2025年11月7日金曜日

「お前、会社の人に嫌われてるよ」と夫が忠告してくる怪

転職後間もなく言われ始めた言葉

必死の転職活動を経て、ようやく手に入れた仕事だった。

内定をもらうまで何十社受けたか分からない。

履歴書と職務経歴書だけなら腐るほど書いた。

それでもなかなか通過できなくて面接にも呼ばれない日々。

一体いつになったら仕事が決まるのかと絶望したこともある。

そんな中、『是非うちに来てください』と言ってくれたのが今の会社だった。

本当に嬉しくて有難くて、一生懸命恩返ししなければと思った。

そういう思いもあり、少々気負いながら働き始めたのだが・・・。

勤務し始めて早々、夫から嫌なことを言われた。

それは、

「お前、会社の人に嫌われてるよ」

というものだった。

言っておくが、夫は私の会社の人と会ったこともなければ、どういう人たちが働いているのかも知らない。

それなのに、急にこんなことを言い出した。

言われた方はポカーンとして、それからゾッとした。

あの当時はどっぷりと洗脳状態だったので、『夫はそんなことまで分かっちゃうの?!怖っ!』と思ったのだ。

冷静に考えたらそんなはずが無い。

今なら分かるのだが。

洗脳というのは恐ろしいもので夫の言うことは絶対だった。

そこに微塵も疑いが無かったと言えばウソになる。

ただ、疑った後、そんな風に考えてしまう自分をさもしいと思った。

夫は私のことを思って言ってくれているのにって。

それからも事あるごとに言われ続け、どんどん自信がなくなった。

いつしか仕事にも支障をきたすようになり・・・。

ある時、職場の上司から、

「少しお話しましょうか」

と声を掛けられた。


謝ってばかりだったあの頃

上司は怒っている訳では無かった。

会議室に入る前、私は酷く緊張していたのだが、ドアの前で深呼吸していたら誰かに肩を叩かれた。

振り返ると、そこには教育係の先輩が立っていた。

そして、

「何か困ってることがあるんじゃないかって心配してたよ」

と教えてくれた。

そうか。

私、心配されてたのか。

その時初めて『周りの人たちが皆私をダメだと思って怒っているわけではない』という当たり前のことに気づけた。

会議室に入ると上司が柔和な表情で座っていて、向かいの席に座るように促してきた。

「お仕事は大分慣れましたか?何か困っていることはありますか?」

と聞かれた時の安堵は今でも覚えている。

先輩の言うことは本当だったんだ。

ホッとするのと同時に、心配をかけてしまって申し訳ないなという気持ちもあった。

でも、仕事では特に辛いとか困っていることは無かったのでそれを正直に伝えた。

それよりも、迷惑を掛けているんじゃないかと言うことの方が気になっていたので聞いてみた。

そうしたら、上司は

「迷惑なんて誰もかけられてないよ。それに万が一上の人たちに助けてもらうことがあったとしても、それは成長する上で必要なことだから。後ろめたく思わなくて良いんだよ」

と言ってくれた。

その時、上司が神様に見えた(笑)

ただ、こんなに優しくしてもらって良いのだろうかという戸惑いも覚えた。

実はこの件は私にとって非常に大きなことで、夫の発言を疑うきっかけにもなった。

だけど、まだまだ『夫の言うことが一番正しい』という状態で、その気づきに確信もなくて。

そのまましばらくは夫の言いなりだった。

「お前、会社の人に嫌われてるよ」と夫が忠告してくる怪

転職後間もなく言われ始めた言葉 必死の転職活動を経て、ようやく手に入れた仕事だった。 内定をもらうまで何十社受けたか分からない。 履歴書と職務経歴書だけなら腐るほど書いた。 それでもなかなか通過できなくて面接にも呼ばれない日々。 一体いつになったら仕事が決まるのかと絶望したことも...