家を出るためのお金を用意
先立つものがなければ、せっかく決心しても動くことができない。そう考えた私は、まず手持ちの資金を増やすことにした。
といっても収支を考えたらそれほど大きな額は用意できない。
きっと目標額に達するまでには長い時間がかかるだろう。
それならば、一日でも早く準備し始めなければと思った。
引っ越し代+初期費用を賄えるくらいは貯めたいと思い、コツコツと貯金を始めた。
ただし、これまでに持っていた通帳だと足がつく。
最悪、見つかったら全て没収なんてことにもなりかねない。
それで、仕事中に社用の銀行の用事を済ませるついでに一つ口座を作った。
通帳に関しては保管場所にも気を付けた。
家に置いておいたらすぐに見つかってしまうだろうから別の場所が必要だ。
でも我が家以外に行く場所なんて無かった。
実家に行けるのは年に1回程度だったので預けるのは現実的ではない。
結局、会社が一番都合が良いと考えて、保管場所に選んだ。
毎日、帰る時にデスクに鍵をかけるのも忘れなかった。
この鍵は私しか持っていない。
全部で二つあるのだが、一つはデスクの中に保管してある。
隠し場所として会社を選んだことは、結果的に大正解だった。
安全というのもあるんだけど、何より『いつバレるか』というストレスから解放された。
お金の準備をするのと同時に必要だったのがモラハラ虐待の証拠。
協議離婚が理想だけど、夫が納得してくれるかが分からないから証拠は絶対に持っておきたかった。
万が一調停になっても証拠さえあれば有利に進められるはず。
ただ、証拠の確保はとても難しくて、のちに私は大きな失敗を犯すことになる。
義両親への根回しは必要?
家庭内が上手く行っていないことを義両親に匂わせた方が良いのだろうか?
しばらくこの件について悶々と考えていた。
訪問した時の様子を見れば、我が家がどんな状態なのかは一目瞭然だ。
本当は義両親だって気づいているに違いない。
それでも気づかないフリをしているのには訳があるのだと思った。
だけど、何もなくいきなり『離婚したいんです』と言ったら、『何で急にそんなことを言い出すの?』と責められる気もする。
そう言わせないために敢えて匂わせるべきか。
そもそもの問題として、匂わせる程度で気づいている証拠になるのかも分からなかった。
その場になったらいくらでも逃げようがある。
義両親はどんなに私たちが虐められていても離婚には反対だった。
だから、最終的には夫の肩を持ち、味方をしてくれることはないだろうということも分かっていた。
もう一つ問題があった。
義両親に伝えた場合、夫に余計なことを言わないかも心配だった。
耳にした夫が怒りを爆発させたら、離婚の日まで無事に過ごすことが難しくなる。
あっちに転んでもダメ、こっちに転んでもダメで、義両親の問題は後回しにした。
弁護士への依頼を検討
相手はあの夫だ。
私一人では太刀打ちできない。
頭の回転が恐ろしく速く弁が立つ、サイコパスな夫と対峙するなんて。
気の弱い私にはできなかった。
頑張ったところで言いくるめられるのがオチだ。
それならば、最初から弁論のプロである弁護士に依頼した方が良いと思った。
思ったんだけど・・・。
調べれば調べるほど高いのよね。
弁護士にお金を払ったら新生活に充てる費用が無くなってしまう。
どちらかを削るとしたら弁護士代しかない。
だけど、夫とやり合う勇気もないんだから。
詰んでる・・・。
この弁護士問題は離婚の決着がつくまでずっとついて回った。
もしこれから離婚する予定で、相手が同じような人だとしたら。
間違いなく弁護士に依頼することを勧める。
もちろんお金が無いとそれも叶わないが、正直言って雲泥の差だ。
話の通じない相手と協議をするのって神経もすり減るし。
相手が逆上した時に対応できない。
その点、弁護士さんは事務的に淡々と進めてくれるので安心だ。