2024年10月21日月曜日

結婚後、初めての外泊

子どもと二人でホテルに宿泊

駅前にはいくつかのホテルがある。

観光客の人なんかも結構居たりする町で、宿泊する場所には困らなかった。

ただ、やっぱり高いんだよね。

その日一日泊まったら、翌日にはもう帰らなければならないくらいの金額だった。

あーあ。

こんなにワクワクして楽しむことができたのに。

もうゲームオーバーだなんて・・・。

久々に味わった自由は本当に尊くて、手放したくないと思ってしまった。

それくらい楽しかった。

多分子どもも同じ。

自由なんてほとんど味わったことのない子が、目をキラキラさせながらはしゃいだ。

二人でベッドの端に座ってしばし沈黙。

そこからは美しい夜景が見えた。

その光景を見ながらボーっとしていたら、突如言いようのない憤りや後悔がわき上がってきた。

これはもちろん自分に対してだ。

もっと早くどうにかできなかったのかと言われたら返す言葉もない。

上手く動けば離婚することだってできたはずなのに、というのも本当にその通りだと思う。

私がバカだったから、どんどん身動きが取れなくなって子どもを巻き込んでしまった。

今回のことで、『もしかしたら自由ってすぐ傍にあるのかも』なんて勘違いしてしまったが、そんなの錯覚だと分かった。

戻る場所はあの家しかなかった。

だけど、どこか諦めきれない気持ちもあって。

明日になったら信じられないような奇跡が起きて、そのまま夫の元に戻らなくて済むなんてことにはならないかな、なんて思ったりもした。

そんな都合の良いことを考えながら、その日は眠りについた。


夫からの大量の留守電

宿泊したホテルで目を覚まし、携帯の電源をオンにした。

前日に夫から一方的に電話を切られて、そのまま帰らないことを決めてからは、ずっとオフにしていた。

帰らないと決めていても、強く言われたら私は嫌々戻ってしまうだろう。

それが怖かった。

もしかしたらこんな風に自由に動ける日はもうやってこないかもしれないのに。

電源を入れると留守電が入っていることに気づいたが確認する気になれない。

聞いてしまったら『帰る』ことをハッキリと自覚してしまいそうで憂鬱になってしまった。

しかも、留守電は一件ではなくいくつも入っていて私をゲンナリさせた。

夫はどういう行動に出れば言うことをきかせることができるのかを知っている。

離れていてもコントロールされてしまうなんて馬鹿げてると思うのだけれど、どうしようもない。

でも、帰らなければならないのに聞かないわけにもいかなくて・・・。

気は進まなかったが聞くことにした。

最初の方は大声で怒鳴っているものばかり。

脅して帰らせようとしたのだろう。

耳から携帯を離していても聞こえるくらいの怒鳴り声だったので、少し距離をあけて座っていた子どもがビクッとしたこちらを見た。

「パパから?」

子どもは既に泣きそうな顔をしている。

その顔を見て更に後悔した。

私はなんてことをしてしまったんだろう。

二人で家出したといっても子どもは私に連れてこられただけだ。

しかも、まだ5歳。

何も分からず、ただ手を引かれてお出かけだと思い込んで楽しんだだけ。

前日の義父や夫との電話の後、知りたがっていたので分かりやすく今の状況を説明した。

その時初めて家出だということが分かったのだから、子どもには何の責任もない。

だけど、夫がそう思ってくれるだろうかという不安があった。

戻った後にどんな仕打ちが待っているのかも怖かった。

夫が許すはずがない。

そういう人だということは、私が一番よく分かっている。


電話口の夫は泣いていた

留守電の最初の方は全て怒っていた。

怒り狂っているという表現がピッタリな感じだったのだが・・・。

段々と声のトーンが下がって落ち着いていっていることが分かった。

数時間後の真夜中にかけてきた時には明らかに涙声だった。

弱々しい声で夫は言った。

「俺が悪かった。お前たちに直接謝りたい」

その言葉を聞いて、声が出ないほど驚いた。

だって、それまでに一度も謝られたことなんてなかったのだから。

どんなに自分が悪くても当たり前のように私を責めていた夫が泣きながら謝っている。

聞いた直後はとても混乱して、『これは本当に夫なの?』とにわかには信じられないような気持ちになった。

その後の電話では、

「二人が居なければ生きている意味が無い。帰ってきて」

と消え入るような声で言っていた。

夫が本当に改心したのかを確認する術はない。

もしこれが演技だったら、と思うと警戒してしまう。

だけど、口先だけだとしても謝罪してくれたことは事実だ。

これは大きな一歩なんじゃないの?

まだ信じたい気持ちもあったので、浅はかな私は良い方にとらえてしまった。

結局は帰った後に修羅場が待っていたんだけどね。

余談だが、子どもがこの件でペナルティを受けることは無かった。

それだけが救いだ。

夫に内緒で、塾を続けることにした

「もう要らないから」 塾で使っていたノートなどを、 「もう要らないから処分しよう」 と、子ども自ら玄関に置いた。 「もう要らないから」 という言葉が、心にズシンとくる。 そんなことを、 言わせたくはなかった。 でも、 結果的にそうなってしまった。 だけど私は、 この時すでに決めて...