何か理由が欲しかった
夫の具合が悪くなったり仕事を辞めてしまった時。最初はただ単に疲れているだけだと思っていた。
少し経てば大丈夫。
また元通りの生活に戻れる。
そんな風に軽く考えていた。
今思えばずい分楽観的だったと思う。
だけど私の予想に反し、状況が変わらないまま時間だけが過ぎていった。
そして、とうとう無職期間が1年を超えた。
その間、自分の稼ぎだけで生活するのが心細くて仕方が無かったな。
これまでずっと働いてきたし、仕事をすること自体は良いのだけれど。
どう考えても収入が足りない。
だから、副業もしないといけないかな、と覚悟した。
とりあえずすぐにできる事として節約に努めることに。
ただ、節約といっても元々贅沢をしていたわけではない。
余分な出費などはほとんどなかったので、切り詰められるところも少なかった。
頑張って頑張って節約してもギリギリの生活。
段々と焦りは苦悩へと変わっていった。
こういう苦しい時に家族で助け合いながら頑張ることができたのなら、まだ少しは違っていたと思う。
だけど、うちはそういうのが出来なかった。
夫は何を考えているのかが分からなくて、ちょっとしたことですぐにキレるし。
相談してもまるで他人事だった。
もうこのままでは家族が崩壊してしまう。
そう思ってできることはやろうと決めた。
夫はと言うと『お前が頑張れば良いんじゃない?』というスタンスで話にならない。
ちょっとモラハラっぽいところがあるとは思ってたけど、ここまで酷いとは・・・。
こんなに頑張っているのに共感してもらえないなんて。
夫はどこか可笑しいんじゃないかと思った。
それで、何か理由を付けたくて『目に見えない何か』を原因にしようとした。
今思うと本当にバカだったなと思う。
でも、必死でそう考えようとしてしまう位に夫のことを信じたい気持ちが強かった。
風水に凝り過ぎて強迫観念のような感じに・・・
こんな風になってしまったのは風水が悪いんじゃないかと考えたことがあった。
今は簡単に調べることができるし、どんどん情報が集まる。
だから、私も暇さえあれば情報収集に勤しんだ。
こういう時って一度始めたらどんどんハマってしまうものなのかもしれない。
知れば知るほど気になる所が出てきてしまい、色んな所をいじった。
そのうち新しい情報を入手しては我が家をチェックするようになり。
あれが悪いこれが悪いと原因探しをする日々。
こうなると半ば強迫観念のような感じで、直さずにはいられなくなる。
しかも、それで状況が改善されないとまだ悪い所があるのだと考えてしまう始末。
しまいには、あらゆることが風水縛りになった。
風水的にはそれは良くないから止めておこう、みたいな。
何でもそれで決めるものだから、段々と精神的に窮屈になった。
それでも、今やってることは正しいんだからもう少し続けなければと思った。
一度ハマり出したら、もう自ら止めようと思えるようになるまでは底なし沼だ。
薄々はこんなの可笑しいと感じているのに止められない。
すがりたい気持ちがある間は結局止められなかった。
そんなにどっぷりとハマっていたのに何故止められたのかというと・・・。
どん底を経験して絶望したからだ。
普通は絶望したら更に執着しそうに思えるのだが。
私の場合には、ここまでやってるのに効果が無いってことは風水にも見捨てられたんだと思った。
もう誰も助けてくれない。
どうにもならない。
そういう気持ちから多少の自暴自棄の期間を経てスッパリと風水を止めた。
今でもどうしようもなくなった時に何かにすがりたいと思うことがある。
でも、最後は自分次第だということも分かっている。
だから藻掻けるだけ藻掻いて、あとは『どうにでもなれ』と思うようにしている。