朝起きたらまず勉強
保育園時代の最後の冬休みは勉強三昧だった。朝起きたらまず勉強。
ご飯を食べる前に数十分ほど机に向かうことを夫が強要した。
強要したと言っても、直接そう伝えたわけではない。
これはいつものことなのだが、子どもがそうするように仕向けていた。
普段から、子どもがどれだけ出来損ないなのかというのをしつこく話題に出した。
それを聞いた子どもは『自分てダメなんだ』と思い込んだ。
そこで夫は
「パパがお勉強見てやるから」
と言って、まるで子どものためにわざわざやってくれているような雰囲気を作った。
それと同時に、朝起きたらすぐに
「今何をやるべきか分かる?」
と聞いて、無理やりにでも『勉強する』という言葉を引き出していた。
本人ははっきり言って勉強なんかしたくなかったと思う。
だけど、夫がそう仕向けるので仕方なく机に向かった。
子どもだから毎日同じ時間に起きられるわけではなく、たまには寝坊してしまうこともある。
そんな時は『自発的に勉強する子どもをサポートしている』という設定を忘れたかのように物凄い勢いで責めていた。
結局は自分の思い通りにならないと気が済まなかったのだと思う。
楽しいはずの冬休み。
しかも、まだ保育園児なのに。
毎朝ご飯前の学習を強要され、嫌な思い出がまた一つ増えた。
午後も勉強
朝ご飯を食べてからは自由時間だった。
多分、この時間帯には夫もやりたいことがあったのだと思う。
自由時間はおもちゃを出してきて遊んだり、DVDを観たりしていた。
そうこうしているうちにお昼になり、またご飯を食べる。
午後になり、お受験のない保育園児なら普通はまた遊ぶだろう。
でもうちの子はちょっと休憩したらまた勉強だった。
ちなみに、この時の学習時間はその日の出来に左右される。
夫が出した課題がなかなかできなければ長引くし、すぐにできれば早く終わる。
そうは言っても、小学生が解くような問題を出してくるので早く終わることはほとんど無かった。
長くなってくると子どもも段々と集中力が無くなり、イジイジしてくるのだが。
そうすると『終わらないのだ誰のせいだ?』とネチネチ責めた。
責められたってできないものはできない。
そもそも難しすぎるのだ。
夫は一体子どもに何を求めていたのだろう。
天才でも作り出すつもりだったのだろうか。
これだけはハッキリ言えるということがあり、夫は決して子どものためにやっていたわけではなかった。
優秀なお子さんのお父さんというポジションが欲しかっただけだと確信している。
それなのに、まるで子どものためを思ってやっているという感じだったので余計に質が悪かった。
『お前のためだ』と言われれば、子どもだって頑張らざるを得ない。
よく晴れた日には『暖かいしスーパーへの買い出しに連れて行こうかな』と思っても、やはり夫に阻止された。
「お前は邪魔ばかりする」
と言われた時には夫への嫌悪感が増した。
「こっちは勉強してるんだから一人で行ってこい」
と指示されても、これは絶対に目を離してはいけないと思っているので終わるのを待つしかない。
日によってはかなり遅くなり、買い出しに行けないこともあった。
でも、仕方がない。
二人きりにして子どもが叩かれたり蹴られたりするよりはマシだ。
結局買い物に行けなくて、あり合わせのメニューで済ませた日。
夫が不満を前面に出してきてブツブツと文句を言いながら食べていたが、気づかないフリをした。
夫がどう思おうがどうだって良い。
子どもを守るためには目を離すわけにはいかないのだから。
理系に進ませたい夫
勉強と言っても、やっていたのは算数ばかりだった。
夫は理系信奉者だったので、文系に進んだ時点で子どもは見捨てられるんだろうなと思った。
まあ、その前にこちらから夫を見捨てたわけだが・・・。
毎日毎日算数ばかりやらされて、子どももさぞかし嫌だったことだろう。
「他の教科も教えたら」
と言ってみたこともあるのだが、
「文字も読めねーのに意味が無いだろ!」
と怒られた。
それなら尚更文字くらいは書けるようにしないとマズイと思わないのだろうか。
通っていた保育園では勉強は教えなかったので、それぞれのご家庭で準備を進めていた。
だから、やっていないお家では本当に何の準備もしていない状態だった。
私も忙しくてついつい後回しにしてしまったことを反省している。
子どもは小学校入学直前まで自分の名前も書けなかったので、3月頃は本当に焦っていた。
だけど、この頃の子どもって吸収力も凄いから何とかなるものなんだよね。
入学する頃には平仮名と名前の漢字は何とか書けるようになり、絵本も自分で読めるようになった。
このように国語に関しては一切教えてくれず、ひたすら算数に固執していた夫。
保育園時代に九九をマスターさせ、つるかめ算なんかも教えていた。
ちなみに、子どもはこの頃からどんどん勉強が嫌いになった。
無理強いするとネガティブな印象を持つようになり、身に付かないみたいだ。
入学してから数年は夫と一緒に居たため、その間の成績は惨憺たるものだった。
それを許せない夫は子どもを執拗に責め、教育虐待はエスカレートしていった。