2025年11月15日土曜日

十件以上も届いた日程調整のメッセージ

夫は父親としての権利を主張

驚いたことに、いつの間にかまた夫の中でストーリーが変わっていた。

別居を容認してくれた物分かりの良い夫というスタンスに変わり、自分勝手な妻が父親から子どもを引き離したことになっていた。

こうやって、知らない間にどんどんストーリーが変わっていくのが怖い。

本当は戻って来て欲しいけど妻が納得しないので、せめて面会くらいはさせて欲しい。

そうメッセージを送ってきた夫の中では、もうそれが真実になっていた。

よく分からないのが、本当にそれを信じ切っているように見える所だ。

自分に都合の良いストーリーを作って周りに吹聴していたら、それが本当のことのように思えてしまったのか。

あるいは、偽りの内容だと分かった上で周りを騙そうとしているのか。

それが分からなくて、余計に恐ろしさを感じた。

多分、あれを見たら誰でも信じてしまうと思う。

それくらい夫の文章には何故か説得力があった。

仮に私が部外者で、あの文章を見せられたら『奥さん酷いね』となるだろう。

実際、夫の周りの人たちは彼の言うことを信じていた。

夫は『こちらにも我慢の限界があります』などと送ってきて、面会の日程調整をするように促してきた。

これが数件程度なら思い余って連続で送ってしまったのかなと思えなくも無いが。

短時間の間に十件以上のメッセージが届いた。

一度も返信していないのに夫からの一方的なメッセージが連続で並んでいく様は、ハッキリ言ってホラーだ。

私にとっては何よりも怖く、ストレスで食欲も無くなった。

そもそも、父親の権利などと主張しているけれど、それ自体がお門違い。

これまで何か父親らしいことをしてくれたことはあっただろうか。

むしろ他人の方が優しく感じられるくらいに酷いことばかりしたくせに、自分を良い父親だと思っていることに愕然とした。


「子どもはお前に洗脳された」と主張する夫

子どもが夫の元に戻りたがらないのは、私が洗脳したからなんだそうだ。

この主張にも驚いてしまって、私はしばらく携帯の画面を眺めていた。

だけど、呆然と読み返しているうちに、また新たなメッセージが入るから。

ふと我に返って慌てて画面を閉じた。

夫からのメッセージを読んでしまったことは既にバレている状態。

その状況で無視し続けたら更に怒ることは確実だった。

でも、私から出せる返事は『面会は無理』という一言だけ。

それで夫が納得するはずもなく、迷いに迷って結局返事が出来なかった。

窮地に追い込まれた時には、いつも『夫が私たちに関する記憶を全て失ってくれたら良いのに』と思う。

そうしたら今度こそ本当に自由になれるのに、って。

そう思ってしまうほど夫の執着は凄まじくて、その呪縛から逃れたいと強く願った。

無視と言うもっとも避けなければならない戦法でスルーし続けた私。

気にしないようにしていても、ずっと頭の中にはその事があり、気持ちが晴れなかった。

このままで済むはずがない。

そう思っても他に手が無く身動きが取れない。

そうこうしているうちに一週間が経過した。

『もしかして、このまま何事も無く終わるのかな?』と期待したが、そんな時、夫から新たなメッセージが届いた。

学校に出向いて子どもと直接話す、という内容だった。

その時の恐怖は言葉にできないほどで、携帯を持つ手が震えた。

しかもメッセージだけでは終わらず、その後何度も電話が掛かってきた。

必死で逃げても、どこまでも追ってくる夫。

この頃になるともう良い思い出の記憶もなく、逃れるのに必死だった。

十件以上も届いた日程調整のメッセージ

夫は父親としての権利を主張 驚いたことに、いつの間にかまた夫の中でストーリーが変わっていた。 別居を容認してくれた物分かりの良い夫というスタンスに変わり、自分勝手な妻が父親から子どもを引き離したことになっていた。 こうやって、知らない間にどんどんストーリーが変わっていくのが怖い。...