夫が財産分与を要求
やはりお金の話になった。そうなるかな?とは思っていたが。
その内容が、ちょっと耳を疑うようなものだった。
夫は私の預貯金の詳細を求めてきて、そのうち結婚後の部分について
「財産分与の対象になる」
と言った。
その程度の知識なら私にもあった。
でも、夫の方の預貯金を全く知らされていなかったから。
この部分はお互いに目をつぶって話題に上らないのかなと思った。
それなのに私の方だけ分けろと言うなんて。
そんなのフェアじゃない!と思って、
「あなたの分も詳細を出してください」
と伝えてみたが、
「結婚後に貯めたものは無い」
と言われてしまった。
そんなはずはない。
最初の数年は共働きで、結構なお給料をもらっていたのだから。
生活費は折半だったし、散財していた様子もない。
収入に合わせて負担比率を変える、というようなこともしなかった。
本当にほぼ折半。
だから、相当貯まっているはずなのに・・・。
このままでは不利な状況になってしまうと思い、
「ここ数年はずっと私のお給料だけでやってきたから貯金なんて雀の涙だよ」
と伝えた。
大変な思いをしながらも少しずつ貯めたお金。
大きな額ではないけれど、私たちにとっては本当に大事だった。
そのお金まで取り上げられたら引っ越しや新生活の準備もままならなくなる。
この提案を到底受け入れることはできなくて、私も必死で抵抗した。
そんな様子を見て、卑屈な笑みを浮かべる夫。
その顔を見たらゾッとして背筋が寒くなった。
結局、そのままどちらも譲らず次の話題へと移った。
夫に都合の良い条件ばかり
『引っ越し先は必ず教えて欲しい』と言われた。
万が一連絡を取らなければならなくなった時に困るから、という理由で。
『弁護士はつけずに直接話し合おう』とも言われた。
これにはすぐに同意した。
夫の方は良い弁護士をつけられるだろう。
でも、私の方は資金的に十分な準備ができないかもしれない。
今住んでいる家を出るのは夫のタイミングに委ねることや、慰謝料を支払うことも求められた。
ん?慰謝料??
この時、話し合った内容を正確に記録するためにせっせとメモを取っていた。
言われるがまま書き綴っていて、最初『慰謝料ってどんな字だっけ』なんて考えていた。
その直後にえっ?!と気づき、メモを取る手を止めた。
この人は一体何を言っているのだろうか。
それが正直な感想だった。
何で私が慰謝料を払わなければならないの?
この時の私の表情にはそんな思いがにじみ出ていたのかもしれない。
不満気な様子を感じとった夫は
「精神的に傷つけられたから当然だ」
と正当化してきた。
この人はいつも自分だけが傷ついてると思っているのだ。
私たちだってずっと傷つけられてきたのに。
夫の挙げる条件は他にもあった。
離婚したら再婚は絶対にしない、とか。
普通こんな条件つけるの?ということばかりが並んだ。
どれもこれも意地悪をしているようにしか思えない内容で・・・。
きっと私に幸せになって欲しくないんだろうなと感じた。
それまでも十分に傷つけあってきた私たち。
最後くらい優しい気持ちでお別れしたかった。
だけど、夫にはそんなつもりはないようだった。
離婚することにはなったけど、全部が全部、辛かったわけじゃない。
探せば楽しい思い出もあったはずなのに。
それさえも奪っていくつもりなのだろうと思った。