イベントごとは辛いことが多かった
子どもの誕生日は私にとって特別な日だ。こんな私のところに生まれてきてくれて色んな思い出をくれた。
それだけで幸せだなぁとしみじみ思う。
でも、夫は違ったみたい。
いつも誕生日の計画はスムーズにはいかなかった。
せっかく計画を立てても必ず水を差すようなことをされるから、常に警戒した。
最初は良いのだ。
「そろそろお誕生日だね。今年はどうしようか」
という話が出ると、乗り気な様子で
「プレゼントを早めに用意した方が良いよな」
などと言ってくるのだから。
そんな姿を見るたびに『今年は大丈夫そう』と安堵したものだ。
だけど、計画が進んできて具体的なことを決める段階になると必ず荒れ始めた。
ちょっとしたことで子どもを𠮟りつけ、しつけとかざして虐待をする。
そして最終的には、
「そんなんじゃもう誕生日なんて祝わなくて良い!」
と言い始めて、家の中には殺伐とした空気が流れた。
どうしていつもこうなっちゃうんだろう。
家の中が荒れるたびに戸惑い、悩んだ。
どうでも良いことで怒り始めた夫の機嫌を回復させる術を私たちは知らなかった。
というよりも、たぶん夫は怒りたかっただけなのだ。
『俺がこんなに怒っているのに浮かれやがって』
そんな態度で私たちを罵倒した。
夫の嫌なところは、最初の頃には機嫌良く計画を立てて希望を持たせることだ。
そんな態度を見たら期待してしまう。
そこから徐々に機嫌が悪くなるのではなくて、ある日ドカーンと大きな爆弾が落とされ、そのたびに私たちは絶望した。
一度期待してしまった後、急に状況が変わるから。
その落差は大きかった。
その分落ち込みも激しくて、子どもはいつも悲しい思いをした。
今考えると、そうやって喜ばせた後に希望を絶つというのを楽しんでいたのかな、と思う。
そんな冷酷な一面を持つ人物を父親に持ってしまった子どもは、離れるまでイベントごとが大嫌いだった。
ケーキもキャンセルさせられた誕生日
ある年の子どもの誕生日では、せっかく予約したケーキをキャンセルさせられた。
雰囲気からしてプレゼントは無理だろうと思っていたのだが・・・。
いつも直前におかしなことになるからとケーキの予約は早めに済ませた。
いくら何でも予約してしまえば認めざるを得ないかと思って。
でも、一週間前くらいに急に大爆発して、
「もうケーキなんて用意しなくて良い!!!!!」
と言われてしまい、
「キャンセルしろ」
と命令された。
「もうキャンセルできない」
としらを切り通そうとしたが、夫は5日前までならキャンセルできることを知っていた。
つまり、まだ間に合うことを知っていて、わざわざそのタイミングで言ってきたということだ。
直前まで期待させて、ギリギリで突き落とす。
そういうところに本当にサイコパス味を感じた。
あんなことをされれば子どもがどれほど傷つくか分かっているくせに。
あえてそう言う風に仕向けているとしか思えなかった。
そこからはもう地獄だ。
可哀そうに、子どもは誕生日当日まで、
「お前が悪いからこういうことになった」
とずっとなじられ続けた。
今でも子どもはイベントごとに対して前向きではない。
以前ほどの拒絶感は無いけれど、嫌な思い出が蘇るようだ。
そんな悪夢のような日々の記憶を消したくて、毎回全力で楽しませようと奮闘している。