夫の暴走を止められない義両親
同居の話が出始めてから数か月。のらりくらりと何とかかわしていた。
夫だけでも大変なのに、そこに義両親がプラスされるなんて冗談じゃない。
子どもは保育園時代から少しずつ教育虐待も受けていた。
たとえ義両親が一緒に居てもその攻撃は収まりそうになかった。
というよりも、義両親が微妙な説教をすると夫がヘソを曲げてしまい、かえって状況が悪化することが多かった。
我が家にやってきて、『そういうのは止めろ』とやや弱腰な注意をして帰っていくのだが・・・。
たとえ親でも、人から何か言われるのが大嫌いな夫。
点火された状態で子どもと二人きりになり、その後攻撃が激しくなるという悪循環だった。
それがあまりにも続いたので、子ども自身が
「もう、おじいちゃんもおばあちゃんも何も言わないで!」
と言った。
そう言われても、義両親からしてみたら孫を守っているつもりなのだ。
だから、
「大丈夫だよ。おじいちゃん達は(こども)ちゃんのことを守るためにちゃんとお父さんに言ってあげるから」
などと頓珍漢なことを言っていた。
上手く伝わらなくて子どももストレスになっていただろう。
事態が悪化すると言っているのに、正義感なのか何なのか一言モノ申さなければ気が済まないようだった。
言われた後、夫が更に爆発することも知っていたのに信じられない。
最悪なのは、荒れ狂っている夫をよそに、そそくさと帰り支度を始めることだった。
そんな状態だったら子どもと二人きりにしてはいけないと思うだろうに。
いつも言いたいことだけ言って二人は帰って行った。
ドアがパタンと閉まり、その後に訪れる恐怖。
状況を理解していても、予定通りの時間に帰ることの方が大事だったんだよね。
だから、私が不在で子どもが居る時には来て欲しくなかった。
「タイミング的には今だ」と言われても・・・
一緒に居たところで良いことなど一つもない。
それを義両親も薄々分かっているはずなのに。
『同居をしたら、いかに素晴らしい環境になるか』を力説した。
より具体的に想像してみても、私から見たら明るい未来など一つ見えない。
むしろ、夫が更に自分の言いたいことを言えるようになってカオスな状況になるのではと危惧した。
でも、何度伝えても『杞憂だ』と言うばかり。
多分、分かっていて言っていたのだろうと思う。
孫と一緒に暮らしたい。
そう考えるおじいちゃん、おばあちゃんは少なくないはず。
気持ちは分かるが、夫のような難しい人が傍に居ると日々をどうやって穏やかに過ごすかに注力しなければならない。
だから、同居にはずっと難色を示してきた。
お互いの主張がかみ合わず、数か月が経過した頃。
小学校への入学を翌年に控えた冬のはじめ。
義両親が我が家にやってきて、
「同居をするなら、今がタイミング的に良い」
というようなことを言い始めた。
断っても断っても通じなくて、あえてこちらの気持ちを無視しているとしか思えなかった。
『もう何を言っても無駄なんだ』と義両親に分かってもらうことは諦めて、無反応を貫くことにした。
夫が乗り気になり、厄介なことに
義両親からの申し出に、『待ってました!』とばかりに喜んだのは夫だった。
これまでも、『俺は賛成なのに、何でお前は反対してるの?』という感じだったのだが。
その時はハッキリと、
「反対する理由を言え」
と詰め寄られた。
私の答えを夫と義両親が待っている状況で、圧が物凄い。
狭い部屋で膝を突き合わせて真剣に話し合っていると言えば聞こえは良いが。
実質は一対三で詰められているだけだった。
反対する理由はたくさんあった。
1.義実家に私たち家族三人が暮らせるスペースはない
2.職場が遠くなる
3.家賃のかからない実家住まいになると、夫が更に働く気力を失う可能性が高い
4.子どもへの虐待が収まる可能性は低い、むしろ悪化する気もする
5.働いているのが私だけ、という環境も恐ろしい
結局、どちらに転んでも幸せな未来なんて見えてこない。
それなのに夫は、
「家賃のかからないうちの実家に引っ越すのを嫌がるなんて、どうかしてる」
と憤っていた。
私がもっとも懸念していたのは、子どもへの仕打ちに耐え切れなくなっても上手くごまかされて離婚できなくなってしまうのではないか、ということだった。
義両親は手放したくなくなるだろうし、夫も結託して阻止するだろう。
この時は特に義父が強く言ってきて、同居を強制的に進めようとしていた。
それなのに私がなかなか首を縦に振らないから、みんなヤキモキしているようだった。