2026年7月21日火曜日

お義母さんは泣いていた

責め続ける夫

「こっちだって

色々準備し始めてるんだ」


そう責める夫の言葉を、

私はただ黙って聞いていた。


「いつまでも引き延ばして、

卑怯なんだよ」


「ギリギリになってから

言うつもりだったのか」


怒りが収まらない様子の夫は、

しばらく激しい口調で

私を責め続けた。


だけど、

夫の要求を受け入れることはできない。


だからといって、

すぐに義両親を納得させられるとも思えなかった。


あまりの激しさに、

思考は止まり、

ただ呆然とその声を聞いていた。


しばらくすると、

夫もだんだんと

トーンダウンしていった。


そして最後に、


「これから、

すぐにうちの親へ電話しろよ」


そう言い残して、

電話は切れた。


切れる間際になって気づいた。


夫は、

どこか賑やかな場所にいるようだった。


おそらく仲間と遊んでいて、

急に思い立って

電話をかけてきたのだろう。


あるいは、

仲間に何か言われたのかもしれない。


どちらにしても、

夫は自由に楽しく過ごしている。


その一方で、

私たちは、

ずっと縛りつけられたままだった。


お義母さんの涙

「すぐに電話をかけろ」


そう命じられたあと、

私は少し考えた。


お義父さんとお義母さん、

どちらに電話をかけるべきだろう。


私の印象では、

お義父さんは押しが強い。


自分の考えを、

何が何でも

押し通そうとする人だった。


相手が強気でも変わらないのだから、

私を言いくるめることなど、

難しくないだろう。


そう考えて、

お義母さんに電話をかけることにした。


家の電話では、

どちらが出るか分からない。


だから携帯電話へかけ、

緊張しながら応答を待った。


でも、

なかなか出ない。


5分ほど待って

もう一度かけると、

今度は3、4コールでつながった。


突然の電話だったからか、

お義母さんも

少し警戒しているようだった。


私も、

世間話をする余裕などなく、

中学校のことを話し始めた。


時折返ってくる相づちは、

とても小さな声だった。


その声だけで、

ショックを受けていることが

伝わってきた。


でも、

この時点では、

まだ決定的なことは伝えていなかった。


制服まで用意して、

私たちが義実家へ来る日を

待っていたはずだ。


夫の話を聞いていれば、

それが当然の流れだと

信じてしまうだろう。


お義母さんも、

家族みんなで暮らせると

信じていたのだと思う。


だけど、

現実は違った。


いくつか理由を伝えたあと、

私ははっきりと言った。


「こちらで二人で

がんばっていきます」


その言葉を口にした途端、

お義母さんが

泣いているのが分かった。


時折、

嗚咽が漏れ聞こえる。


その声を聞きながら、

私は強い罪悪感を覚えていた。

お義母さんは泣いていた

責め続ける夫 「こっちだって 色々準備し始めてるんだ」 そう責める夫の言葉を、 私はただ黙って聞いていた。 「いつまでも引き延ばして、 卑怯なんだよ」 「ギリギリになってから 言うつもりだったのか」 怒りが収まらない様子の夫は、 しばらく激しい口調で 私を責め続けた。 だけど、 ...