親権が欲しい夫
恐らくだが、夫は自分が再々就職するまではあまり連絡を取らないようにしていたのだと思う。実際、必要に迫られた時にしか連絡は来なかった。
でも、再々就職をしてからは頻繁に来るようになった。
それもどうでも良い内容で・・・。
対応するのも大変だから無職の方が楽で良かったのに、と思ってしまった。
でも、それは私のエゴだとすぐに思い直した。
義実家も割と大変な状況だったから。
あの状況では夫が働かないという選択肢は無かった。
もし仮に私たちが家を出ておらず一緒に暮らしていればそれも可能だったろうけど。
既に家を出た後だったので、それを言うのは酷だろうと思った。
夫は夫で離婚交渉の際に働いていることが必須だと考えたようだ。
一度は合意した親権の問題で相変わらずゴタゴタしていた私たち。
夫の狙いが子どもであることは明白だった。
諦めきれない夫が条件を整えるために再々就職を急いだのだろうと推測。
これは義両親の意向でもある。
「孫まで取り上げられたら自分たちには何も残らない」
と直接訴えられたこともあった。
気の毒に思ったが、その原因を作ったのは他ならぬ自分たちの息子なのだ。
そこを無視して要求だけ突き付けてくるのはおかしいと思い、何か言われてもスルーし続けた。
結局、自力で状況を打開するしかないことを理解した夫は、渋々再々就職を決めた。
本当は働きたくなかったんだろうな~。
前回の再就職では思い通りにならず、自己評価と周りからの評価に差があることを痛感した。
だがそれも『周りが悪い。見る目が無い』と決めつけ、現実を見ようとはしなかった。
結局は安心できる環境(仲間内)に戻ってしまい、何の成長も無く・・・。
肯定的な意見しか言わない仲間内は、そりゃー居心地が良いだろう。
でも、そんな環境の中だけで生きられるわけではない。
私だって日々色んなものと闘っているし、嫌な思いをすることもある。
それも含めて人生だと思っている。
子どもとの交流を持とうとする夫を阻止したい
頻繁に連絡をしてくるようになったと思ったら、やはり要求は子どものことだった。
親権が欲しいと直接言ってきたのではない。
なんと、私抜きで連れ出そうとしていたのだ。
これには驚き、何としてでも阻止しなければと思った。
以前の連れ去りのこともあるから、私は思わず身構えた。
夫も本当はこっそり進めたかったのだろうけど、無理だったから私経由で話を進めようとしてきた。
「(子ども)ちゃんに会いたいな。日時と場所を決めて連れて来てもらえるかな」
そう言われた時には三人で会いたいのだと勘違いした。
でも違っていて、子どもを渡したら私は帰っても良いとハッキリ言われた。
二人きりになんてできるわけがない。
それを伝えたところでまた『父親の権利が~』とか言ってくるんだろうなと思ったら案の定だった。
子どもはパパが嫌いだ。
『顔も見たくない』という言葉では生ぬるいくらいに。
声を聞いただけで気持ちが落ち込み、吐き気を催すことも。
離れてもなお心の傷は癒えず、体が震えるほどの拒絶反応を示した。
虐待という残酷な経験により恐怖を植え付けられてしまったのだろう。
もう取り返しがつかないくらいに関係は悪化しているのに夫は諦めなかった。
「試してもみないうちに最初から無理だと言うのは卑怯だ」
とか
「いつまで過去を持ち出すつもりだ」
などと言われ、
「とにかく一度、(子ども)に聞いてみてくれ」
とお願いされた。
その際も、私が変に曲げて伝えるかもしれないからと(信用無いんだな・・・)、電話をつないだまま聞くように指示された。
パパの話は極力しないようにしてきたのに・・・。
困った私は一人で遊んでいる子どもの姿を見ながらどうすべきかを考えていた。
