再就職したお義父さんの収入だけが頼り
義両親にとっては想定外だったに違いない。もうずい分前に手を離れたと思っていた子どもたちの面倒を見るなんて。
30を超えてから色んなことがあり、無視できない状況になった。
収入だって兄弟のどちらも安定しないから稼ぐしか無かった。
65歳を過ぎたら年金があるんじゃないの?と思ったが、どうやら足りなかったようだ。
それに、老後の資金も貯め直す必要があった。
普通なら文句の一つも言いたくなるような状況だ。
でも、お義父さんはそのことについて一切文句も言わず働き始めた。
現役の頃のように朝出勤して夕方に帰る生活。
帰りは多少早いと言っても、若い頃より疲れていたと思う。
そうやって頑張って何とか立て直そうとしていたのに、息子二人はのらりくらりと過ごしていた。
父親が何とかしてくれるから大丈夫とでも思っていたのだろうか。
エリートだったはずのお義兄さんまでなかなか職に就けず。
夫は夫で再就職できても文句ばかり。
やっと就職できたと思ったら、あっという間に辞めた。
そうなるともう、お義父さんの収入だけが頼りだった。
それとお義母さんの年金かな。
それを合算して家計を回していた。
大変な素振りも見せなかったのは素直に凄いと思う。
息子たちの再就職を急かすことも無く、何なら仕事の話もしなかった。
あれだけ親がしっかりしていると逆に子どもがダメになるのかも。
とにかく二人は親に頼り切りで、いつまで経っても子どもだった。
私も働き手として期待されていた
あんな状態だから、私も実際には働き手として期待されていた節がある。
そりゃー私だって夫があんな人でなかったら協力したかった。
大学卒業後、産休と数か月の育休以外はずっと働いてきたんだから。
働くこと自体にも抵抗が無かった。
だけど、夫とは離婚の話し合いの真っ最中で別居もしていて、もう私にできることは無かった。
せめて子どもに会える環境なら良かったのに、それも無理そうだった。
お義父さんからすれば、頑張って働いて家族を養っても、そこに喜びや楽しみが無かった。
ただ『今月も無事に過ごせた』とホッとするだけ。
それが可哀そうで、夫が改心してくれることを願ったが叶わなかった。
兄弟の仲だってお世辞にも良いとは言えず、お義父さんが体調不良の時でも気遣う様子もない。
口では『大丈夫?』とか言うんだけど、それだけなのだ。
そんな殺伐とした環境を夫が報告してくることが多かったのだが、私は内心呆れていた。
いつもお義兄さんのことを言うけれど、自分だって同じだ。
むしろ機嫌が悪い時の夫の方が態度が酷いかもしれない。
それを、あの兄弟はお互いに『アイツが悪い』と言い合ってるんだから話にならない。
お義母さんはと言うと、お義父さんを支えようと必死だった。
働いているということは、家に居る人もそれに合わせて生活するということだ。
職場に迷惑をかけないように体調にも気を配り、早寝になった。
はっきり言って老後の生活とは程遠いのだから、『大丈夫かな』と気遣うのが普通だろう。
だが、夫やお義兄さんは、
「うちの親、年齢の割に丈夫だから」
と自慢していた・・・。
その様子はまるで『丈夫だから働くのも苦にならない』とでも言いたげで。
義両親の気持ちを考えると心が重くなった。