突然の知らせ
夫の母方のおばあちゃんが亡くなった。遠方に住んでいて、大人になってからはほとんど会うことは無かった。
それでも、やはり堪えたようで。
いつもは絶対にしないのに珍しくお義兄さんに連絡したり、過去のエピソードを話してくれた。
寂しそうに、
「もう一度会いたかった」
と言った。
ショックを受けているのは傍目から見ても明らかだった。
あの頃、夫は私生活や体調面に問題を抱えていたから。
そこに折り重なるようにおばあちゃんの死という現実が重くのしかかり、状況が更に悪化するのではないかと思った。
お通夜や告別式の日程も早々に決まり、
「一緒に行こうか」
とお義母さんから声を掛けられた夫。
仕事も自由に休めそうな環境だったし、行くのかな?と思っていたら断った。
本当は行きたかったのかもしれない。
幼い頃、毎年帰省して夏休みを過ごした場所だもの。
そこには色んな思い出がある。
でも、飛行機に乗っていくことが難しいと判断したようだ。
他の移動手段もあるにはあるけど、お通夜や告別式に間に合わない。
それに、飛行機以外では更に時間がかかり現実的ではない。
結局行けないと思ったようで、それを伝えるとお義兄さんが
「俺が行くよ」
と言ってくれた。
あの兄弟が助け合うことって本当に珍しい。
それがこんな時だなんて、という思いは正直ある。
でも、最後はやっぱり家族なんだなぁとしみじみ感じた。
義両親もお義兄さんも居ない間
夫のおばあちゃんの葬儀に出席するため、義両親とお義兄さんは飛行機で旅立った。
その間夫は一人。
独身時代に少しだけ一人暮らしをしていたが、それ以来だ。
こういう時に人は色々考えるのだと思う。
夫の場合は自分の身の振り方を顧みる良い機会になったようだった。
しばらく大人しかった。
いつものようにやりたい放題していたら、おばあちゃんに叱られちゃうもんね。
49日はこちらの世界に留まるという。
だから、夫なりにそんなことも意識していたのかも。
無理難題を言ってくることも無く、平和な時間が続いたある日。
急に、
「俺、離婚するわ」
と言った。
待ちに待った言葉だった。
私は嬉し過ぎて、言葉が出ないほどだった。
この瞬間をどれほど待ち望んだことか。
にわかには信じられないような気持ちだったが、その後にもう一度同じことを言われたので夢ではないのだと実感した。
義両親は葬儀の後に色々やることがあり、帰ってくるのは2週間後。
帰ってきたら自分で伝えると言うので、私はそれを待つことにした。
おばあちゃんが夫の背中を押してくれたのかな。
決心させてくれたのかな。
そんなことを思いながら、やっと良い方向に動きそうなことに安堵した。