入籍前から雲行きは怪しく・・・
数年前に知人が離婚した。我が家でも既に何年も前から話し合いを進めていたが、一向に進展しなくて焦っているという状況の中で。
まだ新婚だった知人があっさりと離婚した。
全くそんな噂も無かったし本人もいつも通りに過ごしていたのに・・・。
最初は聞き間違いかと思い、思わず聞き返してしまった。
それほど寝耳に水の話だったが、本人は色々悩んで吹っ切れたのだと言う。
実は違和感をおぼえたのは入籍する前からだったそうだ。
でもお腹に赤ちゃんも居るし。
一人よりも二人の方が心強いし。
何より相手はお腹の中の子の父親なのだ。
父親が居た方が良いに決まっている。
小さな命を授かったと分かってから、知人は割と早く結婚を決意した。
でも、肝心の男性の方が何やかやと理由を付けて先延ばし。
あまりにものらりくらりと決断しないので、知人は結婚するか別れるかを迫った。
それで渋々承諾したらしい。
その態度にはがっかりしただろうな。
渋々って何よ。
子どもに関して半分は男性側にも責任があるのに。
まるで結婚を強制されたかのように振舞うことに一抹の不安をおぼえたそうだ。
ただ、結婚するとなったらもう前に進まなければならない。
相手の態度が気になっても、これからすり合わせをしていけば良い。
そう考えて話を進めた。
産まれるまでにあまり時間も無かったので、とりあえず入籍だけは済ませて慌ただしく結婚生活をスタートさせた。
旦那さんと闘った知人
入籍したら旦那さんの方もさすがに腹を決めたに違いないと思ったのだが、実際はそうでは無かったらしい。
まだラブラブな時期のはずなのに日々不満を口にしていた。
しかも、生活費を入れてくれなかったり急に不機嫌になったり、暴言を吐いたりした。
それでも何とか耐えて結婚生活を続けようと奮闘した彼女。
しかし、相手の態度は次第にエスカレートしていった。
一緒にご飯を食べない。
常時不機嫌。
大きな物音を立てる。
聞こえるように嫌味を言う。
暴言や舌打ち。
ひたすら無視。
これでもかと言うくらいの態度を取られたそうだ。
最初は気丈に振舞っていても段々と疲れてくるものだ。
最後の方は自分からは話しかけず、悶々としながら過ごしたと言っていた。
その結果、余計に接する機会が減って家族という感覚が失われていった。
お互いの存在を無視しながらの生活は結構シンドイものだ。
期間限定でも精神をやられる。
彼女たちの場合にはそれが次第にエスカレートしていって、些細なやり取りも拒絶されるようになった。
ここまでいったらもうやり直すことは難しいと思う。
結局、2年も経たずに離婚することに。
ただ一つだけ救いなのは、親権争いがないことだ。
親権争いが絡んでくると更に泥沼になることが多い。
このケースでは、相手は離婚したら元の生活に戻るだけ。
「あとは判を押して出すだけだから早くしろよ」
と急かして終わらせようとしていた。
でも、彼女はそれを許さなかった。
子どもの親権を持つことに異論はない。
あんな人に任せられるわけがないから。
一緒に住んでいても子どもの世話をすることなど無かったし、可愛がることも無かった。
きっと元々愛情が無かったのだろうから、子どもと二人で新生活を始めることはもう心の中で決めていた。
ただ一つだけ、納得できない部分があった。
それは養育費だ。
相手は養育費の話し合いでも渋って渋って、
「何で俺が払わなきゃならないの」
とゴネ続けた。
二人での話し合いでは決着がつかず、とうとう調停へ。
調停でも独りよがりな理論を展開し、調停委員も呆れていたそうだ。
ただ、『こういうケースでは妥協できるラインを探らないと話はまとまらない』とも言われた。
何で相手の言い分を飲まなければならないのだろう。
そう思ったけど長引くのも困るし、早くこの件をスッキリさせたい。
色んな思いを抱えながら話し合いを続け、最終的には相場通りの金額で決まった。
この話を聞いた時、彼女のことを本当に強い人だなと思った。
もし自分だったらと考えたら、早々に諦めることになるだろうことは容易に想像できた。
金額が決定された時、不服に思った彼は
「結局は金かよ!」
と言い捨てた。
『そう言うと思ってた』と彼女は笑っていた。