久々に夫との対峙
3回目の話し合いは、夫と夫の友人、私の3人で行われた。前回と違って待ち合わせ場所はすぐに分かったんだけど。
とにかく周りが煩かった。
こんな場所で本当に話し合えるのだろうか、と最初から不安になった。
席に着くなり鋭い目つきで睨みつけてきた夫が、
「何か言うことは無いの?」
といきなり言ってきた。
最初の一言がこれだったので、もうビビっちゃって心臓がキューっとなった。
これは謝れということなのだと思い、
「ずっと連絡できず、すいません」
と謝ったのだが、
「そういう話じゃないでしょ!」
とまだ怒りが収まらない様子で。
このままではマズいな・・・と焦った。
でも焦れば焦るほど思考が停止してしまい、身動きが取れずにいた。
いつもは賑やかな夫の友人も、肝心なところで役立たずだった。
その間、夫は大きなため息を繰り返しながら圧を掛けてきて、開始早々険悪な空気に包まれた。
私が何のことだか分からなくて答えられずにいると、
「あのさぁ、子どもを勝手に連れて出ていくなんて、はっきり言って犯罪だよ」
と夫がイライラした口調で言った。
「今日だって連れて来ねーし。自分のやってること分かってないの?!」
と責められて、思わず謝ってしまった。
だけど、よく考えたら謝る必要なんてなかった。
だって私の判断は間違っていないんだから。
夫が虐待していたことは、ここにも何度も書いてきた。
本人だけがそれを認めていない状況で、義両親だって本当は気にしていたと思う。
離婚という大事な決断をするための話し合いなので、私も言いたいことを言わなければと思い、
「あなたは子どもに虐待していたでしょ。置いていけるわけないよ」
と言った。
隣で聞いていた夫の友人(以下N)がここで急に参戦してきて、
「ちょっと待って。虐待って何?」
と聞いてきたので、それまでのことをかいつまんで説明した。
話の途中で夫が、
「あんなの虐待じゃねーよ。都合の良い話ばっかりするな!」
と怒鳴ったのだが。
この声が結構大きかった。
あんなに賑やかなお店でなければ、きっと悪目立ちしていたに違いない。
だけど、周りもワイワイガヤガヤと話していたので、気づいたのは近くのテーブルのお客さんだけだった。
こういう時、意外とNは周りを気にするタイプなのかもしれない。
「もう少し落ち着けって」
と夫を宥めてくれた。
一言注意されただけでいくらかトーンダウンした夫。
私が同じことを言ったら激高するくせに。
こんな些細なことからも自分の立ち位置が分かってしまい、ちょっと悲しくなった。
どこからが虐待なのかという不毛な言い争い
その後の数十分ははっきり言って不毛な時間だった。
Nが詳細を聞きたがったので少し細かく説明したのだが、それを聞いていた夫が
「しつけと虐待の区別もつかないなんて。母親失格だな」
と言い放った。
子どもが言うことを聞かないから叩いたのはしつけだ。
お説教しているうちにヒートアップすることもあったが、それも愛情からだった。
蹴ったと言うけれど、自分には覚えがない。
ケガをするような叩き方はしていない。
この他にも色んなことを言っていたが、途中から頭に入って来なくなった。
だって、あれが虐待じゃないと本気で思っていたなんて・・・。
蹴ったことも覚えていなければ、ケガもさせていないという認識だった。
「ケガをさせたこともあったでしょ?」
と反論したら、
「いつの話?」
と具体的な日付を言うように迫られて言葉に詰まってしまった。
そんなの覚えてないよ。
いつ頃というざっくりとした記憶ならあるけど。
「日付までは覚えてないけど」
と言ったら今度は
「病院に行った訳でもないし。あなたはかすり傷でもケガと呼ぶんですか?」
と嫌味ったらしく言われた。
衝撃だった。
病院にかからなければケガじゃないと思ってるんだ。
アザになったり赤く腫れたこともあったのに。
私はこの瞬間、物凄いモンスターと対峙しているのだと自覚した。