会社からの要求
退職願を出した後、夫は会社からいくつかのことを要求された。一つは、現在抱えている案件に関し、責任を持って最後までやり遂げること。
もう一つは、引継ぎをしっかりやること。
どちらも当たり前と言えば当たり前の話だ。
引継ぎに関しては、
「引き受ける人が決まるまで少し待って欲しい」
と言われ、待ちの状態になった。
夫は『案件を終了させてから辞めて』と言われたことに腹を立てていて、
「どれくらいの期間があれば終わりそうなの?」
と聞いてみたら、
「2か月くらいかな。まだまだかかるよ」
と言っていた。
その時は体調だって悪くなかったし、やる気になればできる環境だった。
それなのに、たった2か月を渋るなんてどういうこと?と思い、
「2か月くらいの仕事なら引き継ぐよりも終わらせた方が効率良いね」
と言ったら、
「こっちの2か月は凄く大変なんだよ!お前みたいな楽な仕事じゃないからな!」
と逆切れされた。
大変だろうが何だろうが、この場合は責任を持ってやるべきだと思う。
会社への要求はするくせに、何か求められても得にならなければやらないんだから。
別居という大きな経験を経ても何も変わってないんだなぁと落胆した。
大幅な譲歩を引き出した後も不満を持ち続ける夫
元々ほぼテレワークだった。
朝、始業直前に起きれば業務に間に合う。
終業時間になり、PCの電源を切ったらすぐにプライベート時間だ。
毎日出勤している私からすると非常に恵まれているように見えた。
それでも、始業から終業までの拘束時間が長いという不満を漏らしていて、
「1日5時間くらいなら楽なんだけどな」
なんて言っていた。
会社側は夫から丁寧に聞き取りを行い、出来うる限りの譲歩をしてくれた。
例えば業務の時間が長すぎるという不満に対しては、就業時間は問わないと言った。
つまり、自分の好きなタイミングで仕事をして良いということだ。
乗っている時にはたくさんやれば良いし、今日はイマイチだなと思ったら働かない日があっても良い。
成果物さえきちんと出してくれるのならOKという条件が提示された。
それなら夫も快諾するだろうと思っていたのだが、
「1か月前ルールに則って退職を伝えたのに。なぜ希望通りにしてくれないのか」
とゴネた。
その会社に入る時には、
「残業も全然やります!」
なんて言っていたのに詐欺だよね。
後から聞いたのだが、仕事に対してというより待遇に不満があったらしい。
給与とかポジションとか。
そういうのに非常に拘るタイプなのだ。
色んな譲歩をしているのに文句ばかり言うものだから。
会社は困って、どうしたものかと頭を抱えた。
社内に余っている人はおらず、引継ぎをする相手の確保も難しい状況で。
夫は自分が割り振られた仕事さえも途中で投げ出そうとしていた。
困っている会社の人たちを見ても何も感じないのか終始他人事。
人への共感性が乏しいという所も夫の特徴だが、その様子を見ているとまるで宇宙人みたいだなと感じた。