診断がつきかけたのに急に通院を止めた
夫は自己愛性パーソナリティ障害だ。厳密に言うと、その疑いがある。
なぜ確定されていないのかというと、診断がつきかけた頃に急に通院を止めてしまったからだ。
多分、結果を受け止め切れなかったのだと思う。
自分を過大評価する人だったので認められないのも当然かもしれない。
でも、私から見れば当てはまることばかりで驚いた。
そういう人がいるんだ!と分かっただけでも収穫だ。
このことで、今までの言動も自分の中でストンと腑に落ちた。
理解してあげられないことに対して罪悪感を持たないで良いんだと思えるようにもなった。
できればあのまま診断を受けて欲しかったな。
そうすればもっとスッキリしたのに。
ただ、診断を受けてしまったら夫の精神状態への影響も大きかっただろうと思う。
義両親も納得しないに違いない。
それに、知ったところで解決策が見つからなくて幸せにはなれないのなら。
いっそのこと気づかない方が良いのかも、なんて考えたりもした。
診断を受けた後は自分たち次第というところが大きい。
その上、自覚があっても攻撃性が治まることは稀だという。
特効薬のようなものもないのに診断を受けることに何の意味があるのかとも思ってしまうが。
それも私の逃げなのかな、と思う。
対処法は一応存在していて、どのような対応をすれば良いのかというのがあることにはある。
ただ、それを知ったところで私たちの未来は変わらなかったと思う。
対等ではない夫婦関係
私たちの関係は対等では無かった。
いつも夫が上にいて、自分の優秀さを見せつけるような発言をした。
それなのに周りが評価してくれないという不満もセットになっていた。
時々妄想も入ってくる。
どこまでが本当かが分からなくて疲れるけど、自慢話を聞いているだけならまだマシだ。
一番嫌だったのは攻撃的になることだった。
日々私や子どものあげ足を取り、それを理由にいきなり激怒。
そこにはマイルールが存在している。
でもたくさんあるので、全てを避けるなんて不可能。
普通に生活していたら毎日その地雷を踏んでしまうので怒られない日は無かった。
大人でさえ避けられないんだから子どもは更に苦しむことになる。
夫は『二度目』を決して許さない。
既に一回目でもこの世の終わりのような怒り方をしてるんだけどね。
一度注意したにもかかわらず二回目があった日には、家の中がひっくり返るくらい怒った。
そして、『何月何日にどういう話をしたか』を質問して答えさせようとした。
そんなの私でさえ覚えていない。
それを子どもに要求することに強烈な違和感を感じずにはいられなかった。
しかも、曖昧な答えでは許されなくてほぼ完ぺきに答えることを求められた。
怒る理由にしても危険なこととか他人に迷惑をかけることならまだ分かる。
だが、大抵は取るに足らない些細なこと。
夫でなければ気にしないんだろうなと思うことばかりだった。
こんなちっちゃなことで怒ってばかりいるのはトラブル耐性が無いのかな?と思ったりもしたが。
そうではないらしい。
だって良いことが起きても怒っていたんだから。
私が転職した会社で評価され、昇進することになった時もそうだった。
我が家では滅多にない良いニュースだ。
といっても、平からその一つ上になっただけなんだけど。
嬉しくて(でも気を遣って声のトーンは普通めで)夫に伝えたら、途端に不機嫌になった。
分かりやすくため息をつき、私が話そうとするのを遮って大きな音を立てた。
しまいには、何もしていないのに、
「うるせーんだよ!」
と怒鳴って、せっかく作ったご飯を捨ててしまった。
これから晩御飯という時で、『いただきます』をしようというタイミング。
夫と居るようになってから謝る癖がついてしまっていたので、この時も咄嗟に謝った。
そうしたら夫が更に怒って、
「もうお前しゃべんな!」
と言って、お揃いの茶碗を投げた。
壁に当たり、パリンと音を立てて壊れた茶碗。
真っ二つになった様は、まるで私たち夫婦のように見えた。
共感してもらえない辛さ
夫婦といっても所詮は他人だ。
だからこそ、相手を理解しようと努力しなければならない。
夫にはそれが皆無だった。
これでは、いくら歩み寄ろうとしても心の距離は縮まらない。
付き合い始めから数えるとずい分長い間一緒に居たが、心の底から分かり合えたことがない。
幼いこどもとでさえ、そう思える瞬間があったのに。
一緒に暮らしていたら、ただ話を聞いてもらいたい時もある。
夫にはそれすらも求めることができなかった。
アドバイスなんか要らないから、ただ共感してもらえれば。
そう思って話したことでも、『お前が悪い』と頭ごなしに怒られた。
悩みを相談できないとかそういう次元の話ではない。
普通の会話でさえも通じ合えないのだ。
宇宙人のような夫との生活はいつも孤独だった。
調べたら『共感性に乏しい』というのも自己愛性パーソナリティ障害の特徴のようだった。
そんなことも知らず、話しかけるたびに傷ついていたあの頃。
要らない努力をしてしまったんだね。
夫は夫で私の求めていることが分からず鬱陶しかったに違いない。