2025年10月11日土曜日

はた迷惑な夫と愉快な仲間たち

仲間内の結束力が強すぎる

夫と友人たちの間には妙な結束力があった。

誰かが困っている時には総出で動く。

それが何だか怖かった。

夫があんなことになり、きっと黙って居ないだろうと思ったら案の定。

会社で待ち伏せされたり、電話が来たり。

かと思えば、小学校へのお迎え時にばったり出くわしたこともあった。

申し訳ないのだが、私は彼らの全員を記憶しているわけではない。

その時も気づかずに通り過ぎようとしたら、

「えっ、ちょっと?!」

と慌てたように呼び止められた。

実は人の顔を覚えるのが非常に苦手なので、印象の薄い人は数回会ったくらいでは判別がつかない。

その人もどちらかと言えば印象が薄い方だったので、全く気付かなかった。

呼び止められて驚いて振り返ると、

「(私)ちゃん、元気?」

と親し気に話しかけられて、それでようやく気付いた。

話し方と声に特徴のある人だから、話し声を聞いてすぐに分かった。

ただ、小学校のすぐ傍という絶対に通らないであろう場所に出没したことにはビックリした。

『何でこんなところに・・・?』と考えたが、すぐにピンと来てしまった。

きっと夫に頼まれたのだろう。

恐らく私たちが通るのを待っていて、声を掛けて家に連れて行く予定だったのだ。

でも、私があっさり断ったので不満そうな声で、

「ちょっと顔を見せに行くだけなら時間かからないよ」

としつこく言ってきた。

何度も断っているのに強引に連れて行こうとするから、警戒した子どもが

「家に帰る!」

と大きな声でけん制。

そうしたら、言葉尻をとらえて

「家に帰るんだよね?(子ども)ちゃんの家はあそこでしょ?」

と夫の居座る家の方を指さした。

子どもはブンブンと首を横に振り、

「違うよ。電車に乗るんだよ」

と言いながら私の後ろに隠れた。


相手にしなくてもついてくるから厄介

ああいう人たちって、どう対処するのが良いのだろう。

『私たちに構わないで』と言ったって、『はい、分かりました』と引き下がるような相手ではない。

そうすると強行突破するしか無いのだが。

無視して駅の方に向かって歩いていても、後ろからピッタリとついてきた。

本当に厄介だ。

夫からすれば、一を言えば十を理解してくれる頼もしい仲間に違いない。

だけど、私にとっては非常に面倒で厄介だった。

結局、駅についてもまだ居たので、本当に困ってしまって、

「もう止めてください!」

と言ったら、長い長いため息をつきながら、

「アイツの気持ち、考えたことあるの?」

と逆に怒られてしまった。

考えたことがあるというか、家を出るまでずっとそればかりだった。

夫の気持ちをくんで行動しないと間違えしまうから。

間違えたらどんなことが起きるかと考えただけでゾッとした。

でも仲間内では私が悪者にされていたので、ただの我が儘な奥さんだと思われていたみたい。

別に彼らにどう思われようが構わないけど、友だちに頼んで色々してもらうのは卑怯に感じた。

このままでは、また以前のような連れ去りが起こらないとも限らない。

警戒した私は、子どもに絶対に一人で帰らないようにと注意した。

それにしても、まさかテレワークがこんな風に活用されるなんて。

夫の周りはけっこう同じ仕事の人が多くて、比較的自由だった。

『ちょっと近所まで行ってくる』なんてこともよくあり、我が家に頻繁に来られる理由もそこにあった。

仲間が動いている間は夫が静かで、それだけは良かったんだけど。

一人で大勢と闘っているようで物凄く心細かった。

はた迷惑な夫と愉快な仲間たち

仲間内の結束力が強すぎる 夫と友人たちの間には妙な結束力があった。 誰かが困っている時には総出で動く。 それが何だか怖かった。 夫があんなことになり、きっと黙って居ないだろうと思ったら案の定。 会社で待ち伏せされたり、電話が来たり。 かと思えば、小学校へのお迎え時にばったり出くわ...