2025年5月16日金曜日

夫から【子どもを遠くから見ること】を許された日

やっと子どもに会える!

ある時、夫から連絡が来た。

「俺はお前と違って寛大だから、子どもに会わせてやる」

と言い、日時を指定してきた。

こっそり見に行ってもその姿を確認できず。

前回の話し合いにも連れて来てはもらえなかった。

それが急に会わせてくれるなんて。

一体何を企んでいるのだろうか、と少し不安になった。

夫のような人が相手のことを想って何かをすることはない。

だから裏があるんだろうと思った。

でも、私はその提案に飛びついた。

会いたくて会いたくて夢にまで見た再会なのだから。

断る理由は無かった。

会った瞬間、子どもはどんな顔をするだろうか。

それを想像しただけで胸が躍った。

こういう時、ちょっと気に入らないことがあって夫が臍を曲げてしまうと無かったことにされてしまう。

だから慎重に慎重に会話して怒らせないように気を付けた。

電話を切った後も、ずっと子どものことを考えていた。

持って行くプレゼントや一緒に行く所を考えたりもした。

離れていたのはほんの少しの間だから。

大丈夫、きっと元に戻れる。

そう思いながらその日を心待ちにしていた。


すぐ傍に居るのに・・・

7月某日。

その日が本当に待ち遠しくて、当日はかなり早く着いてしまった。

あまり早すぎると迷惑かな?と思い、そのまま待った。

待っている間、道行く人を見るのも楽しかった。

多分、その日は私の心がウキウキしていたからだろう。

皆が幸せそうに見えて、それを見ている私も穏やかな気持ちになった。

5分前になり、用意したプレゼントを握りしめながら電話をかけた。

だけどなかなか繋がらなくて。

何度か掛けたら、やっと夫が出た。

「約束した場所に着いてるよ」

と伝えると、

「じゃあ今から(子ども)とうちの親が通るから。あっ、遠くから見るだけにしてね」

と言われ、すぐに状況が飲み込めなかった。

すると夫が強い口調で、

「絶対に近寄ったり声を掛けたりするなよ!」

と言った。

その直後、少し離れた場所を子どもと義両親が歩いて行った。

ああ、そうか。

そういうことか。

私はてっきり会えるものだと思っていたのに。

遠くから見せてくれるだけだったんだ。

お義母さんと手をつないでどこかに向かう子どもがすぐそこに居た。

それなのに話すこともできなかった。

せめて手を振って私のことに気づいてもらいたかったけど、夫から

「絶対に見つからないようにしろよ!」

と言われてしまい、ただじっと見つめるしか無かった。

時間にしたら恐らく1分足らずのことだった。

夫はどこかでその様子を見ていたのだろうか。

苦しむ私を見てあざ笑っていたのだろうか。

顔を見ることができたのは嬉しかったけど、やっぱり話したかった。

力いっぱい抱きしめたかった。

期待してしまった分その落差が大きくて、しばらく動くことができなかった。

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毎月、家賃の半分を振り込んでもらうことに 月々の家賃の半分を義両親が月初に振り込んでくれることになった。 本当に有難くて、冗談じゃなく涙が出た。 初めて振込を確認した時のことは忘れない。 『こんなことをしてもらちゃって良いのだろうか』という罪悪感ももちろんあった。 でも、それ以上...