体調不良は自己責任
普段から些細なことで腹を立て、理不尽な怒りをぶつけてくることの多かった夫。体調不良にも非常に厳しかった。
どんなに気を付けていても、風邪くらい引く時はある。
だが、夫はそれを許さなかった。
咳が出れば冷たい目で見られ、鼻をかめばため息をつかれた。
わざわざ近くに座ってそういうリアクションを取ってくるんだから。
意味不明としか言いようがない。
うつりたくなければ遠くに居れば良いものを。
あえて近くに座って、後日、
「お前の風邪うつったわ」
と嫌味を言ってきた。
そう言われるのが嫌だから、家の中でもマスクをしていたんだけど。
マスクくらいじゃ防げないというのが夫の持論だった。
そもそも体調不良に陥ることが怠慢だと。
そんな風に責められても引いてしまった風邪が早く治るわけでもなく・・・。
治るまでずっと針のむしろでシンドイ思いをした。
ある時、子どもの保育園のお迎え時間になっても熱が下がらず、夫に
「今日だけお迎えお願いできないかな」
と言ってみたことがあった。
あまり期待はしてなかったけど、行ってくれたらラッキーくらいの気持ちで。
そうしたら、目を吊り上げながら
「何でお前の尻ぬぐいをしなくちゃならねーんだよ!」
と怒鳴り、
「自分のせいなんだから自分で何とかしろよ!」
と却下された。
その後も、『自己管理がなってない』とか散々な言われようで、もう二度と頼むまいと心に誓った。
自分は微熱でも大騒ぎ
仕方なくお迎えに行き、フラフラしながら夕飯を作った。
夜になり、ようやく横になれると思って熱を測ってみたら38度超え。
明日には下がっていると良いなぁと思いながら眠りについた。
そのまま朝まで寝られれば良かったんだけど。
何とその晩、夫に起こされた。
横になって少ししてからのことだったので、多分深夜だと思う。
私を呼ぶ声が聞こえてきて、ふと目を開けると夫が自分の額に手を当てながら、
「俺駄目だわ。熱出てきた。悪いんだけど薬出してくれる?」
と言っていた。
『えっ、そんなの自分で出せばいいじゃん』
と思ったけれど、また不貞腐れそうだから仕方なく起きて薬箱を出してきた。
そうしたら、
「薬を飲むと胃が悪くなるかもしれないから胃薬も必要か」
などと言い出し、いつも飲んでいるのを出してあげたら今度は、
「氷枕ってあったかな」
と催促してきた。
この時、私は恐らくまだ38度超えていて、夫は微熱だった。
37度を少し超えた体温計を見せられながら、
「そっか。うつしちゃったかな。上がったら大変だから気を付けなくちゃね」
と心にもない事を言いつつ、内心は『早く寝かせてくれ』と思っていた。
全ての用事を済ませ、ようやく寝られると思いホッとしていた頃。
夫が子どもにすり寄って
「パパ風邪引いちゃった。(子ども)ちゃんにうつらないと良いな」
と言いながら顔をピトッとくっつけているのを発見。
ゾッとした。
うつらないと良いなと言いながら、うつそうとしているようにしか見えなくて。
しかも普段虐待しているくせに、気弱になった時だけ子どもを求めるという・・・。
夫はそういう人だったので、はっきり言って親身になって世話をしてもらったことはない。
そのくせ、自分は些細なことで重病みたいに振舞ってお世話を強要した。
高熱で横になっている時に、
「ったく!いつまで怠ければ気が済むんだよ」
と言われるのも嫌だった。
そんな時、子どもがそっと傍に寄ってきて小さな声で
「ママ、大丈夫?」
と気遣ってくれることが多かった。
本当は子どもにそういうのを背負わせてはいけないし、モラハラと闘うのだって巻き込んではいけない。
それは分かっているんだけど。
離れた今思うのは、『子どもと一緒に闘ったんだな』ということだ。
