2026年7月17日金曜日

言えないまま

人ごみに紛れた週末

毎日のように夫から電話があり、

子どもも私も、

心身ともに疲れ切っていた。


離れて暮らしているのに、

どうしてこんなにも

縛られなければならないのか。


拒絶したくても、

その方法が分からない。


その後のことを思うと、

不安ばかりが募る。


結局、

波風を立てずに

やり過ごすことを選んだ。


そのしわ寄せは、

子どもにまで及んだ。


毎日のように、

こんな言葉を

投げかけられていた。


「パパを許して」


もはや、

お願いではない。


受け入れなければ、

どうなるか分かっているだろう。


そう言われているようで、

生きた心地がしなかった。


疲れ切った私たちは、

週末になると

あてもなく街をさまようようになった。


特に用事があるわけではない。

ただ、

人ごみに紛れていたかった。


そうすることで、

少しだけ安心できた。


家にいると、

二人ぼっちで

取り残されたような気持ちになる。


外へ出れば、

たくさんの人がいる。


あの頃、二人とも

人の温もりを

強く求めていたのかもしれない。


伝えられない

「まさか、

中学生になっても

言ってくるつもりかな」


「さすがに、

もう諦めるでしょ」


日々、

こんな話ばかりしていた。


それくらい、

夫の言動に

振り回されていた。


そして平日になると、

また電話がかかってくる。


逃れることのできない現実だった。


非常に苦しい状況だったが、

耐えて、

耐えて、

何とかやり過ごした。


気づけば、

季節は冬になっていた。


間もなく、

中学校入学の準備を

始めなければならない。


私たちの選択を、

夫は

どう受け止めるのだろう。


想像しただけで恐ろしく、

報告は先延ばしになった。

言えないまま

人ごみに紛れた週末 毎日のように夫から電話があり、 子どもも私も、 心身ともに疲れ切っていた。 離れて暮らしているのに、 どうしてこんなにも 縛られなければならないのか。 拒絶したくても、 その方法が分からない。 その後のことを思うと、 不安ばかりが募る。 結局、 波風を立てずに...