年末の攻防はもはや恒例?!
年末が近づいてくると我が家ではいつも帰省問題が勃発した。そのことをどちらからともなく意識し始めて、いつにも増して空気が殺伐としてくる。
『今年は絶対に帰りたい』と計画を立てる私に対し、何が何でも阻止しようとする夫。
自分の実家に帰るのなら夫も反対はしない。
むしろ気も遣わずに好き勝手できるので、義実家に行くのは大賛成という感じだった。
だけど、うちの実家に帰省する話になると途端にだんまりを決め込んだ。
そして、『体調が悪い』という風に匂わせてきた。
他のことは自分のやりたいようにやっていたので夫のNGが出たらそれで終わり。
でも、うちの実家に対しては少しは遠慮があるのか表立って反対することは少なかった。
その代わりに、まるで察しろと言わんばかりに都合が悪いアピールをしてきた。
夫の手の内は大体分かっている。
遠回しにでも色んな理由を付けて行かせないようにしたいのだ。
最初は夫だけ留守番するのは可哀そうだから義実家に帰れば良いと思ったが。
それは本人が嫌なのだと言う。
それなら一緒に帰省するしかないと誘っても、何やかやと理由をつけて行けないことを匂わせてきた。
もう面倒くさくて、どうしたいのかと聞いてみたら、
「家族なんだから年末年始くらい一緒に過ごすべきだ」
と言われた。
年末年始どころか、1年中365日一緒に居る。
息抜きもできないくらいに常に一緒なのに。
年末年始を一緒に過ごさなければ家族ではないと思っていた夫は頑なだった。
もう家に残って三人で過ごすという選択肢しかないのか。
そう受け止めたが、家で過ごすことにこだわりは無いようだった。
三人で義実家に行くのは賛成するので、結局自分の我を通したいだけ。
たまにしか会えないんだから、年末ぐらいは帰りたいよ。
それは夫も分かっているくせに、そういう時に限って自分の両親に感謝しているような素振りを見せて
「うちの親にはいつも世話になってるから、こういう時に恩返ししなきゃ」
と私にも強制した。
確かに夫の面倒をよく見てくれている。
でも、最低でも週に1回は会ってるんだよ?
年末くらい会えなくても問題は無いんじゃないの?と腹が立った。
仮病を使ったり不機嫌になったり・・・
夫が阻止する時の手段には色んなものがあった。
その代表的なものが仮病だ。
体調を崩してからずっと仕事をしていなかったので、確かに私たちの中で夫は体の弱い人というイメージがあった。
でもよくよく考えてみるとそんなことはない。
むしろ、好き勝手に暮らし始めてからは生き生きとしていて、趣味のことなどには全力を注いでいた。
買い物も大好きで、どこからお金が出ていたのかは分からないがよくネットショッピングもしていた。
そんなにお金を使っているのなら光熱費くらい目くじらを立てなくても良いと思うのだが。
暖房は相変わらず使わせてはもらえず、お風呂もシャワーを強制された。
こういう書き方をしてしまうと夫が光熱費を出してくれていたのだと誤解されるかもしれないが。
生活費全般を出していたのは私だ。
夫は無職になってから自分の保険だけを払っていた。
その保険の受取人は義父(笑)。
そりゃー私に払ってくれとは言えないだろう。
結婚する時に
「受取人をお前に変更しなくちゃな」
なんて言っていたのだが、それが実行されることはなかった。
・・・話が逸れてしまったが、とにかく仮病には散々騙された。
帰省を阻止しようとする時に使えると思ったのか、繰り返しこの方法でこちらの出方をうかがった。
夫はかなりの演技派だ。
だから、本当に具合が悪いように見えてしまう。
それで可哀そうになって『今年はうちで過ごそうか』となるとみるみる元気になる。
思い通りになったからと言って私たちに優しくすることはない。
事あるごとにに不機嫌になって当たり散らし、そのたびに自分の選択を後悔した。
私や子どもが体調を崩すと嬉しそう・・・
攻防の末、めでたく帰省することになった年。
タイミング悪く私や子どもが風邪を引いてしまい、予定をキャンセルしなければならないことがあった。
悔しいけど、こればかりは仕方がない。
納得しようと思ってもなかなか気持ちを切り替えることができず悶々としていた時、夫が嬉々として普段はやらない家のことをやっていた。
よほど嬉しかったんだね。
あれだけ虐げてるのに年末年始を一緒に過ごしたいなんて。
驚きと共に、この人の思考回路はどうなっているんだろうと困惑した。
子どもだって電車に乗ってお出かけするのをかなり前から楽しみにしていた。
それが駄目になってしまい、しょんぼりとして途端に元気が無くなった。
それでも夫はお構いなし。
子どもの思いよりも自分の気持ちを優先するところが実に夫らしい。
1~2日が経過して少し回復したら、夫はすっかり何もやらない人に戻っていた。
多分、帰省が無くなった喜びから動いてくれていただけなんだと思う。
反動なのかその後はいつにもまして私たちへの暴言が酷くなった。
実家でお正月を過ごしていた頃。
母がよく、『一年の計は元旦にあり』と言っていた。
毎回言うものだからみんな『まーた言ってる』という感じだったのだが。
夫と過ごすようになってから、こういう何気ないシーンを思い出すことが増えた。
みんなでお節を囲んで、お酒大好きな父が上機嫌で日本酒を飲む姿。
酔っぱらった姉は饒舌になり些細なことで大笑いする。
それをニコニコしながら見つめている姉の旦那さん。
幸せな記憶がどんどん蘇ってきた。
それに比べて夫と過ごす時間には何の希望も無い。
また一年この人と過ごすことになるんだろうか。
いつまで一緒に居れば良いんだろうか。
そんな気持ちばかりがわき上がってきて、年の初めから悲観的になった。