お義母さんと向き合って
お義母さんはすぐに、お茶を持って戻ってきた。
「すみません」
そう言って受け取る。
私は部屋の中を
さりげなく見回してから、
恐る恐る尋ねた。
「今日は皆さん、
お出かけですか」
誰もいなければいい。
そんな思いだった。
案の定、
家にいたのは
お義母さんと私だけ。
いつ戻ってくるのかも
気になったけれど、
根掘り葉掘り聞くのは気が引けて、
結局、そのままにした。
改めて向き合って座ると、
お義母さんは
どこか疲れた表情をしていた。
きっと、
いろいろあるのだろう。
夫のことでも
悩んでいるはずだし、
同居の件だって、
不本意だったに違いない。
それでも、
分かってもらえなくても、
伝えるべきことは
伝えなければならない。
夫の嘘
会話が途切れたタイミングで、
私はテーブルの上に
封筒を置いた。
それを見た瞬間、
お義母さんの表情が曇る。
「これ、
何のお金?」
その声は明らかに強張っていて、
『タイミングを間違えたかな』
と、不安になった。
「この間いただいた制服、
購入してくださったものだと聞いたので……」
そう伝えると、
「あれは……
いいのよ」
そう言って、
封筒を私のほうへ戻した。
でも、
受け取ってもらわなければ、
帰れない。
何度かやり取りを繰り返した、その時。
「違うのよ」
お義母さんが、
少し強い口調で言った。
私は意味が分からず、
封筒に手を添えたまま、
お義母さんの顔を見る。
すると、
「あれは嘘なのよ」
静かに告げられたその一言に、
言葉を失った。
制服は、
購入したものではなかった。
またしても私は、
夫の嘘に
騙されていた。
