被害者意識の強い夫
身バレが怖くて色々とボカしているが夫は専門職だ。本気で仕事をすれば、それなりに稼げる。
だけど働いていない期間が長かったし、これからもあまり働く気はなさそうだった。
だから、
「お前の経済力では子どもを任せられない」
と言われた時には反論した。
「これからもずっと働き続けて一生懸命養っていくつもりだよ」
そう伝えたら夫の顔色がみるみる変わり、声を荒げながら
「お前がどんなに一生懸命働いたって俺と同じレベルで稼げねーだろ!」
と言ってきた。
確かに同じレベルというのは不可能かもしれない。
でも、夫の無職期間を考えたらトータルではそれほど変わらないのではないかと思った。
ただ、そんなことを言えば更に怒らせるだけなので黙っていた。
その時、私は『そー言えば夫のお給料の額を知らないな』なんて考えていた。
結婚してからも財布を任されたことはない。
明細を見せてもらったこともない。
本人の口からざっくりとでも額を教えてもらったこともない。
だから『たくさんもらっている』と言われてもピンと来なかった。
私たちの場合、こういう普通の会話でも怒らせてしまうことがある。
夫の被害者意識が驚くほど強いからだ。
話し合いの中で貶めるようなことは一切言っていないのだが、私の『働き続ける』という言葉に反応し、
「それは俺への嫌味なのか!」
と怒っていた。
暗に無職であることを非難されていると感じたようだ。
そのつもりがなくても、こうやって勝手に『傷ついた!』と騒ぐことが多くて非常に気を使った。
これじゃあ意見を言うことも躊躇ってしまう。
一緒に暮らしていた頃は毎日が夫の機嫌との闘いだったので多少の慣れがあった。
でも、離れてそういった煩わしさから解放されている間に察知する勘のようなものが薄れてしまったようだ。
夫から見せつけられた給与明細
その日、何と夫は給与明細を持参していた。
もちろん私が求めたものではない。
見せつけるために持ってきたのだろう。
あるいは、私との差を分からせるために用意したのか。
どちらにしても、『俺の方が有利だ』というのを示したいんだなと思った。
『見ろ!』と言わんばかりにテーブルの上に無造作に置かれた夫の明細。
思わず二度見してしまった。
上の段の総支給額に目がいったのだが、その額は私の倍以上だった。
あんなにブランクがあり、久々の就職だったのに。
私なんて産休+育休の1か月くらいしか休んでいない。
もう少し自宅で子どもを見たかったけど、夫から
「復帰が遅くなると働くのが嫌になるぞ」
と釘を刺されて、早々に復帰した。
もう既に辞めてしまったとは言え、やっぱり夫の方が稼ぐのだということが明確になった。
思わず、
「凄い・・・」
とポツリと呟いたら、自慢げに
「その前は、もっと貰ってたよ」
と言い、
「これを見たら自分がどれほど無謀なことを言っているのか分かるだろ」
と呆れているようだった。
夫と話していると酷く落ち込むことがある。
『何もできない無能な人間が自分の要望ばかり語るなよ』と言われているようで、途端に自信を失くした。
