お義兄さん達の結婚祝いのお食事会でもひと悶着
お義兄さんの奥さんはお義兄さんよりも5つ年下だった。私の姉と同い年で、ちょっとパリピ臭のする人。
会話をすればどんどん話題が出てくるし、基本的に陽気。
だから、それなりに楽しかった。
こちらが話題を提供しなくても会話が続くというのも楽だった。
初めて会ったのは、二人の結婚が決まった時。
義両親も交えてみんなで食事をすることになった。
場所の手配は当然お義兄さんたちでしてくれるのだろうと思っていたのだが。
何故か『自分たちは忙しいから』という理由で義両親に丸投げしてきた。
だけど義両親もそういうのが苦手。
『どうしたら良いのかしら。どこにすれば良い?』と夫に相談し、巡り巡ってとうとう私のところにまで話が来た。
夫が私に伝える時には依頼ではなく命令だ。
拒否することなど許されないから渋々引き受けることになった。
みんなの好みを考慮しつつ日程の調整を行い、金額的にも許容範囲のお店を探して予約。
平日の日中はなかなか時間が作れなかったので依頼を受けた週の土曜日に手配した。
その時点で夫からは
「動きが遅くない?」
と文句を言われていて、義両親からも
「食事会の件、どうなってるの?」
と何度かせっつかれていた。
だから、手配が済んだ後すぐに夫と義両親に報告。
報告を受けた義両親はその日のうちに我が家にやってきて、
「なかなかいいお店だね」
とご満悦だった。
お義兄さんとは直接やり取りしたことが無かったので、そこは夫に伝えてもらうように依頼して完了。
やっとこの役目から解放されたかに見えた。
その日の夜、夫の携帯が鳴った。
お義兄さんからだった。
最初はお店の手配に対し、お礼を言われているようだった。
だが、段々と表情が険しくなった。
相槌を打ちながらチラチラとこちらを見てくる夫。
私は何だか嫌な予感がした。
電話を切った後、夫は
「予約したお店なんだけどさ・・・。兄貴たちが別の所が良いんだって」
とバツが悪そうに言った。
さすがの夫も全て丸投げしたくせに文句だけ言ってくるなんて非常識だと思ったのだろう。
私も内心は腹が立っていたのだが、表情を変えずに
「分かった。別の所探すね。今度はお義兄さん達に事前に確認しよう」
とだけ答えた。
その後は淡々と与えられた役割をこなした。
最初は『少しでも良いところを探して喜んでもらいたい』と思っていたのだけれど・・・。
どうでも良くなった。
次の週の土曜日に予約を入れ、食事会はその2週間後になった。
お義兄さんの奥さんと初対面
食事会の日、お義兄さんの奥さんと初めて会った。
噂に聞いていた通り、明るい人だった。
鈍くさい私と比べ、ハキハキしていて動きも早い。
初対面だと言うのに、まるで以前から知っていたかのように話しかけてくれた。
お義兄さんも良い人を見つけたのね。
他人事ながら喜んでいたら、お義姉さんが私の隣に来て
「(お義兄さん)はモラハラだよ」
と突然言ってきた。
えっ?と思って彼女の顔をまじまじと見ていたら、
「いつも酷いことばっかり言うの。まだ結婚する前だけど自信ない」
と続けた。
それなら婚姻届けを出す前にもう一度考えた方が良いんじゃないの?
まだ間に合うんだから。
と思ったのだけれど、その後の発言でズッコケた。
「でも結婚はするよ。だってもう家を買っちゃったんだから」
『モラハラだ』と言いながらも幸せそうなのには、そういう理由があったということだ。
真新しい新居に移り住むことを心待ちにしている様子で、とても嬉しそうだった。
食事会も終わりに近づいてきた頃。
お義兄さんから家の件で報告があった。
突然『皆さんに報告があります』なんて改まって言うものだから、一同シーンと静まり返った。
この時、お義母さんは赤ちゃんができたと思っていたようだ(笑)
全身から喜びがにじみ出ていて、『あらっ、何かしら』と言いながらソワソワしていた。
だが、家を買ったという話を聞いた瞬間にドーンと落ち込んでいて、その落差が凄かった。
その後は負のオーラを纏っていて話しかけることもできなかったのだが、帰り際に
「(子ども)ちゃんの従兄弟ができると思ったのにね」
とポツリと言っていた。
お義兄さん達はというと、食事会が終わった後に何やら言い争いをしていた。
原因は些細なことだったみたいだが、二人とも気が強いので収拾がつかなくなっていた。
それで珍しく夫が間に入って話を聞くことに。
そこでもお義兄さんがモラハラだという話が出て、義両親の表情が曇った。
だけど、お義兄さんが言うには『(お義姉さん)の言うこともおかしい』と。
こんな船出で大丈夫なのかと周りは困惑した。