貯蓄用口座を作ろう!という提案
結婚が決まり、新生活の準備に追われていた頃。夫から、
「貯蓄用口座を作って、そこに入れるようにしよう」
という提案があった。
当時は特に怪しむことも無かった。
賢い夫の言うことだから従っていれば間違いないだろう、と思ったのだ。
いつもはなかなか動かない夫だが、同意をした後の動きは非常に早かった。
その週のうちに夫名義の新たな口座が作られた。
『次回のお給料が出たら入金するように』と言われ、私は承諾した。
毎月お給料が出ると、その都度キャッシュカードを受け取ってATMから入金。
私は何だか嬉しかった。
共通の目標に向かって二人で力を合わせてがんばっているという感じがして。
『これが結婚というものなのか』なんて呑気に思ったりした。
ただ、額に関しては多少の不満もあり、何度か交渉した。
手取り額の差を考えると同額ずつ入れるというのは納得がいかない。
夫は3倍ものお給料をもらっていたのだから。
もう少しこちらの負担を下げて欲しかった。
だけど、
「お前とは何でも対等でいたいんだ」
と言いくるめられ、現状維持となった。
生活費も折半だっただめ、残りの額でやり繰りしなければならず。
美容院に行くのもためらわれるくらいの状況だった。
いつもお財布の中身を気にしていた私にとって、年に2回のボーナスは大事な大事な生命線。
実はボーナスからも貯金しようと言われたのだが、それは断った。
だって、そこから月々の赤字分を補填していたんだもの。
『さすがに無理』だと思って断ったら、それから2週間口をきいてもらえなかった。
あまりにも無視されるので心が折れかけたが、それでも拒否し続けた。
こちらが折れるのを待っているなんてズルい。
いつだって妥協するのは私ばかり。
今思えば、あの頃はまだ夫のおかしさに多少は気づいていたのに。
いつからか疑問も感じなくなってしまった。
待ちに待った昇給
それから数か月後。
会社の年度替わりに昇給があった。
上がった分を自分の用途にまわせる!と喜んだのも束の間。
夫から、
「お給料上がったんでしょ?貯蓄にまわす分、増やせるね」
と言われた。
えっ?!
ちょっと待って?!!!!!
やっと自分のことに使える分が少しだけ増えると思ったのに、この微々たる昇給も持って行かれるの?
私は焦って考え直してくれるように頼んだが駄目だった。
このままではいけないと、月々の収支を作成して再考をお願いしてみてもスルー。
じゃあ、どうしたら認めてもらえるのかと思い悩み、最終的に
「もう共同でお金を貯めるのを止めたい」
と伝えた。
ここまで、わずか数か月の出来事である。
その発言に夫は怒り狂い、直後に放った言葉も衝撃的だった。
「お前が能無しだから、そんな安い給料しかもらえないんだろ!ちょっとは努力しろよ!」
言われた瞬間、頭をガツンと殴られたようなショックを受けた。
でも反論できなかった。
少し経ってから今度は呆れたような口調で、
「もう良いよ。元の額で良いから」
と言ってきたのだが、私の方はもう一緒にお金を貯めようという気持ちになれず・・・。
お給料日が来てATMに行くようにキャッシュカードを渡されても、
「貯金はそれぞれでしよう」
と拒否した。
私にとっては勇気ある行動だったが、1か月以上もろくに口をきいてもらえないのは辛かった。
冷静になって考えてみると、折半の家計費を引いた残りのほとんどが持って行かれている。
しかも、その管理は夫がしていて私は口出しができない。
それって変だよね?
共同貯金を止めた後、私が入れた分の一部を返してくれた。
なぜ一部なのかと言うと、途中で新たな家電などを買ったから。
最後まで腑に落ちなかったが、それ以上夫を怒らせるのも怖いので私から蒸し返すことはしなかった。