2025年5月2日金曜日

土下座しそうな勢いの義両親に困惑

『良い報告を持って帰りたい』という義両親

夫と義両親、私の4人で話し合うことになっていたのに。

待ち合わせ場所で待っていたのは義両親だけだった。

夫が居ないのなら話し合いもできないと、私は早々に帰ることにした。

10分くらい世間話をして、

「間もなく暑くなるので体に気を付けてくださいね」

なんて言いながら立ち上がろうとしたのだが、急にお義母さんから

「ちょっと待って!」

と引き留められた。

いきなり大きめの声で止められたので、驚いて振り返った。

そうしたら、お義母さんは自分の口からは言いにくいのか、

「ねえ、お父さん」

とお義父さんに何かを言わせようとしていた。

話をふられたお義父さんが

「私たちも今日ここまで来て何も良い報告を持たずに帰れないんだよ」

と言った。

この言葉でピンときてしまった。

恐らく夫から頼まれたのだろう。

少しでも良い報告を持ってきて、と。

だけど、肝心の夫が居ないのだから話し合いなんてできるはずがない。

こういうのは当事者同士が腹を割って話すものだと思っていた。

それを代理で済ませるということ?

困惑しながら黙って二人を見つめていたら、

「今回だけは許してやってくれないか」

と頭を下げてきた。

「いやいや・・・、そんなことされても困ります」

と慌てて止めてもらおうとしたのだが、

「本当に申し訳ない」

「次が無いように私たちも見張るつもりだから」

などと言って姿勢を戻そうとはしなかった。

私が『分かりました』と言うまでそうしているつもりだったのだと思う。

だけど、そんなバカな話を了承できるはずもなく。

「無理です」

と言い続けた。

そんなやり取りが数分ほど続いた後、突然お義父さんが

「こんなにお願いしてもダメなのか」

とやや強い口調に変わり、お義母さんはそれをサポートするかのように、

「本当にお願いします。あの子も反省してるみたいだから」

と言った。

私は心底呆れてしまった。

あの人の反省なんて口だけだと分かっている。

義両親だって、あの人を三十数年も見てきたんだから分かっているはずなのに。

なぜそれを信じろと言うのだろうか。

このままでは自分の意思とは無関係に了承させられてしまうという危機感を抱き、無理やりにでも帰ってしまおうと思った。


涙をぬぐうお義母さんを放って帰れなくて

せっかく立っているのだから、そのまま入口に向かって歩くだけだ。

私は再び頭を下げた義両親に、

「今日は失礼します」

と声を掛けて、歩き出した。

本当は走って逃げたかったけど、飲食店内だったから周りに注意しながら歩いた。

そこでふと気づいた。

周りのお客さんがチラチラと私たちを見ていることを。

気づかないうちに、皆がただ事ではない雰囲気を察知して注目していたのだ。

私は気が小さいので周りの目はとても気になる。

でも、その時はそんなこと構って居られなかった。

とにかくお店の外に出なければと歩いていたら、後ろからお義父さんが追いかけてきた。

もう少しでドアだったのに・・・。

肩を掴まれて仕方なく振り返った私の目に飛び込んできたのは、ハンカチで目元を押さえるお義母さんの姿だった。

その様子を好奇の目で見る周りの席の人たち。

お義母さんが泣いている姿を見たら胸がチクリと痛んだ。

私だって悲しませたいわけじゃない。

戸惑って足を止めた私を、お義父さんが『戻ろう』と促した。

きっと、それでも帰れば良かったのだ。

でも、お義母さんに声を掛けなければ、と思ってしまった。

再び席に戻り、二人と向かい合う形で座った頃には入店から30分以上が経過していた。

義両親からの振込を確認

毎月、家賃の半分を振り込んでもらうことに 月々の家賃の半分を義両親が月初に振り込んでくれることになった。 本当に有難くて、冗談じゃなく涙が出た。 初めて振込を確認した時のことは忘れない。 『こんなことをしてもらちゃって良いのだろうか』という罪悪感ももちろんあった。 でも、それ以上...