2026年7月6日月曜日

塾の前で、予想外の展開に

真実を知った夫の怒り

塾の前で問い詰められ、

子どもは身動きが取れなくなっていた。


間もなく始まる時間。


周囲には、次々と子どもたちが集まってくる。

入口の前に立ち続けることはできない。


子どもは一歩下がり、

少し離れた場所へ移動した。


友だちがまだ近くにいたが、

「ごめん、先に行ってて」

そう言って、視線をそらす。


それでも友だちは立ち止まり、

こちらを見ていた。


「待ってるよ」

「大丈夫。先に行ってて」


短く答え、手を振る。

そのまま、友だちを先に行かせた。


視線の先にいる父親を、

見せたくなかった。


場に残ったのは、

二人だけだった。


空気が変わる。


夫が一歩、前に出る。


「嘘ばっかりつきやがって!」

その声で、肩が跳ねる。


子どもは一瞬、

スマホに手を伸ばしかけたが、

止めた。


連絡すれば、もっとまずいことになる。

そう感じて、手を引っ込めた。


「いつから通ってるんだ」  

「何で嘘をついた」


言葉が飛んでくるたびに、

体が小さくなる。


口を開こうとしても、声が出ない。

やっと出たのは謝罪だけだった。


「ごめんなさい……ごめんなさい」

何度も頭を下げた。


それでも、怒りの声は止まらない。

時間だけが過ぎて行った。


窮地を救った声

「もう始まっちゃう」  

そう伝えても、解放されなかった。


「嘘をついてたのが悪いんだろーが!」  

怒鳴り声に、体がすくむ。


塾の前。  

子どもたちが次々と集まってくる。


視線が刺さる。  

通り過ぎる人もいる。


誰も止まらない。  

誰も声をかけない。

ただ見ているだけだった。


子どもは必死に言葉を探した。


「小テストがあるんだ」


しかし、返ってくるのは怒声だけだった。


「知らねーよ!!!」


言葉を重ねるほど、状況は悪くなり、

呼吸が浅くなる。  

もう、何を言えばいいのか分からなかった。


このままでは動けない。  

でも、逃げる場所もない。


時間だけが進んでいく。


その時──

塾の扉が開いて、

先生が外に出てきた。


軽く状況を見て、夫に会釈する。

そして何事もなかったかのように言った。


「小テスト、さぼっちゃダメだぞ〜」


その一言で、空気がわずかに動き、

夫の口が止まる。


その後も何か言いかけたが、

結局やめて、立ち去った。


重苦しい空気が、そこでようやく途切れた。

子どもは、震える足で塾の中へ入っていった。

塾の前で、予想外の展開に

真実を知った夫の怒り 塾の前で問い詰められ、 子どもは身動きが取れなくなっていた。 間もなく始まる時間。 周囲には、次々と子どもたちが集まってくる。 入口の前に立ち続けることはできない。 子どもは一歩下がり、 少し離れた場所へ移動した。 友だちがまだ近くにいたが、 「ごめん、先に...