ぜいたくは敵だ?!
夫と一緒に暮らしている頃、「冬用の暖かいコートが欲しい」
と言ってみたら、
「そんなの要らないでしょ」
と却下された。
その時に着ていたのは大学時代に購入した物。
だいぶくたびれていて、お世辞にも綺麗とは言えなかった。
しかも経年劣化で薄くなってしまっていたので非常に寒い。
あまりの寒さに耐えきれなくなって言ってみたのだが、案の定OKはもらえなかった。
「工夫すればいくらでもやり方があるだろ」
とか言うけれど、中に着るものを買うのだって反対するくせに。
手持ちの服を重ね着するにしても限界があった。
たった一枚、厚手のコートがあれば解決できるのに。
私が恨みがましく収納に並んだ夫のコートを眺めていたら、
「俺が自分で稼いだ金で買った」
とけん制してきた。
このけん制の仕方も意味が分からない。
私だって何も家計費から買わせて欲しいと言っているわけではない。
自分のお金から出すと言っているのに、それさえ許されなかった。
夫は普段あまり外に出ないくせに服をたくさん持っている。
コートも着きれないほどあり、様々な素材やカラー、形のものが揃っていた。
何で同じ家に居ながら私だけこんなにも我慢しなくちゃならないんだろう。
そんな風に感じて虚しくなっていたところに、
「稼ぎが違うだろ」
と言われてようやく理解した。
ああ、そうか。
稼ぎが悪いから買う資格が無いと言われているんだ。
日ごろから私の仕事をバカにしていたから、そういう意味も込められていたんだと思う。
でも、一生懸命働いてお金を稼いで、それでもコート一つ買ってはいけないなんて。
そんな生活のどこに幸せがあるのだろう。
寒さで頻繁に風邪を引き、そして怒られる
結局買わずに我慢して過ごしていたのだが。
寒さで免疫が低下したのか、よく風邪を引いた。
『風邪を引くと夫の機嫌が悪くなる』という話は巷でもよく聞く。
我が家も例外では無かった。
頻繁に風邪を引くようになり、具合の悪い時間が増えた。
こういう時、優しい言葉の一つでもかけてくれれば全く違った未来があったのかもしれない。
でも、うちではそれが怒られる原因になった。
鼻をかんでいると渋い顔でこちらを見てくるし、咳をすれば舌打ちされた。
私もできるだけ咳が出ないように我慢していたんだけど。
それでもふいに出てしまうことがある。
そうすると夫は舌打ちをしながら、
「何とかしろよ!」
と無茶なことを言った。
その時、『あぁ、私って道具なんだな』と実感した。
子どもが風邪を引いた時も同じだった。
狭い空間に体調不良の人がいるのが嫌なのか邪魔にされた。
そうやっていつも虐げられて、子どもと二人縮こまりながら生きてきた。
それが当たり前になっていたから、別居後の生活は新鮮で・・・。
だけど自由にし過ぎたら罰が当たるんじゃないかと不安になった。
