着々と狭まる夫&義両親の包囲網
退去&同居問題が勃発してから数か月が経過がする頃。段々と肩身が狭いと感じることが増えた。
義両親は頻繁に我が家を訪れては子どもにおもちゃをプレゼント。
そうやってプレゼント攻撃をすることで、その気にさせようとしていた。
プレゼントをしても子どもだから効果がすぐに薄れてしまうと思うのだが・・・。
そのあたりは、あの夫の両親ということで抜かりが無い。
毎回毎回子どもに対して『一緒に暮らしたらどんな素晴らしいことが待っているか』を話していた。
良いことばかり言うのだから心が動かされるのは当然だ。
だんだんと義両親が帰った後も子どもが自発的に、
「おじいちゃんとおばあちゃんのお家に行きたい」
と言うようになった。
いよいよ困ったことになったぞ。
そう思いながらも、義両親の話を全て否定するようなことはできない。
孫が可愛い、一緒に暮らしたいという気持ちも分かるし、これがチャンスだと思ってしまうのも仕方のないことかもしれない。
だけど、夫はどうだろう。
この状況を好機とばかりに、こちらの気持ちなど考えずに責め立てて自分の思い通りにしようとしている。
まるで引っ越し先が見つからないのは私のせいだと言わんばかりの口ぶりで、話すのも億劫になった。
本当は口も利きたくない。
それなのに、私が不機嫌そうな素振りを見せるだけで鬼のような形相で怒って攻撃してくるから。
心中穏やかではないその状況でも、私は無理やり笑顔を作って接していた。
本当は、このまま子どもが流されて一対四になってしまったらどうしようという気持ちでいっぱいだったのだけれど。
私とは対照的に夫は上機嫌で過ごすことが増えた。
義実家での同居に対して次第に子どもが前向きな発言をするようになったことで気を良くしたのだ。
家は見つからないし、期限は迫っているしで。
あの頃のことを思い出すと今でも手に汗がじわーっと浮かんでくる。
「ママはどうしておじいちゃん家に行きたくないの?」
ある日、子どもが私の顔を覗き込みながら
「ママはどうしておじいちゃん家に行きたくないの?」
と聞いてきた。
こんな時、なんて答えるのが正解なのだろうか。
今私が懸念していることは子どもにとっては関係ないことなのかもしれない。
だから、今の感情のままに具体的なことを伝えるのは良いことではない気もする。
何より幼い子どもに話したところで理解できるのかが分からなかった。
だから、少し悩んでから
「うーん、ママにとってはちょっと大変なことなんだよ」
と答えた。
すると子どもは不思議そうな顔をして
「どうして?パパが『本当はママも行きたいんだよ』って言ってたよ」
と言うので驚いてしまった。
まさかそんなこと言ってたなんて全然気づかなかった。
「おじいちゃんも、おばあちゃんもそう言ってたよ」
と言うのを聞き、更に愕然とした。
私が強く言えないのを良いことに、都合の良いように話すなんて!
大人たちが寄ってたかって『同居は素晴らしい』と言うものだから、子どももすっかりその気になっていた。
何より一軒家というものに憧れがあったのだろう。
「おじいちゃん家はいっけんやだから」
というのも何度も子どもの口から聞いた。
これは繰り返し吹き込んだ結果だ。
すっかり夫や義両親の言葉を信じてしまっている子ども。
子どもをその気にさせて事を進めてしまおうとしている大人たち。
引っ越し先が決まらず悩んでいる間に、着々と包囲網は狭まっていた。