自らの発言で窮地に追い込まれた
ゲーミング女子との関係は、概ね順調だった。お義父さんやお義母さんが一生懸命邪魔しようとしていたが全く動じず。
相手もそんな様子には気づいていないようだった。
どんどん親密になる二人。
『会いたいね』という雰囲気だったのに・・・。
夫が自爆した。
もう間もなく直接顔を合わせることになるのではないか、というタイミングで。
二人の関係が進展することに期待していた私は心底ガッカリした。
きっかけは子どもの話題だ。
本当にアホな話だと思う。
会話することに慣れ過ぎて素が出てしまったのかもしれない。
それで、『子どもが~』という言葉が出てしまった。
『うちの子が~』と言わなかっただけまだマシなのかも。
でも、『子どもが~』と言ったら、大抵は自分の子だ。
それを、夫は必死で取り繕って兄弟の子どもだということに仕立て上げた。
相手もきっと怪しんだに違いない。
でも、夫があまりにも必死になって弁解するものだから信じるしか無かったのだろう。
結局、お義兄さんに子どもが居る設定になった。
本当に信じたかどうかは分からないが、それ以来夫は慎重になった。
会話もそれまで以上に気を使い、ボロが出ないようにしていた。
その甲斐あってか、二人のやり取りは続いた。
それにしても、こんなにもひた隠しにされる子どもの気持ちはどうなのよ、と思ってしまった。
そんなことをするくらいなら本当に縁を切ってくれても構わないのに。
子どもとのつながりは持っていたいというダブルスタンダード。
良いとこ取りをしようとする夫らしいと言えばそうだが、何ともモヤモヤが残った。
その後、何度も確認されていた夫
一段落したと思っていたが。
その後も夫は何度もゲーミング女子から
「本当は既婚者なんじゃないの?」
と確認されていた。
当たり前だ。
どう考えても怪し過ぎる。
そのたびに、
「そんなわけないじゃん!」
と強く否定し、子どもの存在を打ち消していた。
こんな人が親権を要求するんだから、本当にため息しか出ない。
一連のことを会社の親しい人に話したら、
「あなたにそんな話をしてくるの?馬鹿にしてるよ!」
と物凄く憤っていた。
まるで私よりも当事者みたいに。
「もっと怒って良いんだよ?!」
とも言われたが、正直なところ怒りなんてこれっぽっちも湧かなかった。
だって、もう夫のことが好きではなかったのだから。
恋愛に浮かれている夫のことをどこか冷めた目で見ていて、自分たちに意識が向かないのは好都合だとさえ考えていた。
だから、できるだけ長く続いて欲しかった。
できればそのまま結婚して欲しかった。
そうすれば私は自動的に離婚という自由を手に入れられる。
当時はそればかり考えていて、心に余裕が無くて。
離婚という一大ミッションの前では、それ以外は些細なことのように思えた。
そんなこんなで期待しつつ、まるで自分事のように一喜一憂していたわけだが。
夫はそれを知らない。
もし知ったとしても、また都合の良い脳内変換によって、
「そんなに気にするなんて。よほど俺のことが好きなんだな」
と勘違いするだけだろうけど。
気づかれないのを良いことに、こっそりと全力で二人を応援していた。