パパが怖くて戻れなくなった子ども
お昼になってもなかなか戻ってこなかった。
どうしちゃったんだろう・・・と心配していたら、お昼時間が2/3ほど過ぎたところでようやく戻ってきた。
そして、何食わぬ顔でシートに座り、
「お弁当は何かな~」
と言いながら食べ始めた。
お手伝いとか何かやることがあったのかと思ったら、お友だちのところに居たようだった。
午前の競技が終わり、お友だちに手を引かれてお友だち家族のシートへ。
そのまま交じって軽く何か食べてきたそうだ。
その行動が理解できなくて、
「えっ、何で?ママ待ってたんだよ?」
と思わず言ってしまった。
そうしたら、周りを警戒した様子で、
「だってパパが居るかもしれないし」
と言った。
とても小さな声で、パパに聞かれたら大変だと思っていることが分かった。
お友だちに、
「パパ来てるんだよ。やだな~」
と言ったら、
「じゃあ、うちで一緒に食べようよ」
と誘われたらしい。
だけど、食べている最中にママのことが気になって、
「やっぱりママのところに行く」
と言い残して戻ってきた。
それを聞いた私は慌ててお友だちのところにお礼を言いに行った。
持参したフルーツをお渡ししたのだが、お口に合ったかどうか・・・。
その日は子どもの好物を用意していた。
それを知っていてもなお戻りたくなくなるくらい、パパのことが嫌いなのだ。
幸い、お昼を食べている最中は夫が顔を出すことは無かった。
来ても、もちろん受け入れることはなかったが。
『来るかもしれない』と思うだけでブルーな気持ちになった。
徒競走で転んでしまった子ども
子どもの徒競走は午後だった。
うちの子は走るのがそれほど得意ではない。
だから徒競走に苦手意識を持っていて、少し前まではネガティブ発言を連発していた。
それでも前日あたりから徐々に前向きなことを言うようになり、朝出かける時には
「がんばって走るよ」
と言っていた。
私はそういう気持ちが大事だと思っているので嬉しかった。
苦手なことがあっても良い。
自分なりに努力してくれれば。
そういう思いで見守った。
スタートラインについた時の表情は真剣そのもので、実際に一生懸命走っていた。
心の中で、『がんばれー!がんばれー!』と応援した。
でも、途中で転んでしまった。
泣き虫な子なので、泣いて走るのを止めてしまうかな?と心配したが。
すぐに立ち上がって最後まで走り続けた。
その姿を見て、何だか感動。
ずい分成長したなぁと。
終わった後は、やっぱり辛かったのか半べそになりながらこちらに近寄ってきたので、頭をヨシヨシしながら
「痛かったね、大丈夫?」
と声をかけていた。
そうしたら、どこからともなく夫が近寄ってきて、突然、
「恥かかせやがって!」
と怒鳴った。
その声があまりにも大きくて。
周りの人々が一斉に振り返った。
まさか怒鳴られるなんて思ってもみなかった。
私の服をギュッとつかみながら固まっていた子どもは、更にパパから見えない位置に移動した。
明らかに周りは好奇の目で見ており、そういうのも苦痛だ。
とりあえずその場を収めようと、
「もうすぐ次の競技が始まるから」
と立ち去ることにし、子どもを座席の方へと促した。
そして私もシートを急いで畳んでいつでも移動できるように準備した。
ああいう時の夫は何をしでかすか分からない。
また子どもに暴言を吐くかもしれない。
だから、競技が終わるまで近くでその様子を見守った。