足取り重く
子どもを近くのカフェで待たせ、一人で義実家に向かった。
まだ頭の中はぼんやりしていて、
どこか実感が湧かない。
前の日は、
いつもより早く横になった。
でも、
なかなか眠れなかった。
眠ろうとすればするほど、
目が冴えてしまう。
結局、
ウトウトし始めたのは
明け方近くになってから。
寝不足のまま電車に乗り、
心地よい揺れに身を任せているうちに、
うつらうつら。
気づけば、
最寄り駅に着いていた。
駅に降り立った瞬間、
再び緊張が押し寄せる。
何を言われるだろう。
そんな不安で、
足が前に進まない。
このまま
帰ってしまえたら、
どんなに楽だろう。
でも、
約束を
すっぽかすわけにはいかない。
気が進まないまま、
ゆっくり、
ゆっくりと、
義実家へ向かって歩いた。
夫の不在に安堵
インターホンを押す手が震える。
ドアが開いた瞬間、
罵声を浴びせられる。
そんな想像までしていた。
すぐに応答があり、
聞こえてきたのは
お義母さんの声。
夫ではないことに、
ほっと胸をなで下ろした。
待っているとドアが開き、
変わらない様子のお義母さんが
出迎えてくれた。
ご飯を食べなくなり、
弱っていると聞いていたけれど、
いつもと変わらないように見えた。
中へ促され、
「おじゃまします」
と言いながら上がる。
リビングへ通された私は、
座ろうかどうしようか
迷っていた。
「お茶とコーヒー、
どちらがいいかしら」
そう聞かれたけれど、
お客様でもないのに申し訳なくて、
手伝おうとした。
だけど、
「いいの、いいの。
座っていてちょうだい」
そう言われ、
結局リビングで待つことになった。
家の中は、
しんと静まり返っている。
誰かいる気配はない。
このまま二人きりなら、
想像していたより
話はスムーズに進むはず。
お義母さんと少し話をして、
お金を分割で返すことを伝えたら、
すぐに帰ろう。
そう思うと、
少しだけ気持ちが楽になった。
