2025年10月9日木曜日

仕事帰りの待ち伏せ

早く子どもを迎えに行きたいのに

仕事が終わり、最寄り駅近くの交差点で信号待ちをしていたら、向こう側に夫の友人の奥さんとその友達がいることに気づいた。

気づかないフリをして通り過ぎようとしたのだが、案の定見つかり呼び止められてしまった。

駅にはいくつかの出入り口がある。

そのうち、会社へのルートは一つだけだ。

それ以外だと遠回りになってしまうため使うことはほとんどない。

それを知っていたのか、いつも使う出入口付近で二人は待っていた。

それより少し前のことだが、夫が会社のすぐ傍で待っていたことがある。

あの時は社用で出てきた同僚に助けてもらい、事なきを得た。

見た瞬間、『これは穏やかではないな』と思った。

二人は少し怒ったような表情をしていて、それが私に向けられていることは明らかだった。

『嫌だなぁ』と目を伏せつつ通り過ぎようとしたら、

「ちょっと良い?」

と肩を掴まれてしまい、仕方なく足を止めた。

それにしても、夫の友人ではなくその奥さんが来るなんて。

しかもその友達までついてきた。

私からすると『何であなた達が?』状態なのだが・・・。

実は二人とも夫が遊ぶ時の常連メンバーだった。

よほど仲間意識が強いのだろう。

正義感にかられた二人は怒りの表情で、

「とりあえず近くのお店に行こう」

と言い、喫茶店に引きずられて行った。

いつもなら、このような突発的なことが起きても子どものお迎えを最優先しなければならない。

ただ、この日は偶然学童に行っていたので助かった。

30分程度で済むというので、それなら間に合いそうだと渋々応じたんだけど。

問題はそこではない。

恐らく私への不満があるのだろうが、なぜこの人たちに怒られなければならないのかと思ってしまった。

何だか物凄く嫌な気持ちになりながら店内に入り、席に着いた。


『非常識』を連発され罵倒されて、かえって冷静に

開口一番、夫の友人の奥さんが、

「非常識だよ!」

と言った。

何を言いたいかは大体分かっていたので、とりあえず吐き出して貰おうと黙って聞いていた。

『心配してないの?!』とか『お見舞いにも来ないなんて冷たすぎる!』とか『人としてどうかしてる!』とか色々言われたけど。

全て想定内だった。

多分子どもの話も出るだろうと思っていたらやはり出てきて、

「あんな状況になっても(子ども)ちゃんに会わせないなんて、どういうつもり?!」

と言われたので、

「いえ、あんな状況だから会わせられないんですよ」

と答えた。

そうしたら、

「馬鹿にしてんの?!!!!」

とテーブルをバンッと叩きながら立ち上がった。

今にも殴り掛かって来そうな勢いだったので驚いたが、『夫の友だちも夫に似てるんだなぁ』なんてこともふと考えてしまった。

だいたい何でこの二人がわざわざそんなことを言いに来るのかも分からない。

後でよくよく聞いてみたら飲んだ薬の量だってかなり少なかったみたいだし、すぐに回復したはずだ。

問題は気持ちの方だったのだが。

それも周りのサポートによって徐々に回復していた。

ここで下手に動いて希望を持たせてしまったら、それこそ厄介なことになるのではないかと思った。

一時的に夫の要望通りの環境を作ったとしても離婚することに変わりはない。

少し浮上したところで一気に奈落の底に突き落とす方がよっぽど残酷だ。

それに、たとえ短い時間でも夫と過ごすなんて耐えられそうになかった。

一緒の空間に居るのでさえ苦痛で、言葉を交わすのも正直しんどいのに。

それを伝えたところでこの人たちには通じないのだろうけど。

どうしたら理解してもらえるのかが分からなくて、私は黙り込んだ。

仕事帰りの待ち伏せ

早く子どもを迎えに行きたいのに 仕事が終わり、最寄り駅近くの交差点で信号待ちをしていたら、向こう側に夫の友人の奥さんとその友達がいることに気づいた。 気づかないフリをして通り過ぎようとしたのだが、案の定見つかり呼び止められてしまった。 駅にはいくつかの出入り口がある。 そのうち、...