今さら許せと言われても
一時期、夫が暴れて、
義両親でさえ
手が付けられなかった頃。
「自分たちの手には負えない」
そう言って、
あっさり匙を投げた。
まだ小学生だった子どもに
危険が迫っていても、
「そちらで何とかして」
と見て見ぬふり。
お義父さんも、
定年を迎え、
もう若くはない。
多くを求めるのは、
酷だったのかもしれない。
それでも、
私たちは逃げることもできず、
追い詰められていた。
限界まで頑張った。
でも、
結局守り切れず、
長い間、
隠れて暮らすことになった。
夫の異常さに気付いてからは、
子どもの拒絶反応も
日に日に強くなっていった。
もう、
どうしたって
受け入れられない。
辛いことが、
あまりにも多すぎた。
変わったからといって、
全部無かったことには
できない。
そう思っていた私に、
義両親は
ある願いを口にした。
「夫を許してほしい」
子どもから父親を奪うな
心を入れ替えたのに、
許せないのは
人としておかしい。
義両親は、
そう言った。
きっと、
元のように
家族三人で
暮らしてほしかったのだろう。
でも、
私が一番ショックだったのは、
別の言葉だった。
「子どもから父親を奪うな」
あの時、
助けてくれなかった人たちが、
今度は
父親を奪うなと言う。
その言葉を、
どう受け止めれば
良かったのだろう。
私は、
あんな父親なら
いない方がいいと
思っていた。
でも、
それは
『私のエゴ』
なのだと責められた。
子ども自身は、
「パパに会いたくない」
「パパなんて、
いない方がいい」
そう話していた。
それでも、
「あなたが
そう思わせたんでしょう」
そう決めつけられた。
この頃から、
義両親は
『洗脳』
という言葉を
繰り返すようになった。
何度も言われるうちに、
私の心も揺らぎ始める。
子どもの気持ちを
無視しているのは、
本当は私なのだろうか。
元々自信のない私は、
責められ続けるうちに、
正常な判断さえ
できなくなっていた。
