退職後は悠々自適な生活のはずが・・・
長く勤めた会社を退職したお義父さん。大手だったし退職金も入ったから、その後は悠々自適な生活を送れるはずだった。
でも、息子二人が働いたり働かなかったりして。
予定通りにはいかなくなった。
特にお義兄さん関連では家の売却後もローンが残り、かなりの負担を強いられた。
しかも、退職金が入るのに合わせて義実家のリフォームまでしてしまった。
それもちょっとしたものだったら問題無かったんだけど。
義両親が選んだのは大々的なリフォーム。
大金が飛んで行った。
少し世間知らずな所のある二人。
営業さんの言いなりで、気づいたら1階から2階までほぼすべての箇所をいじるような内容になっていた。
決まってから二人はお互いに責任を擦り付け合っていた。
お義父さんは、
「お前が勝手にどんどん決めちゃうから」
と言い、お義母さんは、
「ああいう時に限ってお父さん何も言わないんだから」
と文句を言った。
どっちもどっちだと思うけど、確かに普段からは考えられないくらいお義父さんは意見しなかった。
だから渋々お義母さんが前面に出て話し合いをしたのに。
後出しじゃんけんのように文句を言うのは違うんじゃないかと思った。
こんな話をすると、お義父さんて案外気が弱い?と思われるかもしれないが、そうではない。
買い物に行った時が良い例だ。
目に付いた商品を手に取り、粗探しをして、
「ちょっとまけてよ」
と言うことも少なくない。
一度言って断られたら引き下がれば良いのに、諦めずに何度も値引きを打診する。
ああいうのを見てると本当にメンタルが強いなぁと思う。
しかも、交渉の仕方もしつこくて強引だ。
相手が断っても『何とかならないの?!』って詰め寄るんだから。
私が店員さんだったら圧に押されて何も言えなくなっていただろう。
普段のそんな姿を知っているから、お義母さんに丸投げのような形になっていると知った時には驚いた。
あの退職金が残っていれば・・・と後悔しても後の祭りだ。
老後資金も使い果たし、仕事探しを始めたお義父さん
大手の社員だったお義父さん。
退職後も少し勤めていたが、金銭的に余裕があったようで1年くらいで辞めた。
辞めた後はのんびり。
孫を見に来たり、買い物に出かけたり。
旅行にも何度か行っていた。
お土産を手に我が家にやってきて、子どもの喜びそうなお菓子も持ってきてくれた。
だけど、その後色んな問題が出てきて、あっという間に貯金や退職金を使い果たした。
全部すっからかんという訳ではないと思うが、ほとんど残っていないだろう。
当てにしていた老後資金も使い果たし、将来への不安を感じ始めたお義父さん。
『このままでは大変だ』と職探しを始めた。
定年後だからあまり多くは無いが、それでも60代可って結構ある。
多分、選り好みしなければすぐにでも決まったのだと思う。
でも大手勤めだったプライドもあるのか納得のいく職場がなかなか見つからなかった。
その間、息子が再び無職になったり、もう一人も相変わらずの体調だったりで。
「何でこの年でこんな苦労をしなくちゃならないんだ」
とよくぼやいていた。
お義兄さんなんか、
「俺はもう仕事できる気がしない。ずっとこんな感じで行く」
なんて弱気になっていて、気力も無いようだった。
そうすると、もう皆の面倒をまとめて見られるのはお義父さんだけになる。
結局、最後は自宅に近い職場を見つけて働きに出ていた。
条件を妥協してでも働き始めなければならなかった、という状況がもう・・・。
そんな中で夫があっさりと長いブランクの後でも雇ってくれた会社を辞めた時、何を思ったかな。
心の中は嵐が吹き荒れていたかもしれない。
でも、表面上は全くそんな素振りも見せず、淡々と対応していた。