お下がりの制服
子どものために用意された制服。お下がりではなく、
購入したものだった。
知ってしまった以上、
お金を返さないわけにはいかない。
義実家を訪ね、
お義母さんと少し雑談をした後、
私はテーブルの上に
お金の入った封筒を置いた。
でも、
受け取ってもらえない。
どこか歯切れも悪く、
不思議に思いながらも、
何とか受け取ってもらおうとした。
その時、
思いもよらない事実を知る。
夫の話は、
真っ赤な嘘だった。
制服は、やはり
購入したものではなく、
知り合いのお子さんから
譲り受けたものだった。
綺麗だったのは、
一年生の途中で
急に引っ越すことになり、
ほとんど着ることが
なかったから。
何度か顔を合わせたことがあり、
面識もあったお義母さん。
同居の話が進む中で、
その子のことを思い出し、
うちの子と体格も似ていることから
声をかけたそうだ。
先方も、
快く譲ってくれたという。
良心の呵責
夫は、
お義母さんに
口止めをしていた。
「言わなきゃ、
分からないんだから」
そう言って、
話を合わせるよう
頼んだ。
なるほど。
夫らしい考えだと思った。
あの口調で言われたら、
お義母さんも
従うしかなかったのだろう。
最初は、
何も言うつもりは
なかったようだ。
でも、
話を続けるうちに
何度も言葉を飲み込み、
何かを伝えたい気持ちが
伝わってきた。
そして、
意を決したように
真実を打ち明けてくれた。
驚いた私は、
「どうして――」
と言いかけて、
言葉を飲み込んだ。
夫にそう言われたら、
私だって
同じようにしていたと思う。
それでも最後には、
正直に話してくれた。
そのことが、
素直にうれしかった。
結局、
あれほど気を揉んでいた
お金も必要なくなった。
せめてクリーニング代だけでもと
渡そうとしたけれど、
それも受け取ってはもらえなかった。
「騙すようなことをして、
本当にごめんなさい」
そう言って
頭を下げるお義母さん。
夫には腹が立っても、
お義母さんを
責める気にはなれなかった。
申し訳なさそうに
小さくなって謝る姿が、
ただただ気の毒だった。
