2024年11月15日金曜日

夫が仕事を辞めた時のこと

キャリアアップのために転職した夫

夫が仕事を辞めたのは、30代半ば頃だった。

それまでに一度転職を経験しているのだが。

それは給与面に不満を持っての転職だった。

自分の能力を考えればもっと高いお給料をもらえるはず。

評価が低すぎるから正当な評価をしてくれる所に行こう。

そんな考えで転職した。

スキルを求められる仕事だったので、それ自体は珍しくない。

私の周りにも同じような人がたくさん居る。

スキル=待遇が顕著に表れる仕事でもあったので、夫の気持ちは理解できた。

あぁ、この人は上を目指しているんだな。

カメの歩みの私からすると、この行動力が眩しく見えた。

そして、30歳になった頃に無事に転職を成功させた。

この時までは、多少は気が強くて怒り出すと難しい面もあるけど普通の人だと思っていた。

私が上手く立ち回れば問題ない、と。

ちなみに私は20代で転職をしているのだが、それは家事・育児と仕事を両立するため。

夫が忙しいから家のことはどうしても私がメインになってしまう。

それなのに忙しい仕事をしていたら立ち行かなくなる。

そう考えて、時間の融通のつく仕事へと移った。

この時夫から出された条件があって、『毎日定時で帰れる正社員』という点をクリアしていなければならなかった。

元々負荷の低い内容で、しかも定時で帰れる正社員だなんて。

競争率が低いわけがない。

実際に活動を始めてからひしひしと実感したのだが。

物凄い倍率だった。

応募して書類審査に通っても面接で落とされることがほとんどだった。

職種を変えているから、それもマイナスに働いたと思う。

採用する側からすれば経験者の方が良いに決まっている。

なかなか決まらなくて悩んだりしたが、その時夫は『条件を落とすなよ』と圧をかけてきた。

多少は不満に感じていたけどその方が私にとってもプラスになるのだと思い、色々工夫しながら頑張った。

そうして勝ち取った仕事が今の職場だ。

紆余曲折はあったが何とか私も転職を成功させた。

あの頃、私たちの未来は順風満帆に見えた。


30代という働き盛りでの退職

せっかく転職を成功させた夫だったが。

入社して早々に新しい職場にも不満を募らせ始めた。

あの人が悪い、会社がおかしい。

そんな不満を口にするようになり、ストレスを抱えているんだろうなと感じることが増えた。

だけど私も日々のことで精いっぱいで、フォローする余裕が無かった。

仕事をして家のこともやってるんだから、そっちは自分で何とかしてよ。

冷たいようだがそういう気持ちがあったことも確かだ。

最初の数か月はそれでも上手くいっていた。

ため息をつきながらも仕事に行っていたし、休日は楽しんでいるように見えた。

でも、入社から1年が経過する頃に『具合が悪い』と言い始め、仕事を休みがちになった。

幼い子どもが居て、稼ぎ頭の夫が仕事に行けなくなるのは不安だ。

私のお給料では、とてもじゃないが家族を養うことなんてできない。

心の中は不安でいっぱいになった。

だけど、それを表に出すことはしなかった。

いつも通りに明るく接し、気持ちが浮上するように働きかけたつもりだ。

本当は頭の中ではぐるぐると明日への不満が渦巻いている状態で誰かに聞いて欲しいと思うこともあった。

この働きかけが功を奏したのか、しばらくすると元気になって仕事に行き始めた。

しかし、数か月するとまた体調を崩す。

そんな状態を繰り返し、2~3年が経過する頃には本格的な体調不良に陥った。

もう限界なのかもしれない。

この時は既に諦めの気持ちもあり、夫の『仕事を辞めたい』という申し出もスムーズに受け入れた。

生活に不安はあったけどね。

『もう仕方がないじゃないか』という気持ちと『一度しっかりと休めば良くなってまた仕事はできる』という気持ちと。

だって夫はまだ30代前半だったから。

少しくらい人生の休憩をしたって取り戻せると思い込んだ。

まだ本性をつかみ切れていなくて、少し年上の夫に絶対的な信頼を置いていたというのもあるかもしれない。

この人のやることだから間違いはない。

そういう気持ちで夫の決断を尊重した。


数年後も再就職の気配なし

仕事を辞めてからの夫は、朝遅く起きてきて好きな時に食事をし、日中は音楽を聴いたり映画を観たりしていた。

起きる時間が遅いためか寝る時間もどんどん遅くなり、夜型生活になった。

そうなると私たちと生活のリズムが合わない。

夫の都合もあるので合わせて欲しいとは言わないが。

異なる生活リズムで暮らしている私たちに不満を爆発させるのは止めて欲しかった。

例えば、朝起きて子どもの支度をしつつ自分の出社の用意をしていると、まだ眠い夫が『うるせー!』とキレた。

だってしょうがないじゃない。

家が狭いんだもの。

気づかれないように準備をするなんて不可能だ。

夜は夜で私たちが寝ようとする頃に夫が非常にアクティブだったのでうるさかった。

でも私たちは黙って横になった。

子どもは両手で耳を塞ぎ、『羊がいっぴき、羊がにひき』と数えていた。

声を発してると余計に眠れないと思うんだけど(笑)

二人とも我慢しながら暮らしていたわけだが、夫はそれを当たり前だと思っている節があった。

『俺は体調が悪くて辛いんだからお前らが合わせるのが当たり前』という感じだった。

そんな考えだから職場でも上手くいかないんだと思う。

まあ、そんなことはおくびにも出さずに自分にできることを淡々とこなした。

いつか終わりが来るから大丈夫。

それまでの辛抱だと思って何とか乗り切ろう。

そう自分に言い聞かせた。

夫が再就職する日を想像しながらがんばったのだが、その日はやって来なかった。

1年経っても2年経っても状況は変わらず。

いつしか子どもは小学生になり、働かない父親がデフォルトの環境になってしまった。

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