と暴れた。
暴れられてもお義兄さんだってない袖は振れず、謝るしかできなかった。
謝っているうちにまた病気が悪化して、それを見た奥さんは更に嫌気が差し・・・。
「やってられない!」
と言って離婚が成立した。
いや~虚しいね。
こういう終わり方って。
うちも人のことを言えるような立場では無いけれど。
彼らが上手くいっているように見えたのはお金があったからなんだな、というのがはっきり分かった。
最後にお義兄さんに残ったのは借金だけ。
それも仕事が思うようにできず払えない状況で、正直言って詰んでいた。
そして、予想通り債務整理をすることになった。
詳しく知らないのでどのような手続きをしたのかも分からないんだけど。
しばらくは義実家の面々みんながズーンと沈んでいた。
いつもの勢いが無い中、夫だけは元気で。
『兄弟だけど他人事なんだな』という感じがした。
夫よ、あなたも他人事じゃないのよ
お義兄さんの一連の出来事を見ても、夫は自分が似たような立場に置かれていることを理解していなかった。
むしろ、
「アイツ、可哀そうだな~」
と上から目線で、高みから見物しているような感じさえした。
間もなく離婚することになるであろう自分のことは顧みず。
いつも通り『俺は誰よりも幸せで尊敬される存在』と本気で思っているようだった。
反省しないという点では、あの兄弟はどちらも同じだ。
ただ、最後まで強気で悪いことなど起きないと思い込めるという点で夫の方が厄介だった。
そういう所にサイコパス味を感じたわけだが。
当人にとってはそれが当たり前なんだから話が通じるはずがなかった。
「お前、あの家本当は欲しかったんじゃないの?」
とか、
「惜しいことしたよな。今頃誰かが買って快適な生活を送ってるよ」
とか。
おかしな絡み方もされた。
買いたいなんて一度も言って無いのに、
「まあ、次があるよ」
という謎の慰めの言葉もかけられた。
ここまで来ると本当に怖い。
私との会話なんて必要なくて。
夫の脳内だけで会話が完結しているんじゃないか、という疑惑さえ出てきた。
これがお義兄さんの家のことなんかの話だとどうでも良いのだが。
離婚の件はそうもいかない。
きちんと会話して、離婚を納得してもらわなければならないから。
でも、それがもっとも難しいことだった。