2025年5月21日水曜日

分与するような財産はない、と言い切る夫

隠し通そうとするのは想定内

夫は深い深いため息をついた。

財産分与に言及したことを明らかに怒っていた。

「お前さぁ、それって俺に対する嫌味だよ?」

と不満げに言い、

「分け与えるような財産なんてあるわけないでしょ」

と言い切った。

「数年前までは仕事してたじゃない。生活費だって折半だったし」

と言ってみても、

「毎月結構使ってたから残ってないよ」

と、この話題を切ろうとした。

調査する方法がある、というのを伝えることもできる。

ただ、奥の手をこんなに早々に出しても良いものか迷った。

調査のことを追及された時、弁護士さんの話は絶対にできないから。

『お前ごときが調べることなんてできるの?』という感じになると思う。

それに、水面下であっても弁護士さんに相談していることを悟られてはいけなかった。

変に警戒されてしまうとやりにくくなってしまう。

夫がこれまで通り自信いっぱいで私のことをバカにしてくれた方がやりやすいと感じていた。

「そんなことを言うなら、まずはお前の方の情報を出せよ」

と言われ、危うくこちらの情報だけを出させられそうになった時には、

「同時じゃないとだめでしょ」

と断った。

いつもと違い、私がこの件に対してあまりにも食い下がるものだから不審に思ったのかもしれない。

夫が疑うような目つきで、

「お前、何なの?結局金?」

と言い始めた。

この時の心境は、本当に綱渡りをしているような感じだった。

やり過ぎてもリスクがあるし、追及が足りなければ夫のペースを崩せない。

その匙加減が難しくて、反応を見ながら対応を考えた。

最終的には、

「分かったよ。次回通帳類を持ってくるから」

と言ってくれたのだが、本当に長く感じた。

まあ、夫のことだからきっと見せても良い物だけを持ってくるんだろうな。

それも織り込み済みだ。

その出方を見て、いざとなったら調査することを伝えるつもりだった。


「お前がお金に困ってるのは自業自得」

財産分与についてしつこく追及したからか。

夫はちょっと呆れたように、

「お金に困ってるの?自業自得だよね」

と言った。

私はこの言葉を受け止めることができなかった。

どのあたりが自業自得になるのだろうか。

モラハラや虐待に耐えかねて家を出たが、家賃などの生活費を払っているので自由になるお金が無い。

それのどのあたりが?

夫とは本当に分かり合えないと思うことが多くて、いつも孤独だった。

家の中のことをまわすのも子育ても。

全部一人でやっていると感じていた。

むしろ邪魔ばかりされて、暴言や暴力にさらされていた。

助けて欲しいとは言わないが、せめて傷つけないで欲しかった。

最低限の思いやりも持てないのなら、家族でいる意味なんて無いのに。

この時、引っ越しはどちらでも良いと言われた。

今の部屋を引き払って新しいところを借りても良いし。

そのまま住み続けても良い、と。

だけど、夫が居座り続けたらそれもままならない。

そこでふと将来のことを考えた時、夫に子どもを奪われたままだったら・・・と想像してゾッとしてしまった。

もしそんなことになったらお先真っ暗だ。

子どもだって鬱屈した環境の中で本来の優しさや穏やかな気持ちを失うだろう。

私にとって子どもは希望だった。

文字通り『命』であり、ただただ幸せにしてあげたかった。

義両親からの振込を確認

毎月、家賃の半分を振り込んでもらうことに 月々の家賃の半分を義両親が月初に振り込んでくれることになった。 本当に有難くて、冗談じゃなく涙が出た。 初めて振込を確認した時のことは忘れない。 『こんなことをしてもらちゃって良いのだろうか』という罪悪感ももちろんあった。 でも、それ以上...