2024年11月6日水曜日

暖房もダメ、炬燵も買ってはいけない

光熱費を気にする夫

夫は光熱費をとても気にしていた。

光熱費が上がったらその分どこかを削らなければならないから、と。

そりゃー私だって気になる。

気になるけど、寒い中縮こまって修行のような生活を送るのも違うんじゃないかと思っていた。

子どもなんて小さくてしかも細かったので、いつもブルブルしていた。

確かにエアコンの温風は高いけど、炬燵なら良いんじゃない?

そう思って夫に提案したことがある。

炬燵はエコだと実家の母も言っていたので、

「炬燵を買いたいんだけど」

と提案したら、険しい顔で、

「だらしなくなるからダメ」

と即却下された。

だらしなくなるのは、たぶん夫だ。

平日子どもは保育園に行ってるし、私だって仕事。

日ごろ家に居るのは夫だけなのだから、そういう心配をするのなら真っ先に自分を考えてみたらいい。

本当はそう言いたかたけど、やはりこの時も言えなかった。

その代わり、一度の提案で諦めることなく何度も何度もチャレンジした。

そのたびに却下され、この人はなぜここまで炬燵を嫌うのだろうかと不思議に思った。

後から分かったことだが、自分の実家に炬燵が無かったことが理由らしい。

うちの実家にはあった。

夫の中では自分の実家は尊敬すべき存在だけど、うちの実家は違う。

つまり、夫の実家と同じようにするのが正解ということらしい。

実に馬鹿らしい理論だが、夫の中ではこれが正解だったようだ。

こんな馬鹿々々しい理由で寒さに耐えなければならなかったなんて。

今考えてもため息が出てしまう。


「寒い」というのは禁止

人って反射的に『寒い』とか『暑い』とか言ってしまうことがある。

深く考えて発しているわけではなく、そういう気候の時に自然に出てしまうというか。

我が家ではそういうのも禁止されていた。

肌寒くなってきて朝起きた時にヒヤッとした時でも、『寒いね~』ということは許されなかった。

そんなルールになかなか慣れなくて、ついつい出てしまいそうになることがあった。

その瞬間、鋭い視線が突き刺さる。

危ない、危ない。

最後まで言ってしまったら暴言が飛んでくるところだった。

大人ならこうやって危機回避できる。

でも、子どもは当然だができなかった。

「しゃむいね(寒いね)」

と言いながら起きてきたわが子に向かって夫はいきなり怒鳴りつけていた。

「そういう風に言うから余計に寒いんだろうが!」

その瞬間、子どもの中でこの言葉は【言ってはいけない言葉】にカテゴリーされた。

そうは言っても幼児だから忘れてしまい、何度も同じ失敗を繰り返す。

私が間に入ってごまかそうとする時もあったけど、夫は絶対に見逃さなかった。

人の失敗はなじるタイプの人だからね。

ただ『寒い』と発言しただけなのに物凄く悪いことをしたかのように扱われ・・・。

子どもは段々と委縮していった。

普通は怒られないようなことでも怒られてしまう。

それは子どもにとってとても厳しい環境で、もしかしたら家に居る時が一番気を張っていたかもしれない。

安心できるはずの家がもっとも気を抜けない場所だった。

顔色をうかがい続けた私たちは、いつしか自分たちの考えを失った。

夫の機嫌が良くなる答えが正解で、悪くなる答えが不正解。

自分自身の気持ちなんて関係なかった。


義両親が買ってくれたヒートテック

あまりに寒そうにしていたからか、義両親がヒートテックを買ってきてくれた。

これで少し寒さが和らぐ。

嬉しくてすぐに着た。

こういうのって本当に有難いね。

子どもも大喜びで着ていたのだが、夫は何故か怒った。

「勝手にこんなもん買ってきやがって!」

などと暴言まで吐く始末。

元々義両親に対しても酷い言葉を放つ人だったのでそこは通常運転。

だが、有難がるべきところで怒るなんて人としてどうかしてると思った。

夫がなぜ怒ったのか、明確な答えは今も分からない。

これは想像だが、義両親に気を遣わせるのが嫌だったのではないかと考えている。

色々と気を回して差し入れを持ってくることがあったが、その時も怒っていたことがある。

でも毎回ではない。

『ありがとう』と言って受け取ることもある。

同じことをしているのに喜ぶ時とそうでない時とがあった。

夫は義両親が我が家のためにお金を使うことを嫌がったので、それも理由の一つかもしれない。

義両親の大事なお金が私たちに使われるのが納得できなかったのだろう。

そうは言ってもせっかく買ってもらったのだから。

私は冷たい視線を受けつつも着続けた。

直接暴言を吐かれなければ、寒さを我慢するよりマシだった。

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